ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日のレビュー・感想・評価
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事実と想像の境界がわからない話
ずっと見たかった作品を見られた。サラームボンベイとジュラシックワールドで一度見たら忘れない顔立ちと存在感を放つイルハンカーンが、大人になったパイ役で登場!しかし彼はもうこの世にいない。
カーン演じるパイ本人が語り部として、作品執筆に行き詰まったカナダ人作家を相手に、青年の頃に体験した2つの漂流記を話す。
泳ぎの上手い叔父の人生観を変えた、フランスのきれいな美しいプールを意味する名を持つピシだが、ヒンディではおしっこという意味になるので学校ではからかわれいじめられる。
ある時から、学期初めに全ての授業で円周率を暗記して言ってのけ、みんなにパイと呼ばせることに成功した。
フランス統治の名残が残るフレンチシックな街並みで、両親は母がヒンディーの植物学者、父は植物園を転じさせて動物園経営。パイは独特な環境下で、カトリックヒンディーとイスラム3つの神を信じて、叔父から水泳を習いながらベジタリアンとして育った。父からは、動物は決して野生を忘れて懐くということはないと悉く言われながら。動物園では飼い主の名前を間違えて付けられたトラのリチャードパーカーが小トラの時にパイが檻を開け手で餌をやろうとして父にこっぴどく危険性を叱られたことから、パイにとっては印象的な動物となっていた。
一家でアメリカに移住し動物園は売却しようとして船に乗り込み航海中だったが、眠りの浅かったパイだけが甲板にいるときに大嵐に見舞われ、脱出ボートに乗ることに。
ここから、大人になったパイの話では、最初にボートにいた肉料理を出す料理長は飛び落ちてきたシマウマに吹っ飛ばされてしまい、パイはシマウマと、沖を泳いできたトラのリチャードパーカーと、バナナの塊に乗ってきたオランウータンと、船から後から飛び出してくるハイエナと一緒に漂流していたことになるが、
最後まで残ったリチャードパーカーとパイで生き延びた話など保険会社は信じない。
パイは、料理長が生きるために、乗り合わせた仏教徒を食べ、次に母親を食べようと殺したためパイが激昂して料理長を殺し、脱出ボートで唯一の生存者となった別の話をしたが、保険会社はこちらも気に入らなかった。
パイの話を聞き入っていたカナダ人作家が、
シマウマ=仏教徒
ハイエナ=料理長
オランウータン=母親
トラのリチャードパーカー=パイ自身
なのではと指摘する。
そこで、どちらの話を信じたいかカナダ人作家に尋ねるパイ。ここで初めて笑顔を見せるイルハンカーン。きらりと光る白い歯が一層この話の真偽をわからなくさせる。後者の料理長もパイも殺しに手を出し人喰い生存した話が本当なのか?だとしたらきめ細やかに話された、リチャードパーカーを手懐けるための笛を用いて風向きに合わせてボートの角度を変えた訓練や、死んだシマウマを用いて漁をして干物を作り生き延びた話も全て嘘だと言うのか?
確かに、もう最期と眠りについたところでボートと筏が最初に漂着したミーアキャットだらけの真水の島が夜になると水を酸性に変えミーアキャットは木の上で眠り水を避ける話は俄に信じ難かった。ハスの花の中からはそれ以外が水面下に溶かされたであろう、人の歯も出てくる。
その後、メキシコ沖に漂着したところでトラのリチャードパーカーとは何も惜しまれず別れを告げ、パイの漂流生活や人食いしたかもしれない生活は終わり、元の人間としての生活に戻った。
両親と兄は失ったが。
現実世界では、インドを離れる前に大好きだった踊りの上手い女の子と結婚し二児をもうけ、子供には兄の名前ラビを付けているようだ。
パイの話はどこからが本当なのだろうか?
考え出すときりがないほどよくわからなかった。
でも、保険会社もカナダ人作家も、前者の話を信じた。
動物たちが沢山出てきて、真夜中の海で光るプランクトンに寄ってきたくじらや、飛び魚の群れ、月の光など幻想的で自然の脅威に晒された話。
パイが言うように、結果は同じ。どちらの話も大変な目に遭い、両親を亡くした。
同じ結果でもその過程をどう解釈するかが、宗教なのではないか?と突きつけられた。
また、人はもしそこに悲惨な真実があったとしても、たとえ脚色されていたとしようと、信じたい過程を信じる。
それだけ動物が乗っていれば糞尿問題に苦しみそうだし虎に魚をあげていたなら実際糞は出ていただろうが、そのあたりが出てこないのが不自然だった。
ただ一点。パイの生存率を上げたのには、仲間または自らに潜む存在としてのトラだけでなく、転覆した船が日本製で、脱出ボートに入っていた遭難指示書が日本製で事細かに描かれていたからかもしれない。
パイの泳ぎと数学能力と野生動物への理解が合わさり、脱出ボートと作成した筏の行き来などの生きる力に繋がった気がする。それだけ海の水面上にいれば日焼けで皮がべろべろに焼けるはずだが、そんな描写はない。3つの神を信じていたからこそ、3つの神が助けてくれたのかな?とも思うが、意識が朦朧とするまで体力を振り絞って眠りについたら、無人島に流されていたりと奇跡のような展開が重なる。
あまりにショックな日々すぎて脳が記憶を書き換えてしまったのか、覚えている事実は残酷すぎるのであえてファンタジー化したのか、よくわからない煙に撒かれる話。
タイトルなし(ネタバレ)
ある意味大ドンデン返し作品
トラと共に海上遭難漂流記
トラのCGや海上などでのファンタジックなCG映像は
素晴らしく幻想的で素敵やけどありきたりな漂流ストーリーで特に驚きも新しさも無い
とボーっと見てたらラストに急展開
え!待って!?
今までのストーリーは物語化されたものってこと!?
と考えるとあれよ、あれよというまに考察の谷間に落ちます
ネットで誰かの感想や解釈を探してなるほどな…と
そしてまた見返して答え合わせをしてと
3度楽しめる
トラが衰弱していく様子が辛かったので
実際はトラはパイの心の葛藤のメタファーだと思うと心が落ち着いたぜ
少年パイ・パテルが見たものは
インドのフランス領ポンディシェリに家族や動物達と暮らしていた少年パイ・パテル( スラージ・シャルマ )は、カナダに移住する為に家族や動物達と乗り込んだ貨物船が、嵐に見舞われ沈没し海に投げ出される。
ベンガルトラのリチャード・パーカーと共にパイ・パテル少年の長期に渡る苛酷な漂流生活が描かれる。
CGによる映像は激しくも美しい。時にファンタジー的でもある。
パイ・パテル少年が保険調査員に語るもうひとつの物語に、一体どちらが真実なのか、突然こちらに委ねられる。
気になり検索を重ね、『 ミニョネット号事件 』に辿り着き、ベンガルトラと同名のリチャード・パーカーという17才の少年の悲劇を知った。
時に気になった小さな違和感は、そういった事だったのかと鑑賞後に繋がり、考えさせられた。
ー ツィムツーム号
フジTVを録画にて鑑賞 (字幕)
感想メモ
映像が素晴らしい
動物は全てCGか?
発光生物が夜の海に浮かんでいて幻想的!綺麗!すごい!鯨!からのイカダ水没缶詰全滅の流れ最悪過ぎて、実話では耐えきれない
トビウオのシーンすごく好き!画面サイズを縮小する事で画面外から魚が飛んできているように見える!天才!このシーンだけで見る価値がある
映像効果もすごいが、話自体もとても深い、深過ぎて理解できていないと思う
まず宗教、主人公のパイは複数の宗教を信仰している、え
キリスト教、ヒンドゥー教、イスラム教
イスラム教は唯一神のアラーを崇めるが、ヒンドゥー教はシヴァ神やヴィシュヌ神など複数の神様がいる、どういうことだろう、魚も食べるタイプのビーガン?命を奪うことにすごく抵抗を感じていたので違うかも
まあ、無宗教なので詳しいことはわからない
そして真相、最後に病室のベッドでパイが語った物語、これがどこまで本当なのか、コックはハイエナだと小説家は言っていたが、これもミスリードの可能性ありそう
なんと見返すと伏線あちこちにあるそうなのですが、サブスクでの無料配信が終わっていたので2回目はまたいつか
そして浮島、海藻でできた大量のミーアキャットが住む島
これの意味するところ、全くわからん
トラと一緒に漂流したという話は信じ難いが、ワクワクした
しかし、トラは振り返ることもなく森に消えていき、消息を絶ったという最後だけが妙に現実的で引っかかる
一番悲しいのはさよならを言えずに別れを迎えること、それだけは確かだったのだろう
実際にあった事件
船員4人が難破し、1人を殺害して食べ、生き残った
食べられた船員の名前はリチャード・パーカー
このことからトラは何の隠喩か、パイが涙を流して告白したことは何だったのか
虎には友情はない?
昔観たけど、幸運にも内容を忘れたのでAmazonでもう一度観ました。
冒頭はちょっと退屈したけど、船に乗ってからはずっと引き付けられました。
本当にリアルでよくできた映像だし、話も面白かった! 一番印象に残っているのは、最後に虎が振り向かずに去るところ。何を意味するか分からないけど、平凡な映画だと虎に友情が芽生えて悲しくなるシーンになると思うけど。虎には友情なんてないんだろうね。蛇足ですが、日本人役は日本人がやってほしいね。他の映画もよく見られるけどね。
ファンタジーアドベンチャー映画だと思っていたのに
ラストで虎がジャングルへ逃げ、彼は浜辺で助かったと言うラストのままだったら5点をつけていたと思う。その後の彼のもう一つのエピソードによってその感動が覆された感じである。
カナダ人作家のシマウマとハイエナとオラウータンの喩えの説明で、虎と漂流したこと自体が偽りであったことがわかってしまう。
虎と一緒に漂流したこと自体は映画を見る限り本当の話であるような気がしていたのであるが、確かに最初に虎とシマウマとハイエナとオラウータンが同じボートに乗り込むこと自体は考えてみればそんな偶然はありえないはず。またあの浮島も改めて考えると嘘っぽく思えてしまった。ファンタジー映画好きな私にとってはファンタジーのままにして欲しかったので非常に残念なラストであった。
どちらか、または両方が作り話
映像、音楽ともに、現在の映画の技術の粋を凝らした最高峰のものと言えるだろう。
それは、総合芸術と言える映画ならではの到達点か。
でも、すべてはストーリーを語るための方便で、アクセントに過ぎない。
限定された舞台で、起きることに説得力を持たせるため、映像があり、音楽がある。
どうしてパイは虎の出てこないお話を語ったのか、そして、どちらの話が真実なのか、それは語るまでもないことなのだろうし、それにて、映画のストーリーに、より深みが増したと言えるだろう。
好みが分かれるでしょうが、私は「アリ」です。
というのは、映画の着地点が、誰もが望む方向に行かないからなのですが、そこはこの監督、さらに斜め上に押し上げてくれる感じです。
長い物語の中に、彼の名目の由来を語るくだりがあります。パイ=うんちというあだ名を嫌った彼は、断じてそんな由来の名前ではないということを強弁するために、パイ=円周率を授業中に黒板に書きだし、果てしなく埋め尽くします。不名誉な名前を避けるために、後付けでくどくどと円周率を暗記したエピソードは、一見するといかにもありそうなお話に聞こえますが、これを作り話と考えればのちのお話しのテイストは一気に変化します。
つまり、ごく自然にウソがつける、もしくは、自分にもウソか本当か分からないほどに記憶が書き換えられている。とすれば、保険会社と、本人の供述が矛盾しても、仕方ない。虎は始めから存在しなかったのだ。彼が生き延びたのは、ボートに乗った他の人の遺体を食いつないだから。彼の内なる虎を飢えさせないための方便が、リチャード・パーカーという幻の虎を生み出したという解釈が成り立つ。そのウソを、より真実に近づけるために彼はベジタリアンとして生きた。
ちなみに、リチャード・パーカーという名前は、かつて実際にあった話で、遭難し、漂流したのちに、奇跡的に発見されたボートに乗っていた船員たちが、体力もなく真っ先に衰弱し、死にかけていた少年を殺して食った犠牲者の名前で、偶然この名前になったとは到底考えられない。
さらに面白いトリビアが、大人のパイ役を演じた俳優が、同じ年に公開された『アメイジング・スパイダーマン2』に出演した時の役名がリチャード・パーカーという、不思議な偶然。主人公のピーター・パーカーのお父さん役なので、初めから決まっていた設定であり、偶然キャスティングされたようです。
2013.1.27
解釈が分かれる、そしてネタバレ解説の飛躍。
動物園を経営していたインド人家族が新天地を求めてカナダへ渡る途中、嵐で遭難し次男と懐かないトラだけが最終的に生き残ったという話。
動物が殺し合いしたのか、シマウマが骨折していたのか。
それともコックや母親が乗っていたのか。
それを考えながらレビューを拝見していると、それを越えた解説を発見。
パイの家族だったのでは、という説。ただ、解説が難解なのでなるほど~くらいで。
思ってたんと違った。90点
虎と仲良く漂流するファンタジー的な話かと思ったら。いやファンタジーではあるんだけども。
途中までキャストアウェイのノリで観てたらどんでん返しにやられました。
幻想的な映像も凄く良かった。
奇想天外な漂流劇と、ラストに問われる「物語論」
とある映画レビュアーさんが絶賛していたのを以前見たことがあったのでレンタルしてきました。タイトルとかパッケージがあまりそそられなかったので、正直あまり期待せず観ましたが、これが意外にも私に刺さる作品でした。
子供が見ても楽しめるであろう、リアルな動物が登場する漂流劇。恐ろしくも美しいリチャード・パーカー(ベンガルトラ)を見ているだけでも面白いですし、ファンタジーのような不思議な出来事が色々起こったりする展開はワクワクしますし、夜の海の映像は美しくて見惚れてしまうほどです。
昔読んだ「エルマーの冒険」という本を思い出しました。映画の雰囲気はそんな感じです。
そして最後に語られる、「もう1つの漂流物語」。上映時間の8割に及ぶ漂流生活の描写はラスト15分のための伏線だったのか、と思わせるような見事なストーリーでした。
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インドの少年であるパイ(スラージ・シャルマ)は、父親が経営する動物園で動物たちに囲まれながら過ごした。16歳になったパイは家族と共にカナダへ移住することになり、動物たちとともに貨物船で太平洋を渡っていたが、その貨物船が嵐で沈没。パイは沈没の直前に救命ボートに飛び乗り、九死に一生を得た。しかし、そのボートに乗り込んだのはパイだけではなく、動物園にいたベンガルトラも一緒だった…。
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漂流ものは数あれど、「トラと一緒に漂流」なんて映画は初めて見ました。
しかし、アイディア一発勝負でインパクト重視の作品などでは決してなく、「トラと一緒に漂流」という奇想天外摩訶不思議な状況を逆手に取ったラストのどんでん返し。
私のみならず、映画や小説などの「物語」に好んで触れる人間ならば誰もがハッとさせられるあのラストは、それまでパイのファンタジー漂流劇からの落差が凄まじく、映画を観終わってからもしばらく心に残りました。
この作品におけるメインテーマは「物語論」だと、とある映画レビュアーさんがおっしゃっていました。私もそう思います。子供が見ても楽しめるファンタジーと、大人に刺さるような「物語論」。この2つを両立し、尚且つキチンと成立しているという素晴らしい作品だったと思います。オススメです!!
箱の中に閉ざされた真実ならどちらを選ぶ?
映像美とか動物たちのリアルな描写はこの映画のおまけで、それがおまけだと最後まで気づかせないストーリー構成がすごい。
主人公パイは乗っていた船が遭難にあって、救命ボートで227日間を猛獣のトラと一緒にすごすことになる。ストーリー冒頭で大人になったパイが自らこの物語を話すから、パイが生き残ることは明確な事実なんだけど、これは生き残るまでの過酷な過程を描いた映画ではなかった。
メキシコに漂着し、一命をとりとめたパイのもとに保険会社の人たちが訪れ、調査のために船の沈没から漂着までの様子を話すよう求められるけど、猛獣とともに過ごし、神秘的な島へたどり着いた話など信じてもらえず、報告書向きの「真実」を語ることを強いられる。そして、パイから聞かされるアナザーストーリー、救命ボートに乗ったのはパイと母親と乗組員とコックの4人。パイ以外の3人様々な理由で人が人を殺す事態となり、死んでいったと。こちらの方がよっぽど現実味がある。
今まで過酷な環境で虎と過ごし、不思議な現象(パイは神からの恵みと捉えている)によって生き延びる様子を観てきたのに、いきなり現実に戻される衝撃。
大海原で精神を保ちながら虎と漂流を続けたという話も漂流中にパイが見た神秘的な光景も真実を知るのはパイのみ。漂流中の映像はとても美しくて、写実的だけど非現実的。つまり、これは現実ではないと解釈できる。
では、この物語は悲惨な真実を覆い隠す話なのかというとちょっと違う。パイがラストシーンで語る言葉がこの映画の一番伝えたいメッセージだと感じた。
"What happened happened"(起こったことは起こったこと)
パイが船の遭難事故にあい、それまでの全てを失い、メキシコに漂着したのは事実。その間に起ったことはパイのみしか知らない。パイが何を語ろうと、第3者の客観的な目が無ければ、その間に起ったことを証明する術はなく、それは不可能。真実は決して開かない箱の中に閉じ込められている。
箱の中の真実が人間の殺し合いと動物との漂流記ならあなたはどちらを選ぶ?起こってしまったことは、ありのままに受入れ、前を向いて生きていくにはどちらが良いか。人生との向き合い方を伝えるかのような映画だった。
風景の美しさが印象的
遭難してからの風景、海、空、生き物のどこか幻想的な美しさが印象的だった。
宗教を一つのテーマとしていると思ったが、信仰心がないためあまり分からなかった。内容自体も退屈に感じてしまった。
主人公が複数の宗教を信仰していたのがビックリ、そんなことしていいんだと思った。色々矛盾することあってややこしそうだけど、何を信仰するかは自由だしね。
ラストもう一つのエピソードを語るが、最初デタラメ言ってんなと思ったけど、段々と熱を帯びてきて真実味が出てくる。結局どっちが正しいのか?どっちも正しくもあり誤ってもいるのか?そこは各自予想するしかないのかな。
全く好きなタイプの映画ではないのに
感動映画でも、観ていて楽しい映画でもない。
でも、映像美だけで認められた内容スカスカ映画でもない。
自分はあまりヒューマンドラマやロマンス映画、家族愛がテーマですみたいな、「泣ける系」映画は好きではなく、これも壮大な自然がテーマの泣ける系か、自然ってスゲー系の映像美頼りの映画なのかなーと思い、ずっと観賞していませんでした。
家族が見たがっていたものの、その後忘れていて、この度図書館で発見したため初めて観賞しました。
いやぁ、思ってたのと全然違いました。若干ダラダラして退屈な感じは想定内だったので、あまり気になりませんでしたが、観たいと言っていた家族はやや退屈だったようです。
特に序盤の30分程は、インタビュアーに漂流した時の話が聞きたいと言われ過去を話すシーンです。
殆ど主人公の生い立ち少しとキリスト教、ヒンドゥー教、イスラム教の3宗教についての説明とそれに対しての主人公の語りで、宗教に特に関心の薄い日本人にとってはかなり退屈かもしれません。全部理解しようとする必要はなく、「(上の3宗教だけに限らず)いくつもの宗教を1人の人が真剣に学ぼうとするとどうなるのか?」という視点でぼんやり見ていれば大丈夫だと思います。
その後漸くインドからカナダへ、日本の大きな船に動物達を乗せ、出発です。皆さんが日本のCMを見て期待したであろう「トラと少年の漂流」シーンは、実は全体約2時間のうち半分もありません。
が、この漂流の間は全てファンタジックな出来で、映像の美しさを存分に楽しめます。
自分はVFXに結構違和感を持ってしまう方で、美しさを感じる一方「何か変だな~」とちょいちょい我に返ってしまいましたが、家族はこの点トラの動き等も不自然に感じることなく、満足だったようです。
光るクラゲや夜光虫、クジラ、トビウオの群れ…等々、大自然をただ撮影するより美しく表現しようとしているのを感じました。
さて、終盤ですが、旅(漂流)を終えた主人公が病院に担ぎ込まれ、唯一の生存者として(保険の関係で事故が船の責任か否かを知るため)日本から話を聞きたいと、2人の日本人がやってきます。
そこで、自分が体験した話を聞かせますが、夢のような話です。当然信じてもらえません。というか、「事故の原因が知りたいから事故の際の話を聞かせて欲しい」と言っているのに、主人公は「漂流して自分が如何にして生き延びたか」に重点を置いて話しているので、「いやいや、そこが知りたいんじゃなくてね」って話です。
そして、「もっと聞いた人間が信じられるような、『現実の』話をしてほしい」と言われます…
それは、一人自力で生き延びた子供には聞かない方が良いことでしょう。
ともかく、最後はちょっとした恐怖と物悲しさを抱え、映画は終わります。
恐らくこれを観て、シャマラン監督の『シックス・センス』を薄らと思い出した方もいたのではないでしょうか。
個人的には、思っていたより退屈ではありませんでした。
単調であり、かつ自分で掘り下げようと思えばいくつもの側面を持つ映画だと思います。
少なくとも、自分はここまで色々なテーマを持ちながら、ここまで纏まりのある映画を初めて観た気がします。そして、どのテーマに気付き、またどのテーマに全く気付かなくても、映画としては成り立っています。
最悪、映像だけを楽しむにしても充分な出来です。
ミステリ映画のように考える必要は全くないと思います。「難しいテーマの映画なんだ」「内容を理解しなきゃ」と構えて観るのは全くオススメしません。それをすると、逆に楽しく観られないのではないでしょうか。
観ていて自然と何かしらに気付くように作られています。
動物がメタファーだと気付いた時。
動物達に隠された意味を理解した時。
そして、トラの最後の行動の意味を理解した時。
どの瞬間も、ハッとさせられます。
個人的には、最後に彼が猫を飼っていることがわかるシーンが好きです。
「これがハッピーエンドかどうかは君が決めること」。
トラは永久に去ったのに、猫を飼うことにしたんですね。
自分には少し物悲しい話に感じられましたが、恐らくこれも、感じ方は人それぞれ違うのでしょう。
その人の必要な時に必要なことに気付き、その人の人生によって、同じテーマなのに違う受け止め方になるように作られている。
監督の力不足で「受け取り方は観客に任せますよ」とぶん投げてきたと感じさせる終わりではなく、良い意味で、どんな風にも取れる映画だと思います。
次は大画面で、Blu-rayや4Kなど美しい画質で観たいものです。
ん~~。
虎と人の絆だけでなく、漂流記という所に感銘を受けるべきだったのだろうが語り手の胡散臭さが拭えきれず、インタビューしている役者の表情と言葉の違和感がすごかった。そこに何か意味があったのかもしれないが。。。
最後まで見ると、面白さが少しわかる。
最後まで見ると、いろんな不自然だったことが、全部嘘の可能性が出てきて、結局、今まで見てきたのはなんだったみたいな話にもなります。うーん。壮大な不自然な嘘を見せられていたようで、微妙でした。虎との生活はありえないと。最後、謎解きみたいに、あれはあーゆー意味だったのか的な楽しみはあると思いますが、映画としては、楽しめませんでした。残念。
タイトルなし(ネタバレ)
映像がとても綺麗です!!
圧巻!!動物達がほんとにこれCG?
って思わせるぐらいのリアリティ!
虎との漂流ってどう撮影したんだろ
あまりにも動きや表情だったりが本格的すぎてびっくり(゜ロ゜)
ストーリーは色んな解釈ができます
深く考えられる事もできるしあっさりファンタジー映画として観ることもできます
虎との漂流を信じて見てましたけどまあ改めて解説観ると信じられない要素盛りだくさんだし、隠喩?みたいなのを表してたんだな〜と所々分かります。
例えば絶望に陥ったパイに虎との友情を想像することで虎は希望に変えられた存在でありパイの創造上の生き物だったことそして、それが分かる伏線はお父さんの「お前は虎の心を見てるんじゃないか、虎に写った自分を見てるんだ」ですね、
ほんとよく出来た映画です。人は時には夢を見る事で希望を持たせなきゃねって思わされた映画でした
宗教信者と無神論者が折り合いを付ける作品
素晴らしい作品でした。
表(空想)のストーリーと表のストーリーをひっくり返した裏(現実)ストーリー。
ラストで初めて浮き彫りになる最大のテーマ!構成抜群です。
以下、ネタバレ
表と裏ストーリーの中にはつじつまの会わない部分があり、諸説ありますが
いわゆる食人島の部分はあくまで現代社会のメタファーをパイ自らが付けた【話の尾ひれ】だと解釈します。
ラストでパイが「今話したストーリーは全て神の話でもあるんだよ」と名言してる通り
この映画は
「神話や宗教上の逸話・伝承は全て人間が体験した悲劇や経験の話が脚色され尾ひれがついただけの物である」と宗教や神話を否定をしつつ
「だけど、そう考えれば今現在伝承されている神話や宗教上のトンデモなお話も理解することが出来るでしょう?」と肯定も含んでおり、実に現代人向けのメッセージだと感じました。
見る人を多少選ぶ映画ですが、ストーリーの構造を読み解くのが苦手な人でも感覚的に楽しめる映画だと思います。
So which story do you prefer?
最後まで観てから、船の遭難シーンを見返すと…これはやはりmetaphorの話なのだということが分かりました。
仏教徒の日本船員は叫びながらシマウマを指差し、シマウマがボートに飛び乗る瞬間、船員役の役者は船上で倒れ、スクリーンから消えてますね。見間違えてたらすみません。
ボートに乗ってる筈のコックは?
オラウータンに対し息子は?という質問。
ハイエナ殺す瞬間、パイのすぐ下からトラが飛び出す。
登場人物と動物、宗教辺りまでは何となく摑めますが…恐らく一度の鑑賞で?、深いレビューを書ける方々には敬意を表したいです。私は2回観ないと見逃している所が沢山ありました。
ちなみに中年パイが奥様を猫と表現していると書いている方がいましたが、字幕は知りませんが、セリフではそうではありません。
劇中パイの読書が、彼の成長と共に、アメコミ風クリシュナ物語から、Verne, Dostoyevsky, Camusと変化します。そこまで考察できたら、一層深みが増しそうです。
全50件中、1~20件目を表示












