「ぶっちゃけ理解できなかったが……面白い!!」シン・エヴァンゲリオン劇場版 といぼさんの映画レビュー(感想・評価)
ぶっちゃけ理解できなかったが……面白い!!
「理解できないけど面白い映画」ってありますよね。よく例に挙げられる作品としては「2001年宇宙の旅」とか。私にとって、この「エヴァンゲリオン」シリーズはまさにその「わかんねーけど面白い」作品の典型で、難解なストーリーが全く理解できなくてもド派手なアクションと圧倒的な映像美で観ているだけで面白い作品です。「新劇場版」に関しては、一作目の「序」以外の二作に対しては「わかんねーけど面白い」っていう評価をしています。もちろん昨今ではブログやYouTubeなどの媒体で、多くのエヴァファンが様々な考察を行って、難解なストーリーを分かりやすい解説を公開してくれていますので、鑑賞後にしっかり調べれば内容を(ある程度は)理解できるんですが、鑑賞後は本当にチンプンカンプンなんです。それでも「間違いなく面白かった」と思えるほど、このシリーズには言葉で表現できないような強いパワーがあります。
私はアニメ版や旧劇場版は未鑑賞です。漫画版を読んで新劇場版を観た程度ですので、そこまで熱心なエヴァファンというわけではありませんが、それでも前作「Q」から9年間待たされていたので、「待望の」って感じで鑑賞いたしました。
結論。やっぱりわかんねー。けどめちゃくちゃ面白い!!
やはり神話や哲学を織り込んだような難解な内容ではありましたが、四半世紀続いたシリーズの完結としてはこれ以上ないほどに良かったと思えます。主人公のシンジだけでなく、レイもアスカもカヲルもミサトもゲンドウも、全てのキャラにしっかりフォーカスした「終劇」になっていたように感じます。前作「Q」が残していった数々の謎もしっかり解決して完結していましたので、それも素晴らしかった。ラストシーンも素晴らしかったし、ラストにちょっとだけ出てくるゲスト声優も違和感なく素晴らしかったし、私の好きなマリは本作でも胸が大きくて良いオンナで最高です。本当は☆5評価したいくらい感動したんですけど、やはり難解な内容故に理解できない部分もあって、ちょっと不完全燃焼というか、物語は綺麗に終わったのに理解できない部分があるせいでイマイチ「終わった~!」って感じがしない。まだ解説動画や他の人のレビューを観ていない状態なので、色んな方の解説を読んだら評価が上がるかもしれませんね。
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前作「Q」の続きからストーリーは始まる。ネルフに反旗を翻した葛城ミサト(三石琴乃)率いる組織「ヴィレ」は、コア化により住民が死滅したパリの街にいた。パリの街を浄化してネルフパリ支部が残した資源を回収するための作戦行動中、その作戦を阻止しようと碇ゲンドウ(立木文彦)率いるネルフのEVAが大群で押し寄せてくる。エヴァンゲリオン改8号機を操るマリ(坂本真綾)がEVAの大群に立ち向かう。一方シンジ(緒方恵美)、アスカ(宮村優子)、レイ(林原めぐみ)の三人は、ニアサードインパクトを生き延びた人々が集う第三東京村へとたどり着く。そこには14年の月日が経ちすっかり成長した、かつてのシンジの同級生であるトウジ(関智一)とケンスケ(岩永哲哉)の姿があった。
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新劇場版は冒頭から戦闘シーンで始まることが非常に多いですよね。めちゃくちゃカッコいい戦闘シーンが冒頭に出てくることで、観客の興味は一気に惹きつけられます。
前作「Q」でシンジによってニアサードインパクトが発生していたことが明かされたため、第三新東京市にいた高校の同級生などは亡くなったのかと思っていましたが、本作の序盤で生きていたことが判明。これだけで私は普通に泣きそうになりました。トウジもケンスケも生きてるし大人になってるし立派になってて子供もいて、感動のシーンです。シンジはニアサードインパクトの責任を感じて人と接しないようにしているがトウジもケンスケもアスカもレイも結構グイグイ来る。彼らの優しさへの感謝と罪悪感の狭間で押しつぶされそうになっているシンジの気持ちは理解できます。
新劇場版から登場した新キャラクターであるマリがここまで活躍するとは思っていませんでしたね。私はアニメ版を観ていない、新劇場版からエヴァに入った新参者ですので、古くからのファンの方と比べれば新キャラのマリはすんなり受け入れられたと思います。しかしここまで積極的に戦闘に参加し、活躍し、最後はシンジとくっつく(?)ことになるとは完全に予想外でした。ラストでしっかり成長したキャラクターを描くことで「ループからの脱出」を表現し、実写とアニメが融合したような演出で「日常に戻った」という表現をしたかったように感じます。私個人としてはこれ以上ない綺麗で完璧なラストだったように感じます。
庵野監督もこれでようやくエヴァの呪縛から解放されて、ラストに登場した宇部市(監督の地元)にいったん帰ったりしてゆっくりするのかなーとか勝手に想像してしまいます。「平穏な日常に戻った」のはシンジたちだけじゃなく庵野監督自身もそうなんでしょうね。過去に庵野監督は「エヴァの主要キャラクターは自分の人格の一つ」とおっしゃっていたらしいので。
とにかくこの作品の素晴らしさを言語化するなんて絶対無理です。とにかく劇場で鑑賞してください。そしてエヴァについての解説を動画やブログであげている古参のファンや有識者がたくさんいらっしゃいますので、そちらをしっかりご確認ください。「よくわからなかったな」で終わらすにはあまりにも勿体ないストーリーがあるはずです。
オススメです!!!!!!!!!