「人生を癒す」シン・エヴァンゲリオン劇場版 N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
人生を癒す
最初の緊急事態宣言中、初めて「序」「破」「Q」だけを見る。
加えて宇多田ファンのためどうしても大きなスピーカーで主題歌を聞いてみたく劇場へ。
完結、総決算とか感慨深さはおいておいて、作画が「モノスゴイ」ことだけは確か。
凄まじい。
2Dで見ただけでも、あれもこれも、それもどれも、ごちゃ混ぜと分かるのに、違和感がない不思議がたまらない。
凝りに凝りまくった映像と、その力が存分に発揮される迫力満点の戦闘シーンは、他にない体験ができると感じる。
あれはすごすぎて、ちょっと狂気を感じる。
なかなかお目にかかれたものではない。(3.16.観劇後)
物語は監督の人生そのもののメタファと鑑賞する。
ゆえに登場人物それぞれも(おそらくマリ以外)、
葛藤も経て得た昇華も、
個々のようで全てがたった一人の膨大な苦悩と挑戦だ。
見せつける様は、己の傷口を開いて晒すかの如く残酷ショーのていがある。
だから目が離せず、大いに痛みへ共感するのだとして、
見終えたそのあと、決して「ブラボー」と称賛する気持ちにだけはなれなかった。
キリストは多くの人の罪と苦悩を背負って、刑に処された。
劇中にも登場する宗教のそれは、
普遍的苦悩を作品として世に出すことで人柱を体現した監督そのもののようで、
刮目し、共に過ごした者としてはただ
胸にしまって癒し続けるしかないと、
感じずにはおれないのである。(3.23.追記)
そういう意味では某サロンが宗教っぽいと噂の映画よりも、
こちらの方が本格的に宗教だとも考えるのである。
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