「トラウマと統合と成長の物語」シン・エヴァンゲリオン劇場版 ワフーさんの映画レビュー(感想・評価)
トラウマと統合と成長の物語
エヴァを世に出した(エヴァに乗った)ことでトラウマを負った庵野監督による決着の物語。
旧作を発表した監督は心ないオタクたちによって精神を粉々に砕かれた。
監督が受けた被害は度を越した批判に留まらず人格否定や殺害予告まで多岐にわたる。
それでも監督は「ほかに自分の価値なんてない」と言わんばかりにエヴァを作り続ける。
そのたびに深いトラウマを負いながら。
第三村のシーンはセラピーの章。森田療法を連想した。
心のかたちを取り戻したシンジは傷を背負いながらも前へと歩を進めていく覚悟を固める。
2021 年 5 月 13 日,株式会社カラーは「『シン・エヴァンゲリオン劇場版』制作関係者に対する誹謗中傷・脅迫行為に関して」という声明を発表した。
新劇場版の真の完結はこの声明によって成ったと直感した。
監督が REBUILD と称して新劇場版の制作にあたった目的,それはかつて蹂躙された心を取り戻すこと。自分が価値ある存在であると信じること。自身や仲間たちの尊厳のために戦うこと。…だったのかもしれない。
素晴らしい最期でした。
監督に心から拍手を贈りたい気持ちです。
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