「シン世界の結実」シン・エヴァンゲリオン劇場版 室木雄太さんの映画レビュー(感想・評価)
シン世界の結実
二度目の鑑賞。
“涙で救えるのは自分しかいない”
エンドロールを見届け、“終劇”後の、静寂に包まれた劇場内で一呼吸をし… 先ずはこのチームの仕事に感嘆の意を表したい。ファンを拡張しながら複雑に進展してきた世界の幕引き、その新作公開は、ある意味で審判を委ねる儀式たる重責も伴うはずだ。待ち侘びた場内に満ちる期待感、マニアならずとも特有の緊迫感は興奮への堪らない要因だ。私はシンプルに、このシリーズがみせる「深淵なる世界観の描写」が好きだ。アニメーションへの深い造詣や、ファン垂涎なディテールの知識がある訳では無い。しかし、アニメファンの範疇を超え愛される所以が、単純でない要素であることは理解している。そして、生みの親、人間・庵野秀明の仕事に大いなる興味があった。かつて宮崎駿が“血を吐く様に仕事をしている”と評した稀代のクリエーター、初号機の雄叫びは、時に彼自身の叫びとシンクロしていたのではないだろうか。改めてEVAの虜となる、始まりを感じさせてくれた完結作だった。
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