「今の時代」シン・エヴァンゲリオン劇場版 nakadakanさんの映画レビュー(感想・評価)
今の時代
冒頭の市街戦など、やはり戦闘シーンはド派手な迫力で、縦横無尽な動きやスピード感は見応えがありました。
心理ドラマの面では、人との触れ合いでシンジが心を開いてゆく、綾波が人間性を獲得してゆく、といった成長の流れは、「序」「破」の流れを繰り返しているかのように感じました。
しかし、今回は学校や組織といった枠組みの中でなく、自然の中で働く人々の中で、大人としてリアルに生きるということを意識させられます。
また、村で生活する人々の描写は、やはり今の時代、現実の災害からの復興を連想せざるを得ません。
政府からの支援はなく、反乱軍的な組織からの支援で生活を維持しているというのも、考えさせられます。
権力者的な人物が混乱を引き起こして、自分のエゴの為に邁進しているというのも、なんだか。
個人的には、良い人ばかりの村の描写は理想的過ぎるような気もしましたが。
14年の間に色々あったということのようではありますが。
理想や希望を描いているということでしょうか。
クライマックスは、予想通りというか期待通りというか、メタな演出で楽しめました。
アニメーションの作り物の空間から外に出るような、しかし、アニメーションの世界を消し去る訳ではなく、そのまま現実に繋げてゆくような。
エヴァが無くても良いような世界というのが、孤独に閉じこもる空間としてのアニメーションが無くても良いような現実世界、という意味合いにも感じました。
アニメーション世界に閉じこもるのではなく、現実にもきちんと目を向けるべきというような。
ストーリーとしては、基本皆いい人で理想的にまとまったという印象です。
最後のシンジの変わり様は違和感もあるような、テレビ版では学園ラブコメアニメの世界線だったのが、今風の爽やか青春アニメの世界線にシフトしたのかというようにも感じました。
とは言え、現実への希望を感じさせるラストは良かったと思います。