「キャッチコピーどおり、やっとエヴァが終わった」シン・エヴァンゲリオン劇場版 閑さんの映画レビュー(感想・評価)
キャッチコピーどおり、やっとエヴァが終わった
キャッチコピーどおり、ようやっとエヴァが終わったんだなという作品だった。一部謎なところは残ってるけど、いちいち考察してもしょうがないというか、謎は謎のまま残しておく(というか完璧な解はたぶん監督の中にもない)のがエヴァなんだろうと思うのでこれで終わりでいいと思った。投げっぱなテレビ版からするとちゃんとしたハッピーエンドに進化してて感慨深いし、各キャラもちゃんと救われてて、四半世紀続いたエヴァの呪縛から観客を解放してくれるいい結末だったと思う。
旧劇とかと比較すると、やっぱりゲンドウとミサトさんがかなり救済されててよかった。ゲンドウの独白はコミック版でもここまで詳細には描かれなった部分だし、息子との和解、ユイへの思いを自ら終わらせてたし、ラストはゲンドウとエヴァがまた復活することがないよう念入りにとどめ刺して成仏させてたように感じた(笑)。スターウォーズ同様ホントの主人公は父親のほうだったんだなあと思うと、もしスピンオフがあるならゲンドウとユイの出会いと離別が話の中心になりそう…。ミサトさんはQまでだと問題の元凶みたいなとこあった(笑)けど、あの世界の大人代表として立派に責任とったし最後に名誉挽回した感じ、欲を言えば生き残っててほしかった。
ラストがマリエンドというのに困惑する感想もあるけど、ラストを必ずしも恋愛関係と捉える必要はないと思う。キスシーンもなければ子供が出来てるわけでもないし、ただ仲良さそうに新しい日常に一緒に踏み出してるだけ。そもそもテレビ版・旧劇に出てこないマリの存在がループする世界から新劇の世界線へ導いたわけで、物語のメタ的な視点ではマリエンドになるのは妥当。綾波エンドやアスカエンドを望んでいるのはエヴァの呪縛から逃れられない観客だけで、アスカも昔は好きだったけど大人になってしまったと言ってるし各キャラはみんな大人になってしまって、観客だけが長い時間の中に取り残されてんだなと感じる(笑)。アスカはなんでかケンスケとくっついててもうちょっと経過とか描写がほしかったけど、ケンスケが加持さんポジションに見えたのでそこまで違和感はなかった。もやもやするところとしては綾波はアレで救済されたってことでいいんか?とかあるけどまあ一区切りはついたのでいいんじゃないだろうか。
完全に謎がスッキリ、感動の涙が止まらない!スタンディングオベーション!!って感じではないけれど、総じて四半世紀のもやもやに一定のピリオドが打たれたと思うので自分はこれでよかったと思う。監督・制作陣も観客もホントお疲れ様でした(笑)、静かに拍手を送りたい、そんな感じの映画だった。