「観るには体力の要る映画」ヘルタースケルター mozuさんの映画レビュー(感想・評価)
観るには体力の要る映画
沢尻エリカの出演作品はきちんと観たことが無かったので、彼女の演技力に関しては先入観や期待を持たず観たのですが、ちょっと期待はずれでした。
冒頭のサービスシーンやラスト近くの雨の中での絶叫シーンなどは確かに体当たりの演技といったような感じを受けましたが、所々での演技は、少し興ざめてしまうような、役柄として芝居じみたさまを演じているのやらただ演技が追いついていないのやらどうなのやらとぽかんとし、いまいちストーリーに集中出来なくなってしまう場面があり、やはり絶讃とはいかないように思います。
また、映像と音楽に関しては、蜷川監督らしいセンス溢れる色彩におおっ、となる部分がたくさんありました。ビビットカラーの部屋にバスルーム、幻覚に襲われるスタジオなど、幻想的で引き込まれました。
しかし、ずっとそれを見せられるとなると……という感じです。
音楽も、ちょっとチョイスが雑かなあと感じてしまいました。
大音響であんなにながいこと第九を聴かされると、さすがに……。
かつ有名どころのクラシックを後半に詰め込んであるので、個々の効果や意図がいまいち不明ですし、音量も終始大きめでやはり疲れます。
題材自体は素晴らしく、女性ならば誰しもこずえの姿にコンプレックスを刺激され、また考えさせられるものだったと思います。度々出てくるつけまつげやアイプチ、無いと誰だか分からないようなメイクの女性は結構いると思います。それとりりこの整形と、境目は日々曖昧になっているような……。
飽きたらポイの芸能界についての描写は生々しいですが正直言われなくてもという感もあり、どうせならもっと美への執着など女特有のものへの内面的なアプローチが見たかったかなと思ってしまいました。
エリカ様の濡れ場はバッチリでしたので、男性の満足度はなかなかなのでは無いでしょうか。あと女ってわかんねーなーと再確認する意味でも面白いかもしれません。