ベルフラワーのレビュー・感想・評価
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殺伐した気分によりそってくれる気のいい友達みたいな映画。
なぜか最近、この10年近く前の映画を思い出す。バーで知り合い、コオロギ食べコンテストで戦った女と恋に落ちた男が、こっぴどくフラれ、失恋の痛手に苦悶し、『マッドマックス2』の悪党ヒューマンガス様に心酔していく。なんだこりゃっていうプロットだが、「いいことなんて何もねえ!現実なんてクソだ!」という憤りを、みごとなまでに悪的な映像に昇華させていて、そもそもの悩みが身もフタもないことだけに、どことなくバカげていて可笑しい。なにかが壊れたような映像を作り出すために、実際にカメラを落としたりして壊してみたというどうしようもないエピソードも愛らしい。
ああ、このコロナやら不景気やらなんやらでウンザリばかりが高まっていく昨今にあって、この映画の「クソが!」という気持ちこそ、アートとしてふさわしいのではないか。そんな極論も唱えたくなるくらい、殺伐した気分に寄り添ってくれる気のいい友達みたいな映画だと思う。
ちなみに本作以降名前を聞かないと思っていた監督・主演のエヴァン・グローデル、なんと新作2本が待機中のようで、日本公開を望みます!
イカれてて愛おしい
ボンクラ青年が自身の失恋体験を映画にして昇華させたというセラピー映画。
でもボンクラなので、マッドマックス2とラブストーリーを合体させちゃうっていうのが、超イカれてて愛おしい。
この映画のためにマジの火炎放射器や、ガチのスーパーチャージャー搭載車メデューサを作っちゃうバカっぽさも最高。
まさに一人マッドマックス。
コオロギ早食い選手権
仲間たちと一緒にバーで飲んでいたとき、ミリー(ワイズマン)という女と知り合い、深みにはまっていったウッドロー。しかしまぁ、最初からイカれた奴たち。好きになったきっかけというのも、バーの主催で、コオロギ早食い選手権が行われたこと!ミリーは生きたコオロギをばくばくと食いはじめ、ウッドローは一匹も食えずに吐き出してしまった・・・
次の日に初めてのデート。テキサスのサイテーの店に行こうと決めた二人は何日もかけてデートを楽しむ。マッドマックス風のレトロなバイクを見つけたが、車で運べないので、車と交換でバイクを手に入れた・・・。途中まではある意味純情で、セックスしない二人だったが、ようやくベッドイン(しかし、ウッドローは下手)。ユルい展開ではあったが、恋人同士になったかと思うと、いきなりのミリーの浮気。とはいっても、その相手の男マイクは最初からミリーと同居してたみたいだし、関係がよくわからない。ショックを受けたウッドローはよろよろとバイクにまたがり走り出す・・・と思いきや、いきなり車と衝突。退院してきたウッドローを慰めるべく、エイデンと付き合ってたコートニー(レベッカ・ブランデス)がやってくるが、慰めるうちに身体の関係を持ってしまう。しかし、親友の絆は簡単には壊れない。そんなとき、マイクをバットで殴り殺してしまったエイデン。元々危うい希薄な人間関係も崩れてくるのだ。そして精神的におかしくなったウッドローは狂ったような妄想の世界へ突入する。そこではミリーをナイフで切り刻み、コートニーが自分の頭を銃で撃つ。
ユルい展開から一気に狂気の世界へ。失業中なのか、仕事は皆やってない。そんな時、火炎放射器に夢中になる連中が厭世観たっぷりに行動する。しかし、破壊主義者ではない。どことなく優しく、かっこいい・・・
髭イレズミ
主人公のウッドローにはイライラさせられて要はこの監督にイラっとする訳で。
だって自作自演の半分は自伝みたいなモンで確かミリーも本当の元カノで!?
とにかく女々しいにも程がある男で基本的には周りの行動次第で自分も動く感じで火炎放射器にしてもメデューサ号にしても相棒に頼り過ぎ。
映像の荒い雰囲気に全体的なLOOKとヒューマンガスってナイスなチョイスで展開も飽きずに楽しめる。
ヒロインのミリーは「トゥルー・ロマンス」のアラバマにJ・ルイスっぽくもあり魅力的。
「ベルフラワー(2011年)」 「桐島、部活やめるってよ(2012年)」 この二作、根っこの部分は同じだと思う。……、多分。
主人公のウッドロー(エヴァン・グローデル)は、いい歳して無職。
「マッドマックス2」に登場するヒューマンガスをヒーローと崇め奉り、小学校時代からの親友とつるんで火炎放射器や、火を噴く改造車をつくり、「俺の考える世紀末」をテーマにイラストを描き、「ちょw世紀末きたらどうする?」と妄想を語り合う『ベルフラワー』です。
県立高校に通う前田(神木隆之介)は、クラスの中では地味で目立たない存在。映画コンクールで入賞したから自分の好きな映画、ゾンビ物を撮りたい!と先生に申し出ても、「(ジョージ・A・ロメロ)え?そんなマニアックな監督、誰もしらねーよ」と言われ、この映画も、あの映画も、ロメロ作品からのインスパイアですよ!オマージュですよ!熱弁をふるうも相手にされない。高校というヒエラルキーの中では、最下層に位置する映画部に所属している前田。そんな『桐島、部活やめるってよ』です。
ちょいぽっちゃりで、あんまり可愛くないけど、おっぱいでかくて、エロくて、何より「マッドマックス2」を偏愛しているウッドローを理解してくれる、夢の女ミリ―(ジェシー・ワイズマン)と出会う。マッドマックスに出て来そうなバイクと遭遇。ウッドローの唯一の理解者で(エロい)夢の女ミリ―も「買っちゃいなよ」というから、車と引き替えに中古バイクを手に入れる。後ろにミリ―を乗せて、ご機嫌な『ベルフラワー』です。
高校のヒエラルキーのトップに位置する可愛い子ちゃんのかすみ(橋本愛)と、「鉄男」の上映されてる映画館で遭遇する前田。こんな可愛い子が、マニアックな映画を!?とあまりの嬉しさにテンションが上がり(あるあるネタです)、どんな映画が好きなの?とついつい調子に乗る。
「タランティーノの映画が好き」
どの作品?とよせばいいのに畳みかける前田。
「人が沢山死ぬ作品」って答えるかすみに、全部そうじゃん!という私を含む映画好きの突っ込みが聞こえそうなシーン。けれど前田は可愛い子ちゃんと、「好き」を共有できたことで夢心地な『桐島、部活やめるってよ』です。
痛々しい偏愛だって受け入れてくれた唯一の(エロい)存在、ミリ―のトラウマになりそうな体位での浮気現場をウッドローが目撃する、『ベルフラワー』です。
気が弱くコミュニケイト能力が低い前田は、ゾンビ映画の撮影現場として屋上を使いたいのに、何度交渉しても吹奏楽部の亜矢に論破され凹む。『桐島、部活やめろってよ』です。
つまんない偏愛話だってニコニコ聞いてくれた、唯一の(エロい)存在だったミリ―を失う絶望感。自暴自棄。「俺ふられた、みんな殺す」な『ベルフラワー』です。
桐島というバレー部のスター選手が部活を辞めることで広がる波紋、動揺、不安、混乱、高校のヒエラルキー崩壊!もういっそのこと、みんなゾンビに喰われればいいさ!な『桐島、部活やめるってよです。
いや勿論全て妄想ですよ。な「ベルフラワー」です。
いや勿論全て映画ですよ。な「桐島、部活やめるってよ」です。
『ベルフラワー』は、あまりにもコア過ぎる為、殆どの観客の理解を超えた向こう側な作品にも思えます。インディーズな荒い感じも、一般的にはその良さは理解されないかも知れません。
けれど冒頭に書いたように、狭間のいったりきたり感を経験した人であれば分かる、"僕達の青春"だったりします。
また貴重な(エロい)夢の女を失う絶望感、それを埋めるのはいつもの世紀末な妄想というのが泣ける!情けなくて号泣です!むかついて号泣です!
きっとここ、近親憎悪的な感情だと思います。
そして何よりマッドマックスが大好きで、監督、脚本、制作、編集、主演を勤めたエヴァン・グローデルの失恋を元にしたお話ってとこに、鳩尾が痛くなる。ええ、でしょうねと。
だって制作費は約170万ですが、一番お金がかかったのは改造車っていう狂気(マッド・マックス1作目と同じ!)。監督、偏愛と狂気の狭間でうろうろしてる感がハンパないです。殆どの女性はついていけません。
「桐島、部活やめるってよ」は、私の友人に言わせれば「おい、映画好き男子がもてるわけねーだろ」って映画らしいです(笑)あ、実際は違いますよ。
スクールカースト。大人よりシビアな格差社会が浮き彫りになる作品です。その最下層にいるのが、映画部という厳しさ(しかも映画オタクはコミュニケイト能力が低いという偏見!)です。
しかしこちらも、狭間を経験した人であれば、あのなんとも言えないもやもや感が分かる"僕達の青春”映画です。
しかしながらこちらの主人公は、高校で処世術を学んでいきます。
そう「映画が好き」と女子が言ったからって、その「好き」が自分と同じレベルの好きかどうかは分からないというね。一旦は探ってから、畳みかけるように質問しようぜっていう。
分かります!勉強になります。
私も数日前、19歳年下の男性に「理想が高いからもてないんじゃないんですか?」と指摘され、「変人だからかも」と答えました。
「変人って、意外と普通なんじゃないですか?」
「年間400本以上映画を観る、映画依存なんです」
「あ"ー、そりゃ変わってますねー」
と引かれました。
ええ、いい加減、処世術を学びたいと思います。
予想とは違ったけど愛せる映画
トレーラーのハードボイルド感を期待したけどそれは裏切られた。もっと退屈で遣る瀬無い日常の映画。冒頭の出会い〜突発旅行の部分は瑞々しくて刹那的で素敵だから、それがどんどん崩れていくのが余計に痛々しく思える。
コントラストの効いた映像はそのどちらにも効いているし、男の友情にはグッとくる。良いところはたくさんある映画。火炎放射器、かっこいいし。
ちなみにマッドマックスは観てません。
2度観ても。。。映像わ、良いのに。。
マッドマックスが、大好きなので、期待してw観たが、荒んだ感じの映像は自分的にかっこいいと、思ったのですが、ストーリーの骨子は、無職の変わり者の青年の、失恋からくる破壊的な衝動と、妄想(たぶん)なので、思い入れなどは一切無く、共感できるところもあまり無い。。
ただ、画的に荒い感じが、良いなぁ、と思ったし、展開的に牽きつけられる部分もあるんですが、主人公は、このへんな女のひと(バカびっち&ブスw)をすごく好きだったんだ、というのと、裏切られて大ショックを受けた、というのは完璧に伝わったww
監督の実際の経験を脚本に練りこんである、とのことなので、監督は、自分を反映させた、劇中の主人公の青年と違って、辛いw経験をバネにして、映画というジャンルで自己表現成功して、裏切った彼女wに意趣返し?を果たせてw結果的に良かったな、と。。
お前、勝ったなwと。。それわ、ほんとに一緒に喜びたかった。。
。。まぁ、全体的に失恋の寂しさ、とううのわ、(完全に青年目線オンリーですが)よく描けてるし、まぁ良いです・・こんなものですねw
どうせならもっと、「エレファント」なみのすごぃ事件おこせば、と思ったけど、そしたら監督いないしw映画もなぃしw
あとメデューサ号、かっこいいなw 欲しくないが、いちど乗りたいですw
期待と違う
てっきりハードなバイオレンスアクションだと思っていたら、若者のわびしい日常を描く映画だったため肩透かしを食った。
火炎放射器やドラッギーな車も登場するのだが物語のアクセントにはなっているものの全然活躍しなかった。
しかし主人公が酒場でヒロインと出会って、恋を育む過程はとても素敵で、自分もあんなふうに恋愛をして突発的に旅をしたり車とバイクをただかっこいいからと物々交換したり後先考えない行動をしてみたいものだと思った。主人公のヘラヘラしている感じもとてもよかった。そしてDIYで火炎放射器や車を作るのも憧れる。
期待とは違って肩透かし気味ではあったけど、愛すべきところはたくさんある映画だった。
スポンサー集めて作った自主制作映画サークルのノリ
マッドマックス2にインスパイアされたのか知らないけれど、あのマシーンを作ってみただけ。動画サイトにマシーンだけupしてくれたら何度でも見るが何も映画にすることはナイ。
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