劇場公開日 2012年7月14日

「狂気」ヘルタースケルター Coolerさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0狂気

2013年6月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

驚いた。沢尻エリカという女優にである。
私は原作を知らないし,興味もない。それでも,沢尻エリカという女優に圧倒された。
人の持つ狂気を扱った映画はたくさんあるが,残念なことに邦画ではイマイチの作品が多いと感じていた。
だが,この作品はかなりイイセン行っている。
沢尻エリカという女優の頑張りに拍手を送りたい。久々に真剣に魅入ってしまった。
蜷川実花という監督もなかなかだと感じた。
狂気を表現できる役者と,優れた脚本,そして監督は少ない。
どうも邦画の狂気というのは,血しぶき舞い散るものになりがちであり,特に女の狂気は喚き散らすものになりがちである。
その点この映画は,(喚き散らすシーンもあるが)冷徹に狂気を描いていると感じた。
特に,沢尻エリカの表現力には,驚かされた。このまま潰れてしまうには,あまりに惜しい才能である。
マスコミが話題性をアナウンスしたせいか,評価は非常に低いようだが,万人受けする映画ではないことは明白である。この映画は断じてエンターテインメントではない。
ケバケバしい色使い,アンバランスで耳障りな音楽,全て狂気を表現するためと考えれば納得できる。
そもそも邦画は,心理描写は得意分野であったはずである。今までこのような狂気を描いた映画が存在していなかったことが不思議である。(ホラーはいいものがあったのに)
本作品は,サイコホラーサスペンスとして見ると,秀逸であると思う。(正直ブラックスワンよりも面白かった)
惜しむらくは,最後に韓国(と思われる場所)でのラストシーンは,ストーリー上必要だったのか,疑問である。
最後に,すばらしい作品ではある,が,(作成した方々には大変失礼なのだが)レンタルDVDを借りて,家の47インチTV+5.1chサラウンドシステムで見れば十分である。残念ながら,映画館で見なければならないメリットは感じられなかった。

Cooler