「28歳がやり直す旧劇のようなもの」シン・エヴァンゲリオン劇場版 ななぱさんの映画レビュー(感想・評価)
28歳がやり直す旧劇のようなもの
序盤の第三村は黒波さんが微笑ましい反面、シンジくんは引きこもりが外に出たら同級生は仕事や結婚をしていて自分の悩みと似たようなことはとうの昔に折り合いつけて生きている。
年下もどんどん自分を追い抜いていく。
それでも周囲は引きこもり大変だったねと気を遣ってくれるって描写にしか見えない。
そんなシンジくんは劇的なことが起こるわけでもなく時間をかけて他者のやさしさに気付き、受け入れ、他の人と同じようにゆっくりと折り合いをつけて前に進めるようになる。なんと現実的な展開。
ゲンドウはたまたま経験できた数少ない恋愛経験にいつまでも縋り付いているが、
シンジは昔は好きだったと過去のこととして割切り初恋でも母でもなく新たな出会いを選ぶ。これも現実では普通の選択。
他にもわからないから話し合いたいと意思表示したり他者の気持ちを理解したりと終始漫画アニメ的な決断や展開ではなく他者と関わり現実的な落とし所を選択するシンジくん。
14歳だったシンジくんは気が付けばトウジやケンスケと同じ目線で話す28歳のメンタルを手に入れる。
結果、旧劇ではまわりを拒絶して一人だった14歳のシンジくんだけど現実的で普通な行動が取れるようになった28歳のシンジくんはコミュニケーションをとり、他者を理解し、助けて助けられてみんな幸せになるハッピーエンド。
シンジくんに限らず悩みながら落とし所を見つけているキャラばかり。
周りに支えられて鬱を乗り越えた庵野監督だからこその話なのかなと思いつつ、
みんな同じような悩みを経験していて他者と関わっていれば落としどころをみつけるしかないってわかるでしょそれがベターな結果に辿り着くのよ感が終始前面に押し出されている。
人並みの恋愛や色々苦労を経験した妻帯者のおっさんには細かい設定はよくわからんがキャクターの心情や展開に共感できる映画だろうし
一方で旧劇のシンジくんのメンタルと同じような位置で20年間留まってQをこれこそがエヴァだと大歓迎したオタクさんからしたら共感していたシンジくんが大人になって取り残される地獄のような映画。
「オタクさんからしたら共感していたシンジくんが大人になって取り残される地獄のような映画。」
言ってしまった!!(笑
庵野さん、突き放しましたね。
これも優しさでしょうね。