「こんなもんかな。」ゼロ・グラビティ 卓偉さんの映画レビュー(感想・評価)
こんなもんかな。
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ラストのシーン。
主人公が地球に帰還した際、母なる地球の根源である水に救われ、土と水の匂い、そして大気を通して感じ陽の温もりに酔う描写が、この映画の全て。祈るべき神や護り護られる物を持たない主人公だからこそ、このシーンが引き立った。
尺が短く、間延びしない点は評価できるが、宇宙空間の描写が綺麗だとか、孤独感や恐怖感を共有できたとか、夜景が綺麗だといった事は、あまり感じられず、むしろ、作りの荒さと、ご都合主義的な構成が見苦しく感じた。
この作品を、アトラクションやエンターテイメントとして愉しむならば、大スクリーン+高価なオプションで鑑賞すると良い。逆に、リアリティを求めるかたには、オススメは出来ない作品。
蛇足。
ラストシーンに、水と土と太陽に母性を感じるかのような描写を持ってくるなら、宇宙空間、特に環境制御が無い宇宙空間の凶悪さを、宇宙服を破られた遺体や空間を漂う遺品から示して欲しかった。タイトルが、ゼログラビティであること。映画冒頭に、宇宙空間での温度の説明が入った事から、過度に期待していた点。
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