劇場公開日 2021年3月8日

「壮大!」シン・エヴァンゲリオン劇場版 CBさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0壮大!

2022年6月17日
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鑑賞方法:映画館

未公開アップロードしたままで忘れていたので、変な時にレビュー公開となってしまった。
俺は、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を観ようと考えた。しかし、俺はエヴァを一つも観ていない。TVシリーズも劇場版も。時はちょうど黄金週間。録りためた中に、たしか「序」「破」「Q」いずれもあったはず。よし、一気に観て、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を観る市民権を獲得しよう、・・というのが今回観た背景。

【序】
すごいなこのオープニング。あっというまに引き込まれる戦闘シーン。
登場人物が少ないからわかりやすい。
いわゆるメカ(設備、器具備品の類)のカッコよさが、心をくすぐる。
"使途" の異様な造形は、CG時代をフルに感じさせる。
ネブカドレザルの鍵とか、セカンドインパクトとか、初めて聞く単語のオンパレードなのに、ストーリーを追い続けられるのは、「それが当然」かのように、なんの迷いもなく進める点かな。まあ、アニメから延々と続く歴史があるからこそ、できることなのだろうな。
俺たち(50~60代)に、大友克洋がいるように、彼らには庵野秀明がいるんだなあ、と変な感心の仕方をした。
主人公とそれをとりまく女性たち。手ごろなお色気。

【破】
辛いのは君だけじゃない。
「ヒトマル」という読み方に象徴されている自衛隊(ミリタリー)感覚は受けそう。それも、それを美少女たちが言う。
思わせぶりな音楽。
科学の最先端な世界で、「純粋な精神エネルギーの具象化」という魅力的な現象。
「なぜ若者たちだけがエヴァンゲリオンに乗るのか?」という俺の疑問は解かれるのだろうか。
「シリーズものは、2作めが鍵」と言われる条件を見事に達成した出来のよさ。感心。

【Q】
前作の痛快さを忘れてしまったかのようなオープニング。
謎の少年カオルの登場。カシウスとロンギヌスの2本の槍。異なる槍が必要。第1使徒と第3使徒。アダムスの器。
前作にも勝る、謎のワードのオンパレード。その中で徐々に見えてくる、人類と使徒、それぞれの誕生の歴史。第1使徒であるアダムから生まれた、第3使徒以降の使途。そして第2使徒リリスから生まれた人類(リリン)。両者は、どちらかが生存し続けるために、相争う運命だったことがわかってくる。
ゲシュタルト(統一的全体像)。西洋的な、要素分解的な思考。ひとつひとつ分解してよくしていくことで、最高のパフォーマンスを得る、という考え方。一方、東洋的な、全体像的な思考。全体をシステムとみて、そのバランスを調整することで最高のパフォーマンスを得る、という考え方。
自分でも、なにを書いているかよくわからなくなってくるが、「Q」をみて感じた気持ちはこんな感じ。哲学書か。

そして...【シン・エヴァンゲリオン劇場版】

冒頭の「・・・な人のために」の作りがしゃれている。ただ、これまでほんとに観ていない人にはどの程度わかるかな?
冒頭はさらに、パリ市街での戦闘シーンの映像は、「破」「Q」に比べてもまた一段とすごくなったね。
しかしこの戦闘シーンのBGMがなんと「世界はふたりのために」。シュールだね。この後も、音楽はずっとシュールなんだよね。ただ、それが、神話ともいえるこの大作をいっそう雰囲気のある映画にしているようにも感じられた。

さて、なぜ子供ばかりが搭乗員なのか、その理由は今回は判明するのだろうか?

敵(使徒)に対した搭乗員が「自ら群体を構成するとは」「人類の知恵の外にあるものだからね。エヴァ同様に」と語り合う。そうか、エヴァという人造人間は、人間が作ったものにもかかわらず、その技術は謎なのかな。エヴァ初心者にはすべてが新鮮だ、

女性上官が「(時間がないからといって)弱音を吐くな。これだから、若い男は(情けない)」と言うシーン。この言葉は、このシリーズに貫かれている傾向だね。強い女と弱い男。

そして戦闘の間じゅう叫び続けるアスカとマリ。彼女たちの声。オタク全開!って感じ。最後は「カチコミ、完了!」だもんね。

お、作者名等が示されるシーンで描かれた駅は、下北沢駅(渋谷側から見た絵)だろうか?

「序」時代の男友達ふたりが登場!大人になったふたりの方が魅力的、シンジとの関係もいい。
「心配のしすぎはよくない。信じて待とう」(ケンスケ)
庵野監督は、少年と少女や女性、成人男性との交流を描くのは上手だけれど、少年同士の交流はうまくないね。(本シリーズでは、シンジが人を避ける性格だから、ということでつじつまがあっているが)

この作品になって、少し説教臭く、エコロジー臭くなってきたな、という感触は、正直なところ、あった。

そして後半へ。

「ガキに必要なのは、恋人じゃない、母親よ」(アスカ)
女は闘う、ということも一貫しているなあ。

「私があんたを殴ろうとしたわけ、わかった?」(アスカ)
「何も決めなかったから。自分の責任を負いたくなかったから」(シンジ)

「シンジくんは、やすらぎと自分の場所を見つければいい。また会えるよ」(カオル)
「そうだね、カオルくん」(シンジ)

「4thインパクトの不可逆的阻止のために・・」このあたりのいかにも軍隊的な言い回しがウケる理由のひとつかな。

今回のエヴァ、特にアスカとマリのエヴァは、その無双ぶりが際立つね~
「ミサトさんが背負っているものを半分引き受けるよ」「僕は、僕の落とし前をつけたい」(シンジ)
「もういいよ、サクラ。明日生きていくことだけ考えよう」(新人)
「(シンジ、)父親に子供ができることは、肩を叩くことか、殺すことだよ」(ミサト)
希望の槍、カシウスと変わる

零号機と13号機の戦闘(ビル街での巨大な2体の格闘)は、来る「シン・ウルトラマン」を想像させてくれる。
戦闘シーンというか対話のシーンが、教室へ、寝室へ、ピラミッドのある風景へ、田圃へとめまぐるしくかわり、観ている我々が不可思議な感覚に引っ張り込まれる手法は、実相寺監督や、「2001年宇宙の旅」のキューブリック監督を思い出した。

「希望のゼロ、絶望の13。ふたつは対をなしている」(碇)

だめな刑事ドラマは、終盤に主人公がが「調べたらこういうことがわかりました(そこは見せないのかい!?)。これこれこういうわけだったんですね。だからあなたが犯人です」と語って終わる。実は、本作は作りとしてはそれに近いのではないかと感じる。それなのに、これだけ面白く、そして惹きつけられるのはなぜなんだろう? それともそれこそが庵野ワールドなのだろうか。

最後の最後に、"若い男ども" を立てたね~。

(ミサトは)命を捨て人類を生き残らせる。生き残った者に対して責任を負うリツコ。ふたりはいわゆるバディなんだな。そしてこの両方の役割には、男も女もないのだ、ということを伝えてくる人間構成。(みんな、これを観て、「前線で死ぬのは男、後陣を守るのは女」みたいな感覚を払しょくしていこう!)
「嫌われても、悪く言われても、エヴァに乗れればよい。居場所を与えてくれる。私をほめて」
ほんとは頭をなでてほしかっただけ。

カオルとシンジは、「デビルマン」のアキラとアスカリョウを思い出させるね。(映画じゃないよ、原作漫画ね。ここは決して勘違いされぬよう)
「涙で救えるのは自分だけだ。だから僕は、もう泣かない」(シンジ)
「(シンジくんは)相補性のある世界を望むんだね」(カオル)

「父さんは母さんを見送りたかったんだね。それが父さんが願った "神殺し" だったんだね」(シンジ)
「さよなら、すべてのエヴァンゲリオン」(シンジ)
いやすごい。これだけ観念的なアニメもなかなかないんじゃない。
さらに圧巻のエンドロール。宇多田ヒカルの主題歌2曲、フルコーラス!! この長さのエンドロールもなかなかない。充実感、まさに "最後" にふさわしいじゃん!!!

「なぜ若者たちだけがエヴァンゲリオンに乗るのか?」という俺の疑問は解かれなかった。だけど、それがなんだ、という気持ちで映画館を出た。

CB
Kazu Annさんのコメント
2023年7月11日

いつも、コメント有難うございます。
序と破を見て、テンション上がったとこで、Qを見て唖然としたことを思い出しました。ただ、TVシリーズでも何時も予想を覆す庵野監督らしいとも思いました。シンは長期に渡ったシリーズの見事なラスト作品ということで、庵野監督のプロフェッショナルな仕事に感動させられました。

Kazu Ann
たなかなかなかさんのコメント
2022年7月1日

『邦キチ』は映画好きならハマること間違い無しの、本当に面白いマンガなのでおススメです〜😆

「にわか」卒業認定、ありがとうございます〜♪

たなかなかなか
kazzさんのコメント
2022年6月20日

CBさん、コメントありがとうございます。「破」「Q」の方にも。
庵野秀明の中でいかにエヴァの世界観が確立されているか、「シン・ウルトラマン」を観て改めて感じましたね。もちろん「シン・ゴジラ」にも現れていますが。
庵野は紛れもないオタクでありながら、頭の中にとてつもないユニバースを持った人なんだと思います。

kazz
Bacchusさんのコメント
2022年6月20日

初エヴァから一気に観たのですね!
それこそ頭の中が???になりそうですw

Bacchus
CBさんのコメント
2022年6月17日

へええ。

CB
akkie246さんのコメント
2022年6月17日

14歳の母親のいない(亡くなった)子供にしか、エヴァを操縦できないそうです‼️(断言)
その理由は、インターネットで沢山の人が語ってくれています。

しかし、原作にも描かれていないと言います。きっと公式ガイドブックのようなものがあるに違いないです‼️

セカンドインパクトと人類補完計画が関係しているような…

akkie246