「感謝と敬意を。」パシフィック・リム ケルさんの映画レビュー(感想・評価)
感謝と敬意を。
ギレルモ・デル・トロ監督、感謝いたします。
星5つ程度では足りません。監督への不敬にあたります。
本当は日本がすべきであったこと、巨大ロボット対巨大生物、その実写映画化。それをデル・トロ監督がやってくださった。感謝してもしきれません。
この映画の魅力を五千字以内で書ききることはおおよそ不可能なことです。
オープニング開始10秒ほどで私は確信しました。この映画は私の心に深く、深く刻まれることになるだろうと。そしてその予想は的中しました。
批判的なレビューを割と多く見かけます。キャラクターが薄い、脚本がクソ、ガンダム、エヴァのパクリ、そもそもロボットもの怪獣ものに興味がなかった、などなど。だからダメだ。申し訳ないのですが、こういった批判はトンチンカンでかなり的外れだと言わざるを得ません。
濃いストーリーやら脚本を求めているのならアカデミー賞を勝ち取った作品を片っ端から見れば良いのです。パシフィック・リムが本当に描きたかったのはそこではありません。巨大ロボットと巨大生物の死闘、それこそがこの映画の全てです。ストーリー、脚本等を批判している方は、言うなれば寿司屋でパスタが食べられなかったからあの店はダメだと言っているのと同じです。合う合わないの差がかなり激しい映画ではあると思います。ですがそもそも開始10分経ってもこの映画に引き込まれなかった方はもうそれ以上見る必要はありません。
私はこの映画が他の特に日本のアニメ作品のパクリだとは思いません。確かに特定のアニメを思い起こさせるシーンはあります。しかしそれを言ってしまえば、ガンダムやエヴァなどロボットものの草分けと呼べる作品以降のものは全てパクリです。ジャンルは違いますが、マトリックス以降、スローモーションを多用した映画が数多く生まれました。その中には素晴らしい映画も多いです。もっと言えばエヴァやガンダムだってそれ以前の作品から何らかの影響は受けているはずです。ウルトラマンとか。パシフィック・リムは数多くの作品から影響を色濃く受けた派生作品の内の1つです。
ロボットものや怪獣ものに興味がなかったという方、前述の通り開始10分経っても没入できなければこの映画を観るのをやめて他の映画を観るべきでした。その方がよっぽど有意義です。
巨大ロボットと巨大生物の闘い。お互いに殴り合い、血や破片が飛び散り、ビルは崩れる。多くの人が頭の中で想像したことがあると思います。言ってしまえば子供じみた馬鹿馬鹿しい妄想。多くの人が見たいと思いながらも、馬鹿馬鹿しくて誰もどでかい規模の映画にしようとしなかった。それをやってくれたのです。ギレルモ・デル・トロ監督は。こんなにも最高な形で。
認めましょう。好き嫌いの分かれる映画です。ストーリー、脚本など完璧な映画ではありません。しかしあくまで脚本などに関してはです。映画全体の0.0001%程度の割合を占めるものでしかありません。爪の先ほども気にするべき問題ではありません。何度も言いますが、開始10分経っても引き込まれない方はそれ以上無理をして観ることはありません。観る前に予告をチェックすることをお勧めします。予告を観て本編も観たいと思えば、ほぼ楽しめることでしょう。
改めて、ギレルモ・デル・トロ監督、感謝いたします。
誰がなんと言おうとこの映画は私の中で最高の映画の1つです。
続編が待ちきれません。