「マクレーン家の男は不死身」ダイ・ハード ラスト・デイ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
マクレーン家の男は不死身
「ダイ・ハード」シリーズの魅力は、ほんの数秒での判断力と行動力にある。2作目で輸送機のコクピットに手榴弾がゴロゴロ放り込まれるシーンがいい例だ。
ただ、巻き込まれ型のマクレーンも場慣れしてきて、その決断が大胆になってきた。4作目でのF35戦闘機への飛び乗りがまさにそれ。
無謀さが作品を重ねるごとにエスカレートし、この5作目では、もはや目的は目の前の敵をやっつけることだけになってしまった。
ただただ壊しまくる前半は「えっ、マジですかい」という展開だ。
初めて2時間を切る最短98分の今作、余分な贅肉を取ったというよりは、もともと肉など付いていなかったというべきだろう。シリーズ最短でも内容が濃かった「007 慰めの報酬」とはそこが違う。
ただし、面白くないといっているのではない。もともとこのシリーズはビスタサイズのB級もので、そのなんでもアリのアクションがウリなのだ。
そして、ブルース・ウィリスはこのシリーズを基盤に独特のブランドを確立した。「まさか!?」といえるアクションもブルース・ウィルスなら許せる。むしろ、ブルース・ウィルスならやれると思わせる既成概念を我々に植えつけてしまった。このブランド力は、大御所スタローンやシュワルツネッガーも到達できなかった位置にまで登りつめている。どんなアクションスターもリアリティという壁をどこかで意識しているところがあるが、ブルース・ウィルスにはそれがない。ビルから落ちようが、床に叩きつけられようが、体のあちこちに擦り傷を創り痛みを堪えた表情さえすればすべてが許される。病院行きなど考えられない。あの人を喰ったような笑みで誤魔化されてしまう。それがブルース・ウィルスの強みだ。