ベルフラワー

劇場公開日:2012年6月16日

解説・あらすじ

世界滅亡を夢見る若者たちの友情、愛と憎しみを幻覚的なビジュアルとサウンドを駆使して描く異色の青春映画。働く気もなく恋人もいないウッドローとエイデンは、映画「マッドマックス2」に登場する悪の首領ヒューマンガスをヒーローと崇め、映画に描かれた滅亡後の世界を夢見て、ひたすら戦闘用改造車のチューンアップと搭載する火炎放射器づくりに明け暮れていた。やがてウッドローには恋人ができるが、その恋人に裏切られると、怒りと絶望から狂気へと駆り立てられていく。

2011年製作/105分/アメリカ
原題または英題:Bellflower
配給:キングレコード、ビーズインターナショナル、日本出版販売
劇場公開日:2012年6月16日

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(C)2011 Bellflowerthemovie, LLC

映画レビュー

4.5 殺伐した気分によりそってくれる気のいい友達みたいな映画。

2021年4月30日
PCから投稿

なぜか最近、この10年近く前の映画を思い出す。バーで知り合い、コオロギ食べコンテストで戦った女と恋に落ちた男が、こっぴどくフラれ、失恋の痛手に苦悶し、『マッドマックス2』の悪党ヒューマンガス様に心酔していく。なんだこりゃっていうプロットだが、「いいことなんて何もねえ!現実なんてクソだ!」という憤りを、みごとなまでに悪的な映像に昇華させていて、そもそもの悩みが身もフタもないことだけに、どことなくバカげていて可笑しい。なにかが壊れたような映像を作り出すために、実際にカメラを落としたりして壊してみたというどうしようもないエピソードも愛らしい。

ああ、このコロナやら不景気やらなんやらでウンザリばかりが高まっていく昨今にあって、この映画の「クソが!」という気持ちこそ、アートとしてふさわしいのではないか。そんな極論も唱えたくなるくらい、殺伐した気分に寄り添ってくれる気のいい友達みたいな映画だと思う。

ちなみに本作以降名前を聞かないと思っていた監督・主演のエヴァン・グローデル、なんと新作2本が待機中のようで、日本公開を望みます!

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村山章

5.0 泣いた。そして心救われた。

2025年12月15日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

斬新

癒される

昔、映画評論家・町山智浩さんが大絶賛され、ボロボロ泣いた!いてもたってもいられずに監督に会いに行った!という話を当時ラジオで聴き、これは絶対に見たいという気持ちで見たのですが...これは凄い!泣いた。失恋したことがある人は、痛いほどわかる!失恋した時のあの気持ち・感覚・感触・怒り・悲しみ・孤独・疎外感・自滅願望が、なんと映像で見せてくれるとんでもない撮影!ストーリーは、「マッドマックス2」の悪役ヒューマン・ガスを崇拝する映画オタクの地味な主人公が失恋を機に、まさにマッドマックス的破滅した世界へ、火炎放射器を持って突き進むんでいくのだが...。こんなにとんでもない映画なのに、なぜか共感してボロボロ泣いてしまった。根本は監督自身の実話がもとになっているからだろう。僕らにもそのような辛い経験はある。でも、この映画は最後はちゃんと救いもある。それを救ってくれるのは、今あなたのそばにいる友人なのだ。

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江川知弘(作家)

3.5 イカれてて愛おしい

2019年3月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

ボンクラ青年が自身の失恋体験を映画にして昇華させたというセラピー映画。
でもボンクラなので、マッドマックス2とラブストーリーを合体させちゃうっていうのが、超イカれてて愛おしい。

この映画のためにマジの火炎放射器や、ガチのスーパーチャージャー搭載車メデューサを作っちゃうバカっぽさも最高。

まさに一人マッドマックス。

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青空ぷらす

3.0 コオロギ早食い選手権

2018年11月28日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 仲間たちと一緒にバーで飲んでいたとき、ミリー(ワイズマン)という女と知り合い、深みにはまっていったウッドロー。しかしまぁ、最初からイカれた奴たち。好きになったきっかけというのも、バーの主催で、コオロギ早食い選手権が行われたこと!ミリーは生きたコオロギをばくばくと食いはじめ、ウッドローは一匹も食えずに吐き出してしまった・・・

 次の日に初めてのデート。テキサスのサイテーの店に行こうと決めた二人は何日もかけてデートを楽しむ。マッドマックス風のレトロなバイクを見つけたが、車で運べないので、車と交換でバイクを手に入れた・・・。途中まではある意味純情で、セックスしない二人だったが、ようやくベッドイン(しかし、ウッドローは下手)。ユルい展開ではあったが、恋人同士になったかと思うと、いきなりのミリーの浮気。とはいっても、その相手の男マイクは最初からミリーと同居してたみたいだし、関係がよくわからない。ショックを受けたウッドローはよろよろとバイクにまたがり走り出す・・・と思いきや、いきなり車と衝突。退院してきたウッドローを慰めるべく、エイデンと付き合ってたコートニー(レベッカ・ブランデス)がやってくるが、慰めるうちに身体の関係を持ってしまう。しかし、親友の絆は簡単には壊れない。そんなとき、マイクをバットで殴り殺してしまったエイデン。元々危うい希薄な人間関係も崩れてくるのだ。そして精神的におかしくなったウッドローは狂ったような妄想の世界へ突入する。そこではミリーをナイフで切り刻み、コートニーが自分の頭を銃で撃つ。

 ユルい展開から一気に狂気の世界へ。失業中なのか、仕事は皆やってない。そんな時、火炎放射器に夢中になる連中が厭世観たっぷりに行動する。しかし、破壊主義者ではない。どことなく優しく、かっこいい・・・

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kossy