ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日のレビュー・感想・評価
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感想メモ
映像が素晴らしい
動物は全てCGか?
発光生物が夜の海に浮かんでいて幻想的!綺麗!すごい!鯨!からのイカダ水没缶詰全滅の流れ最悪過ぎて、実話では耐えきれない
トビウオのシーンすごく好き!画面サイズを縮小する事で画面外から魚が飛んできているように見える!天才!このシーンだけで見る価値がある
映像効果もすごいが、話自体もとても深い、深過ぎて理解できていないと思う
まず宗教、主人公のパイは複数の宗教を信仰している、え
キリスト教、ヒンドゥー教、イスラム教
イスラム教は唯一神のアラーを崇めるが、ヒンドゥー教はシヴァ神やヴィシュヌ神など複数の神様がいる、どういうことだろう、魚も食べるタイプのビーガン?命を奪うことにすごく抵抗を感じていたので違うかも
まあ、無宗教なので詳しいことはわからない
そして真相、最後に病室のベッドでパイが語った物語、これがどこまで本当なのか、コックはハイエナだと小説家は言っていたが、これもミスリードの可能性ありそう
なんと見返すと伏線あちこちにあるそうなのですが、サブスクでの無料配信が終わっていたので2回目はまたいつか
そして浮島、海藻でできた大量のミーアキャットが住む島
これの意味するところ、全くわからん
トラと一緒に漂流したという話は信じ難いが、ワクワクした
しかし、トラは振り返ることもなく森に消えていき、消息を絶ったという最後だけが妙に現実的で引っかかる
一番悲しいのはさよならを言えずに別れを迎えること、それだけは確かだったのだろう
実際にあった事件
船員4人が難破し、1人を殺害して食べ、生き残った
食べられた船員の名前はリチャード・パーカー
このことからトラは何の隠喩か、パイが涙を流して告白したことは何だったのか
虎には友情はない?
昔観たけど、幸運にも内容を忘れたのでAmazonでもう一度観ました。
冒頭はちょっと退屈したけど、船に乗ってからはずっと引き付けられました。
本当にリアルでよくできた映像だし、話も面白かった! 一番印象に残っているのは、最後に虎が振り向かずに去るところ。何を意味するか分からないけど、平凡な映画だと虎に友情が芽生えて悲しくなるシーンになると思うけど。虎には友情なんてないんだろうね。蛇足ですが、日本人役は日本人がやってほしいね。他の映画もよく見られるけどね。
ファンタジーアドベンチャー映画だと思っていたのに
ラストで虎がジャングルへ逃げ、彼は浜辺で助かったと言うラストのままだったら5点をつけていたと思う。その後の彼のもう一つのエピソードによってその感動が覆された感じである。
カナダ人作家のシマウマとハイエナとオラウータンの喩えの説明で、虎と漂流したこと自体が偽りであったことがわかってしまう。
虎と一緒に漂流したこと自体は映画を見る限り本当の話であるような気がしていたのであるが、確かに最初に虎とシマウマとハイエナとオラウータンが同じボートに乗り込むこと自体は考えてみればそんな偶然はありえないはず。またあの浮島も改めて考えると嘘っぽく思えてしまった。ファンタジー映画好きな私にとってはファンタジーのままにして欲しかったので非常に残念なラストであった。
どちらか、または両方が作り話
映像、音楽ともに、現在の映画の技術の粋を凝らした最高峰のものと言えるだろう。
それは、総合芸術と言える映画ならではの到達点か。
でも、すべてはストーリーを語るための方便で、アクセントに過ぎない。
限定された舞台で、起きることに説得力を持たせるため、映像があり、音楽がある。
どうしてパイは虎の出てこないお話を語ったのか、そして、どちらの話が真実なのか、それは語るまでもないことなのだろうし、それにて、映画のストーリーに、より深みが増したと言えるだろう。
好みが分かれるでしょうが、私は「アリ」です。
というのは、映画の着地点が、誰もが望む方向に行かないからなのですが、そこはこの監督、さらに斜め上に押し上げてくれる感じです。
長い物語の中に、彼の名目の由来を語るくだりがあります。パイ=うんちというあだ名を嫌った彼は、断じてそんな由来の名前ではないということを強弁するために、パイ=円周率を授業中に黒板に書きだし、果てしなく埋め尽くします。不名誉な名前を避けるために、後付けでくどくどと円周率を暗記したエピソードは、一見するといかにもありそうなお話に聞こえますが、これを作り話と考えればのちのお話しのテイストは一気に変化します。
つまり、ごく自然にウソがつける、もしくは、自分にもウソか本当か分からないほどに記憶が書き換えられている。とすれば、保険会社と、本人の供述が矛盾しても、仕方ない。虎は始めから存在しなかったのだ。彼が生き延びたのは、ボートに乗った他の人の遺体を食いつないだから。彼の内なる虎を飢えさせないための方便が、リチャード・パーカーという幻の虎を生み出したという解釈が成り立つ。そのウソを、より真実に近づけるために彼はベジタリアンとして生きた。
ちなみに、リチャード・パーカーという名前は、かつて実際にあった話で、遭難し、漂流したのちに、奇跡的に発見されたボートに乗っていた船員たちが、体力もなく真っ先に衰弱し、死にかけていた少年を殺して食った犠牲者の名前で、偶然この名前になったとは到底考えられない。
さらに面白いトリビアが、大人のパイ役を演じた俳優が、同じ年に公開された『アメイジング・スパイダーマン2』に出演した時の役名がリチャード・パーカーという、不思議な偶然。主人公のピーター・パーカーのお父さん役なので、初めから決まっていた設定であり、偶然キャスティングされたようです。
2013.1.27
解釈が分かれる、そしてネタバレ解説の飛躍。
動物園を経営していたインド人家族が新天地を求めてカナダへ渡る途中、嵐で遭難し次男と懐かないトラだけが最終的に生き残ったという話。
動物が殺し合いしたのか、シマウマが骨折していたのか。
それともコックや母親が乗っていたのか。
それを考えながらレビューを拝見していると、それを越えた解説を発見。
パイの家族だったのでは、という説。ただ、解説が難解なのでなるほど~くらいで。
思ってたんと違った。90点
虎と仲良く漂流するファンタジー的な話かと思ったら。いやファンタジーではあるんだけども。
途中までキャストアウェイのノリで観てたらどんでん返しにやられました。
幻想的な映像も凄く良かった。
奇想天外な漂流劇と、ラストに問われる「物語論」
とある映画レビュアーさんが絶賛していたのを以前見たことがあったのでレンタルしてきました。タイトルとかパッケージがあまりそそられなかったので、正直あまり期待せず観ましたが、これが意外にも私に刺さる作品でした。
子供が見ても楽しめるであろう、リアルな動物が登場する漂流劇。恐ろしくも美しいリチャード・パーカー(ベンガルトラ)を見ているだけでも面白いですし、ファンタジーのような不思議な出来事が色々起こったりする展開はワクワクしますし、夜の海の映像は美しくて見惚れてしまうほどです。
昔読んだ「エルマーの冒険」という本を思い出しました。映画の雰囲気はそんな感じです。
そして最後に語られる、「もう1つの漂流物語」。上映時間の8割に及ぶ漂流生活の描写はラスト15分のための伏線だったのか、と思わせるような見事なストーリーでした。
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インドの少年であるパイ(スラージ・シャルマ)は、父親が経営する動物園で動物たちに囲まれながら過ごした。16歳になったパイは家族と共にカナダへ移住することになり、動物たちとともに貨物船で太平洋を渡っていたが、その貨物船が嵐で沈没。パイは沈没の直前に救命ボートに飛び乗り、九死に一生を得た。しかし、そのボートに乗り込んだのはパイだけではなく、動物園にいたベンガルトラも一緒だった…。
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漂流ものは数あれど、「トラと一緒に漂流」なんて映画は初めて見ました。
しかし、アイディア一発勝負でインパクト重視の作品などでは決してなく、「トラと一緒に漂流」という奇想天外摩訶不思議な状況を逆手に取ったラストのどんでん返し。
私のみならず、映画や小説などの「物語」に好んで触れる人間ならば誰もがハッとさせられるあのラストは、それまでパイのファンタジー漂流劇からの落差が凄まじく、映画を観終わってからもしばらく心に残りました。
この作品におけるメインテーマは「物語論」だと、とある映画レビュアーさんがおっしゃっていました。私もそう思います。子供が見ても楽しめるファンタジーと、大人に刺さるような「物語論」。この2つを両立し、尚且つキチンと成立しているという素晴らしい作品だったと思います。オススメです!!
箱の中に閉ざされた真実ならどちらを選ぶ?
映像美とか動物たちのリアルな描写はこの映画のおまけで、それがおまけだと最後まで気づかせないストーリー構成がすごい。
主人公パイは乗っていた船が遭難にあって、救命ボートで227日間を猛獣のトラと一緒にすごすことになる。ストーリー冒頭で大人になったパイが自らこの物語を話すから、パイが生き残ることは明確な事実なんだけど、これは生き残るまでの過酷な過程を描いた映画ではなかった。
メキシコに漂着し、一命をとりとめたパイのもとに保険会社の人たちが訪れ、調査のために船の沈没から漂着までの様子を話すよう求められるけど、猛獣とともに過ごし、神秘的な島へたどり着いた話など信じてもらえず、報告書向きの「真実」を語ることを強いられる。そして、パイから聞かされるアナザーストーリー、救命ボートに乗ったのはパイと母親と乗組員とコックの4人。パイ以外の3人様々な理由で人が人を殺す事態となり、死んでいったと。こちらの方がよっぽど現実味がある。
今まで過酷な環境で虎と過ごし、不思議な現象(パイは神からの恵みと捉えている)によって生き延びる様子を観てきたのに、いきなり現実に戻される衝撃。
大海原で精神を保ちながら虎と漂流を続けたという話も漂流中にパイが見た神秘的な光景も真実を知るのはパイのみ。漂流中の映像はとても美しくて、写実的だけど非現実的。つまり、これは現実ではないと解釈できる。
では、この物語は悲惨な真実を覆い隠す話なのかというとちょっと違う。パイがラストシーンで語る言葉がこの映画の一番伝えたいメッセージだと感じた。
"What happened happened"(起こったことは起こったこと)
パイが船の遭難事故にあい、それまでの全てを失い、メキシコに漂着したのは事実。その間に起ったことはパイのみしか知らない。パイが何を語ろうと、第3者の客観的な目が無ければ、その間に起ったことを証明する術はなく、それは不可能。真実は決して開かない箱の中に閉じ込められている。
箱の中の真実が人間の殺し合いと動物との漂流記ならあなたはどちらを選ぶ?起こってしまったことは、ありのままに受入れ、前を向いて生きていくにはどちらが良いか。人生との向き合い方を伝えるかのような映画だった。
風景の美しさが印象的
遭難してからの風景、海、空、生き物のどこか幻想的な美しさが印象的だった。
宗教を一つのテーマとしていると思ったが、信仰心がないためあまり分からなかった。内容自体も退屈に感じてしまった。
主人公が複数の宗教を信仰していたのがビックリ、そんなことしていいんだと思った。色々矛盾することあってややこしそうだけど、何を信仰するかは自由だしね。
ラストもう一つのエピソードを語るが、最初デタラメ言ってんなと思ったけど、段々と熱を帯びてきて真実味が出てくる。結局どっちが正しいのか?どっちも正しくもあり誤ってもいるのか?そこは各自予想するしかないのかな。
全く好きなタイプの映画ではないのに
感動映画でも、観ていて楽しい映画でもない。
でも、映像美だけで認められた内容スカスカ映画でもない。
自分はあまりヒューマンドラマやロマンス映画、家族愛がテーマですみたいな、「泣ける系」映画は好きではなく、これも壮大な自然がテーマの泣ける系か、自然ってスゲー系の映像美頼りの映画なのかなーと思い、ずっと観賞していませんでした。
家族が見たがっていたものの、その後忘れていて、この度図書館で発見したため初めて観賞しました。
いやぁ、思ってたのと全然違いました。若干ダラダラして退屈な感じは想定内だったので、あまり気になりませんでしたが、観たいと言っていた家族はやや退屈だったようです。
特に序盤の30分程は、インタビュアーに漂流した時の話が聞きたいと言われ過去を話すシーンです。
殆ど主人公の生い立ち少しとキリスト教、ヒンドゥー教、イスラム教の3宗教についての説明とそれに対しての主人公の語りで、宗教に特に関心の薄い日本人にとってはかなり退屈かもしれません。全部理解しようとする必要はなく、「(上の3宗教だけに限らず)いくつもの宗教を1人の人が真剣に学ぼうとするとどうなるのか?」という視点でぼんやり見ていれば大丈夫だと思います。
その後漸くインドからカナダへ、日本の大きな船に動物達を乗せ、出発です。皆さんが日本のCMを見て期待したであろう「トラと少年の漂流」シーンは、実は全体約2時間のうち半分もありません。
が、この漂流の間は全てファンタジックな出来で、映像の美しさを存分に楽しめます。
自分はVFXに結構違和感を持ってしまう方で、美しさを感じる一方「何か変だな~」とちょいちょい我に返ってしまいましたが、家族はこの点トラの動き等も不自然に感じることなく、満足だったようです。
光るクラゲや夜光虫、クジラ、トビウオの群れ…等々、大自然をただ撮影するより美しく表現しようとしているのを感じました。
さて、終盤ですが、旅(漂流)を終えた主人公が病院に担ぎ込まれ、唯一の生存者として(保険の関係で事故が船の責任か否かを知るため)日本から話を聞きたいと、2人の日本人がやってきます。
そこで、自分が体験した話を聞かせますが、夢のような話です。当然信じてもらえません。というか、「事故の原因が知りたいから事故の際の話を聞かせて欲しい」と言っているのに、主人公は「漂流して自分が如何にして生き延びたか」に重点を置いて話しているので、「いやいや、そこが知りたいんじゃなくてね」って話です。
そして、「もっと聞いた人間が信じられるような、『現実の』話をしてほしい」と言われます…
それは、一人自力で生き延びた子供には聞かない方が良いことでしょう。
ともかく、最後はちょっとした恐怖と物悲しさを抱え、映画は終わります。
恐らくこれを観て、シャマラン監督の『シックス・センス』を薄らと思い出した方もいたのではないでしょうか。
個人的には、思っていたより退屈ではありませんでした。
単調であり、かつ自分で掘り下げようと思えばいくつもの側面を持つ映画だと思います。
少なくとも、自分はここまで色々なテーマを持ちながら、ここまで纏まりのある映画を初めて観た気がします。そして、どのテーマに気付き、またどのテーマに全く気付かなくても、映画としては成り立っています。
最悪、映像だけを楽しむにしても充分な出来です。
ミステリ映画のように考える必要は全くないと思います。「難しいテーマの映画なんだ」「内容を理解しなきゃ」と構えて観るのは全くオススメしません。それをすると、逆に楽しく観られないのではないでしょうか。
観ていて自然と何かしらに気付くように作られています。
動物がメタファーだと気付いた時。
動物達に隠された意味を理解した時。
そして、トラの最後の行動の意味を理解した時。
どの瞬間も、ハッとさせられます。
個人的には、最後に彼が猫を飼っていることがわかるシーンが好きです。
「これがハッピーエンドかどうかは君が決めること」。
トラは永久に去ったのに、猫を飼うことにしたんですね。
自分には少し物悲しい話に感じられましたが、恐らくこれも、感じ方は人それぞれ違うのでしょう。
その人の必要な時に必要なことに気付き、その人の人生によって、同じテーマなのに違う受け止め方になるように作られている。
監督の力不足で「受け取り方は観客に任せますよ」とぶん投げてきたと感じさせる終わりではなく、良い意味で、どんな風にも取れる映画だと思います。
次は大画面で、Blu-rayや4Kなど美しい画質で観たいものです。
ん~~。
虎と人の絆だけでなく、漂流記という所に感銘を受けるべきだったのだろうが語り手の胡散臭さが拭えきれず、インタビューしている役者の表情と言葉の違和感がすごかった。そこに何か意味があったのかもしれないが。。。
最後まで見ると、面白さが少しわかる。
最後まで見ると、いろんな不自然だったことが、全部嘘の可能性が出てきて、結局、今まで見てきたのはなんだったみたいな話にもなります。うーん。壮大な不自然な嘘を見せられていたようで、微妙でした。虎との生活はありえないと。最後、謎解きみたいに、あれはあーゆー意味だったのか的な楽しみはあると思いますが、映画としては、楽しめませんでした。残念。
映像がとても綺麗です!! 圧巻!!動物達がほんとにこれCG? って...
映像がとても綺麗です!!
圧巻!!動物達がほんとにこれCG?
って思わせるぐらいのリアリティ!
虎との漂流ってどう撮影したんだろ
あまりにも動きや表情だったりが本格的すぎてびっくり(゜ロ゜)
ストーリーは色んな解釈ができます
深く考えられる事もできるしあっさりファンタジー映画として観ることもできます
虎との漂流を信じて見てましたけどまあ改めて解説観ると信じられない要素盛りだくさんだし、隠喩?みたいなのを表してたんだな〜と所々分かります。
例えば絶望に陥ったパイに虎との友情を想像することで虎は希望に変えられた存在でありパイの創造上の生き物だったことそして、それが分かる伏線はお父さんの「お前は虎の心を見てるんじゃないか、虎に写った自分を見てるんだ」ですね、
ほんとよく出来た映画です。人は時には夢を見る事で希望を持たせなきゃねって思わされた映画でした
宗教信者と無神論者が折り合いを付ける作品
素晴らしい作品でした。
表(空想)のストーリーと表のストーリーをひっくり返した裏(現実)ストーリー。
ラストで初めて浮き彫りになる最大のテーマ!構成抜群です。
以下、ネタバレ
表と裏ストーリーの中にはつじつまの会わない部分があり、諸説ありますが
いわゆる食人島の部分はあくまで現代社会のメタファーをパイ自らが付けた【話の尾ひれ】だと解釈します。
ラストでパイが「今話したストーリーは全て神の話でもあるんだよ」と名言してる通り
この映画は
「神話や宗教上の逸話・伝承は全て人間が体験した悲劇や経験の話が脚色され尾ひれがついただけの物である」と宗教や神話を否定をしつつ
「だけど、そう考えれば今現在伝承されている神話や宗教上のトンデモなお話も理解することが出来るでしょう?」と肯定も含んでおり、実に現代人向けのメッセージだと感じました。
見る人を多少選ぶ映画ですが、ストーリーの構造を読み解くのが苦手な人でも感覚的に楽しめる映画だと思います。
So which story do you prefer?
最後まで観てから、船の遭難シーンを見返すと…これはやはりmetaphorの話なのだということが分かりました。
仏教徒の日本船員は叫びながらシマウマを指差し、シマウマがボートに飛び乗る瞬間、船員役の役者は船上で倒れ、スクリーンから消えてますね。見間違えてたらすみません。
ボートに乗ってる筈のコックは?
オラウータンに対し息子は?という質問。
ハイエナ殺す瞬間、パイのすぐ下からトラが飛び出す。
登場人物と動物、宗教辺りまでは何となく摑めますが…恐らく一度の鑑賞で?、深いレビューを書ける方々には敬意を表したいです。私は2回観ないと見逃している所が沢山ありました。
ちなみに中年パイが奥様を猫と表現していると書いている方がいましたが、字幕は知りませんが、セリフではそうではありません。
劇中パイの読書が、彼の成長と共に、アメコミ風クリシュナ物語から、Verne, Dostoyevsky, Camusと変化します。そこまで考察できたら、一層深みが増しそうです。
リチャード・パーカーがパイに与える勇気
インドからカナダへ移住するために乗っていた船が難破。
救助艇に残された少年パイとベンガルトラのリチャード・パーカー。
彼らが広い太平洋の真ん中で生き抜く姿を描く。
面白かったな〜。好きだな〜。この映画。
面白いな〜と思ったのは、最後に明かされる驚愕の事実。
そこで、なぜ、そこにトラがいたのかや、トラとパイの関係について考える。
すると、パイがいじめられてきた子供時代や、救助艇で起きた出来事がパイの精神状態に与えた影響について思い、リチャード・パーカーがパイを導く勇気の象徴であることに気づく。
神は、パイが孤独や恐怖に打ち勝つために、ギフトとしてリチャード・パーカーを与えたのだと思った。
リチャード・パーカーとの別れの時は、パイがもう1人でも大丈夫だという神からの合図。
素晴らしい冒険と成長の物語だった。
監督は「グリーン・デスティニー」、「ブロークバック・マウンテン」のアン・リー。
漂流中、パイの思い描く幻想的な世界がとても美しい。
虎に投影された少年の心とは
虎と漂流することになった少年のサバイバルを描いた感動の冒険譚、というイメージを根底から覆す後半の展開が物凄い。
生き延びたパイが作家に語る漂流記という形式。
第一の物語はパイの少年期の生活、船に乗る経緯と難破、そして虎とパイがいかにして共に漂流したか。そして、その話を信じなかった日本人保険員に語る第二の物語は「人間たちとの漂流記」。
この話では、漂流したメンバーは、パイ、パイの母親、貨物船でベジタリアンの母親に執拗に肉を出し続けた陰険なコックと、足を負傷した日本人船員の四名。
どちらの話を信じるかは聴き手に委ねられている。しかしこの第二の漂流記が真実であるとする方が、この話は何重にも深い重みを増してくるのである。
興味深いのは、自己犠牲をする船員は仏教徒、ベジタリアンの母は戒律者、本能のまま振舞うコックは無宗教者という点。
前日に肉入りの食事を拒否していたパイ一家は、空腹に空腹をかさねていただろう。 私は、いただける命に差をつける主義に疑問を感じてしまう。とにかく皮肉にも、宗教が命を脅かす枷となったことはたしかだ。
虎の行動をパイに置き換えると、彼もまた人食の禁忌を犯し、ネズミを食べ、魚を食べ、戒律を無視し、母親を殺した憎きコックと同じように外道に堕ちてしまったことになる。
彼の罪悪感や狂暴性が虎の姿を借りて語られていたとすると、最初は生き残ることに必死で(凶暴で勢いのある虎)、そのうち自分の罪や宗教について逡巡し(筏にのったパイは良心/ボートにのった虎は罪悪感)、死を意識し(クリシュナの姿とも言われる謎の島の出現)、辛い現実と罪をおかした自分を受け入れる(衰弱した虎に寄り添うパイ)…と、心の変遷を辿ることができる。
キリスト教、ヒンズー教、イスラム教の3宗派を学問していたパイにとって、果たして生きることに宗教は役に立ったのか?というのがこの映画のテーマなのかもしれない。 私見だが、結局、宗教は枷にもなり生きる依り代になったとも言える。
パイのように深い哲学的思考をすることができなければ、延々に続く時間というのは苦痛でしかない。自分の状況を神が与えた試練と捉えれば、一つ一つ乗り越えるたびに喜びが生まれ、また目的意識も生まれる。雷や鯨は神々しいまでに生き生きと感じられ、恐怖心は遠ざけられる。
虎が雷に怯えたのにパイが怯えなかったのは、彼が恐れや執着を克服する境地に近づいていたことを示していたのかもしれない。
わざわざ非常食を筏に移したことなど、いくつかの謎は残る。
島についても「無人島」説と「心のビジョン」説の二通り考え、結局前者なのかなと。
無人島に到着して食料を調達することができ安堵したパイは、うっかりずっとここにいてもいいかな…と思ってしまった。しかし、同じような漂流者の亡骸を見つけて、もう一度危険な大海原へ出て元の世界へ帰ることを選んだのかなと。
宗教的知見が足りないので、なぜ見つけたのが歯だったのか、酸の海やミーアキャットは何を比喩していたのかなどに頭が回らないが…。
酸の海は子宮の暗喩、という考察を見かけたこともある。
それを飛躍すると、たくさんのミーアキャットは精子で、そのときのパイは恋人のことを思いだしながらマスターベーションをしてしまった…何てことも考えてしまった。危機的状況のなか、そんな煩悩でさえ追い払えない自分の穢れから脱却すべく、島から脱出したのかも、と。 まあこれは飛躍しすぎたと思いますが。
パイと虎との別れですが、パイが罪悪感と決別したとも受け取れるし、家族を失った現実を正面から受け止めることができるようになった、とも受け止れる。
とにもかくにも、パイの話を証明する人間がいないので、どちらが真実かは受け手が決着をつけるしかない。
話を聞きに来た作家も、当時の保険員も、パイの最初の話を信じた(ふりをした)。
嘘はつき続けていれば本物になる。
どちらの話が、皆にとって幸せなのか…真実はパイのみぞ知る。
映像がとても綺麗!
とにかく圧倒的な映像美でした!
映画館で観たらもっと綺麗だったんだろうとおもって映画館で観れば良かったです。
話はフィクションであると考えて観ればとても面白い話です。必死に生き延びようとするパイの姿やあれだけ苦しめられたトラを助けようとするのはとても良かったです。
嵐にあっていろいろなものが飛んでいくのを見ていたらとても切なくなりました。
パイはトラを大切にしていたのにトラはパイを振り返って見ることもなく去っていったのは残念のようにもおもえます、でも人とトラの友情は成立しないということが伝わってきてそれはそれで良かった。
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