「みんな、大人になったんだなぁ」シン・エヴァンゲリオン劇場版 逆さクラゲの飼育員さんの映画レビュー(感想・評価)
みんな、大人になったんだなぁ
こんな四半世紀にも渡る壮大な作品のラストをどうするのかドキドキして見届けましたが、
画面で起こっているとんでもない映像体験とは裏腹に
すごく人間味のある物語で、最後は暖かい気持ちになりました。
最高の終わり方だと思います。
スタッフの皆様、素晴らしい作品をありがとうございます。
でも、なんでしょう。
映画を見終わって、すごく懐かしい気持ちになって悲しくなりました。
登場人物の性格や発言が、
昔はこんな人もいっぱい居たなぁと思うんですが、
最近はみんな情報を瞬時に手に入れる手段を持っているので、いろいろ賢くなってしまい、こういう人間味のある人たちを全然見かけなくなりました。
他人に深入りする人もいないので、
シンジのように悩む人もいないですし。
ゲンドウのような不器用な人もほとんど見かけませんよね。最近は。
ネットや会社の人たちの発言聞いてても常に実利を求めていて、
新メンバーのVELLEクルーのようです(笑)
TwitterやSNSを利用せざる終えない世の中になって、
そんな中で、
「個人のエゴ」を通そうとすると、潰される仕組みが現実には出来てしまっているので、
望むと望まざるは関係なく、発言や思想の統一がなされる世の中になってしまったんだなぁと感じました。
ある意味、思想においては、人類補完計画が現実では起こっているんじゃないでしょうか(笑)
ゲンドウの発言や、やっている事も今の価値観に照らし合わせると子ども以外の何者でもないので、
すごく幼稚に見えますね。なんか可愛いというか…
でも、これは作品のテーマが悪いとかではなく時代が変わったんだなぁと思わせてくれる良いきっかけなんだと思います。
制作者も「これじゃあ、バカじゃなくガキね。」とアスカに言わせたくなる気持ちがスッゴく分かりました。
このままエヴァを作り続けても作品内の登場人物と現実の人々の価値観がどんどんズレて来ているので、
今回がちゃんと完結できる最後のチャンスだったんでしょうね。
何にしても、
素晴らしい作品の最後を見届けられたのは、
感無量です。
庵野監督を始め、スタッフの皆様お疲れ様でした。
素晴らしい作品をありがとうございます!