「語りたくなる作品/雑談(ネタばれ有)」シン・エヴァンゲリオン劇場版 メメント森さんの映画レビュー(感想・評価)
語りたくなる作品/雑談(ネタばれ有)
エヴァほど多くの人に「語りたい!」と思わせる作品はないのかもしれません。友人が少ない僕もそんな一人です。
一人で映画館へ向かい、鑑賞後から一日中「あー、エヴァが終わってしまった、面白かったなー。」とふつふつと沸き起こる様々な感情を語りたく初投稿します。
開始直後の戦時日本のような集落、『この世界の片隅で』を思わせるような共同体での生活。
ほっこりしたヒューマンドラマ的な物語に「俺は何を見せられてるんだ!?これからどうなってしまうんだ…」と思わされましたが、中盤からのドーパミンが脳内に溢れ出すような戦闘シーンと内面世界を混沌と描くエヴァ的展開に安心しました。
(超余談ですが、東京駅に「綾波レイのにんにくせんべい」という商品が売っており「綾波レイの無機質なイメージと最もかけ離れた商品じゃないか」と笑ってしまったのですが、今回、土仕事に勤しむ姿や赤ちゃんと触れ合う綾波はそんなに遠くもないなと思ってしまいました…笑)
アスカが戦闘前にシンジと話に行くシーンでは、いざこざがあって別れたカップルが10年ぶりに再会した、みたいな生々しさがありました。
「なんで私があなたを振ったか分かる?」「あのときは俺は君のことちゃんと理解できてなかった。ごめん。」「あなたのこと好きだったな。でも、もう昔の話だね…。」みたいな。
庵野監督の恋愛経験を反映してるのでしょうか?笑
最後の結末は驚きのマイナーカップリングでしたね。
ケンスケ×アスカ、シンジ×マリはたまに同人誌でも見かけることはありましたが、少数派だったのでは…。ちょっとアスカの扱いが軽いのではないか、と思わせられる気もしましたが、何はともあれ幸せなら良かった!
旧劇での全てを破壊するような結末、「全て壊れてしまえ」みたいな暗く陰鬱な衝動溢れるエヴァが好きだった僕には少し物足りなさも感じましたが、全ての登場人物を救う今回の展開はなんだか安堵も覚えました。
小説家の滝沢竜彦が旧劇のエヴァを見て絶望し、エヴァのエロアンソロジー『失楽園』に多くの人が魅了されていった、みたいなことを言っていましたが、同じように救いのないラストになっていたら日本にエヴァのエロアンソロが氾濫してしまったかも…笑)
宇部新川駅は庵野監督の地元だそうですが、そうなるとシンジ=庵野監督、マリ=安野モヨコなのか!?とか思ってしまいますね。
(そういえば、「シュガシュガルーン」とか、オチビサン?の絵本とか出てきてましたし。)
なんだかんだ、今までのほぼ全てのもやもやを回収し、爽快感・エンタメ感、内面世界の混沌的描写と、今までの総決算ともいえる最終回に安心と少しの寂しさと感じつつ、全体的には大満足で見てよかったと思える作品でした。