「これはもう災害だ」トガニ　幼き瞳の告発　abuさんの映画レビュー（感想・評価）

日本でも数年前に騒がれたジャニーズの性被害問題。それを思い出させるような、小児性愛者による加害シーンが容赦なく描かれる。男児も女児も被害にあい、とても見ていられない。

だが何より衝撃なのは裁判の場面。被害者と加害者が同じ空間に並ばされる異常さ。これはもうセカンドレイプなんてもんじゃない。こんな裁判が本当にあったのか？と目を疑う。実際、この映画がきっかけで「トガニ法」ができたというが、それ以前の制度がどれほど理不尽だったかが痛感できる。

教員、警察、検察、弁護士、裁判官。全員が悪意を持って描かれる構図も異様。ここまで来ると怒りすら超えて、もはや“災害”として描かれている。韓国映画特有の風刺なんてレベルじゃない。絶望そのものだ。

それでも、この映画は韓国社会にしっかりとメッセージを届けた。胸が痛くなる。でも、目をそらしてはいけない。そう思わされる一本だった。