「美しさという怖さ」ヘルタースケルター にゃさんの映画レビュー(感想・評価)
美しさという怖さ
あらすじ
トップスターのりりこ。
可愛く美しくみんなの憧れで居続けることが自分の存在意義だと信じ、美しくなければ皆んな私を忘れ去ると思い込んでいる。
実はその美しさは全身整形によって作られたものであり、繰り返し行われた整形手術の後遺症や副作用によって身体はボロボロ。
そこに生まれながらにして美しい、期待の新人こずえが出てきたことにより、その若さや自然な美しさに焦りや嫉妬、苛立ちを感じてしまう。
さらに結婚を狙っていた御曹司は、政治家の娘と婚約してしまい、自分が相手にされない悔しさや苛立ちを募らせる。
日々の仕事のストレスや全身整形という大きな秘密とその後遺症、自分という作られた美しさとこずえの自然な美しさの違いなと、様々なストレスを抱えりりこは身体共にボロボロになっていく。
そして誰からも羨ましがられる自分でなければいけないという強迫観念から、マネージャーの羽田とその恋人に、御曹司の婚約者とこずえを貶めるよう指示する。
そんな中、りりこの通っていた美容クリニックは実は違法行為を行っておりその事件を追う検事がりりこに接触。美容クリニックについて証言してほしいと頼まれる。そこで美容クリニックの違法行為や自分が整形していたことがバレていたことなどを知ってさらにりりこの精神は壊れていく。
今まで周りの人間にとっていた傲慢な態度のせいで、マネージャーの羽田に美容整形のことを内部リークされてしまい、りりこはどん底にまで落ちていく…。
結末
美容整形などの一連の報道に関する記者会見で、りりこは片目を潰して逃走。
数年後、モデルを続けていたこずえの海外ロケの打ち上げで怪しげなショーに行ったところ、眼帯をしトップスターであった頃のオーラをまとったりりこを見つけたところで終わる。
見終えて心に残ったのは
ただ美しい=若さではなくて、美しさはもっと深くて難しいものだということ。
どんなに綺麗になって表面上は満たされても、それを認め心を満たしてくれる人がいなければ人は満足できないということ。
美しくなりたいのは、結局自己満足だけでなく周りからの評価が気になってしまうから。
美しくありたいけれどそれで身を滅ぼすくらいなら、
自分を認め無理のない範囲で努力をすること、
そしてそんな自分を認めてくれるような人に出会えるような自分になることを目指すことが幸せなのかなと漠然と感じた。