ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日のレビュー・感想・評価
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映画は全集中で見ないとね
そこそこ評判いいらしい、そんな程度の予備知識で初鑑賞。
なるほど映像がとびきり美しい。海上で海抜ゼロメートルで過ごすとこんな体験できるのかと目から鱗なイベントも楽しい。そして動物たちとの奇天烈な共同生活。持ち前の頭の良さでなんとか窮地をしのぐ主人公に安堵し大団円、と思いきや。
実のところ、ラストで主人公から語られる話に戸惑いつつ、漂流疲れ(?)のためか集中力がすでに落ちており、いまさら何を言いだしてくれてるんだこの主人公は!という趣きで鑑賞終了。
なんともすっきりしない異色の終わりかたに促され映画コムのレビューを見てみる。
今では主人公がラストに語ったほうが真実なのだろうと思っている。
理由は二つ。
フィクションのご都合主義ということでスルーしていたが、やはり不自然なことが多く起きているからだ。そう言えば救命ボートにうまい具合に〇〇ばかりが集まるところからして違和感はあった。
考えてみればできすぎだ。
もう一つは、むごい話ではあるのだがそう考えたほうがおもしろいと思うから。
少なくともそう考えることで、次回は初見とは違った楽しみかたで鑑賞できることだろう。
奇想天外な漂流劇と、ラストに問われる「物語論」
とある映画レビュアーさんが絶賛していたのを以前見たことがあったのでレンタルしてきました。タイトルとかパッケージがあまりそそられなかったので、正直あまり期待せず観ましたが、これが意外にも私に刺さる作品でした。
子供が見ても楽しめるであろう、リアルな動物が登場する漂流劇。恐ろしくも美しいリチャード・パーカー(ベンガルトラ)を見ているだけでも面白いですし、ファンタジーのような不思議な出来事が色々起こったりする展開はワクワクしますし、夜の海の映像は美しくて見惚れてしまうほどです。
昔読んだ「エルマーの冒険」という本を思い出しました。映画の雰囲気はそんな感じです。
そして最後に語られる、「もう1つの漂流物語」。上映時間の8割に及ぶ漂流生活の描写はラスト15分のための伏線だったのか、と思わせるような見事なストーリーでした。
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インドの少年であるパイ(スラージ・シャルマ)は、父親が経営する動物園で動物たちに囲まれながら過ごした。16歳になったパイは家族と共にカナダへ移住することになり、動物たちとともに貨物船で太平洋を渡っていたが、その貨物船が嵐で沈没。パイは沈没の直前に救命ボートに飛び乗り、九死に一生を得た。しかし、そのボートに乗り込んだのはパイだけではなく、動物園にいたベンガルトラも一緒だった…。
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漂流ものは数あれど、「トラと一緒に漂流」なんて映画は初めて見ました。
しかし、アイディア一発勝負でインパクト重視の作品などでは決してなく、「トラと一緒に漂流」という奇想天外摩訶不思議な状況を逆手に取ったラストのどんでん返し。
私のみならず、映画や小説などの「物語」に好んで触れる人間ならば誰もがハッとさせられるあのラストは、それまでパイのファンタジー漂流劇からの落差が凄まじく、映画を観終わってからもしばらく心に残りました。
この作品におけるメインテーマは「物語論」だと、とある映画レビュアーさんがおっしゃっていました。私もそう思います。子供が見ても楽しめるファンタジーと、大人に刺さるような「物語論」。この2つを両立し、尚且つキチンと成立しているという素晴らしい作品だったと思います。オススメです!!
箱の中に閉ざされた真実ならどちらを選ぶ?
映像美とか動物たちのリアルな描写はこの映画のおまけで、それがおまけだと最後まで気づかせないストーリー構成がすごい。
主人公パイは乗っていた船が遭難にあって、救命ボートで227日間を猛獣のトラと一緒にすごすことになる。ストーリー冒頭で大人になったパイが自らこの物語を話すから、パイが生き残ることは明確な事実なんだけど、これは生き残るまでの過酷な過程を描いた映画ではなかった。
メキシコに漂着し、一命をとりとめたパイのもとに保険会社の人たちが訪れ、調査のために船の沈没から漂着までの様子を話すよう求められるけど、猛獣とともに過ごし、神秘的な島へたどり着いた話など信じてもらえず、報告書向きの「真実」を語ることを強いられる。そして、パイから聞かされるアナザーストーリー、救命ボートに乗ったのはパイと母親と乗組員とコックの4人。パイ以外の3人様々な理由で人が人を殺す事態となり、死んでいったと。こちらの方がよっぽど現実味がある。
今まで過酷な環境で虎と過ごし、不思議な現象(パイは神からの恵みと捉えている)によって生き延びる様子を観てきたのに、いきなり現実に戻される衝撃。
大海原で精神を保ちながら虎と漂流を続けたという話も漂流中にパイが見た神秘的な光景も真実を知るのはパイのみ。漂流中の映像はとても美しくて、写実的だけど非現実的。つまり、これは現実ではないと解釈できる。
では、この物語は悲惨な真実を覆い隠す話なのかというとちょっと違う。パイがラストシーンで語る言葉がこの映画の一番伝えたいメッセージだと感じた。
"What happened happened"(起こったことは起こったこと)
パイが船の遭難事故にあい、それまでの全てを失い、メキシコに漂着したのは事実。その間に起ったことはパイのみしか知らない。パイが何を語ろうと、第3者の客観的な目が無ければ、その間に起ったことを証明する術はなく、それは不可能。真実は決して開かない箱の中に閉じ込められている。
箱の中の真実が人間の殺し合いと動物との漂流記ならあなたはどちらを選ぶ?起こってしまったことは、ありのままに受入れ、前を向いて生きていくにはどちらが良いか。人生との向き合い方を伝えるかのような映画だった。
風景の美しさが印象的
遭難してからの風景、海、空、生き物のどこか幻想的な美しさが印象的だった。
宗教を一つのテーマとしていると思ったが、信仰心がないためあまり分からなかった。内容自体も退屈に感じてしまった。
主人公が複数の宗教を信仰していたのがビックリ、そんなことしていいんだと思った。色々矛盾することあってややこしそうだけど、何を信仰するかは自由だしね。
ラストもう一つのエピソードを語るが、最初デタラメ言ってんなと思ったけど、段々と熱を帯びてきて真実味が出てくる。結局どっちが正しいのか?どっちも正しくもあり誤ってもいるのか?そこは各自予想するしかないのかな。
繋がらない伏線とストーリー
景色の美しさが見事
全く好きなタイプの映画ではないのに
感動映画でも、観ていて楽しい映画でもない。
でも、映像美だけで認められた内容スカスカ映画でもない。
自分はあまりヒューマンドラマやロマンス映画、家族愛がテーマですみたいな、「泣ける系」映画は好きではなく、これも壮大な自然がテーマの泣ける系か、自然ってスゲー系の映像美頼りの映画なのかなーと思い、ずっと観賞していませんでした。
家族が見たがっていたものの、その後忘れていて、この度図書館で発見したため初めて観賞しました。
いやぁ、思ってたのと全然違いました。若干ダラダラして退屈な感じは想定内だったので、あまり気になりませんでしたが、観たいと言っていた家族はやや退屈だったようです。
特に序盤の30分程は、インタビュアーに漂流した時の話が聞きたいと言われ過去を話すシーンです。
殆ど主人公の生い立ち少しとキリスト教、ヒンドゥー教、イスラム教の3宗教についての説明とそれに対しての主人公の語りで、宗教に特に関心の薄い日本人にとってはかなり退屈かもしれません。全部理解しようとする必要はなく、「(上の3宗教だけに限らず)いくつもの宗教を1人の人が真剣に学ぼうとするとどうなるのか?」という視点でぼんやり見ていれば大丈夫だと思います。
その後漸くインドからカナダへ、日本の大きな船に動物達を乗せ、出発です。皆さんが日本のCMを見て期待したであろう「トラと少年の漂流」シーンは、実は全体約2時間のうち半分もありません。
が、この漂流の間は全てファンタジックな出来で、映像の美しさを存分に楽しめます。
自分はVFXに結構違和感を持ってしまう方で、美しさを感じる一方「何か変だな~」とちょいちょい我に返ってしまいましたが、家族はこの点トラの動き等も不自然に感じることなく、満足だったようです。
光るクラゲや夜光虫、クジラ、トビウオの群れ…等々、大自然をただ撮影するより美しく表現しようとしているのを感じました。
さて、終盤ですが、旅(漂流)を終えた主人公が病院に担ぎ込まれ、唯一の生存者として(保険の関係で事故が船の責任か否かを知るため)日本から話を聞きたいと、2人の日本人がやってきます。
そこで、自分が体験した話を聞かせますが、夢のような話です。当然信じてもらえません。というか、「事故の原因が知りたいから事故の際の話を聞かせて欲しい」と言っているのに、主人公は「漂流して自分が如何にして生き延びたか」に重点を置いて話しているので、「いやいや、そこが知りたいんじゃなくてね」って話です。
そして、「もっと聞いた人間が信じられるような、『現実の』話をしてほしい」と言われます…
それは、一人自力で生き延びた子供には聞かない方が良いことでしょう。
ともかく、最後はちょっとした恐怖と物悲しさを抱え、映画は終わります。
恐らくこれを観て、シャマラン監督の『シックス・センス』を薄らと思い出した方もいたのではないでしょうか。
個人的には、思っていたより退屈ではありませんでした。
単調であり、かつ自分で掘り下げようと思えばいくつもの側面を持つ映画だと思います。
少なくとも、自分はここまで色々なテーマを持ちながら、ここまで纏まりのある映画を初めて観た気がします。そして、どのテーマに気付き、またどのテーマに全く気付かなくても、映画としては成り立っています。
最悪、映像だけを楽しむにしても充分な出来です。
ミステリ映画のように考える必要は全くないと思います。「難しいテーマの映画なんだ」「内容を理解しなきゃ」と構えて観るのは全くオススメしません。それをすると、逆に楽しく観られないのではないでしょうか。
観ていて自然と何かしらに気付くように作られています。
動物がメタファーだと気付いた時。
動物達に隠された意味を理解した時。
そして、トラの最後の行動の意味を理解した時。
どの瞬間も、ハッとさせられます。
個人的には、最後に彼が猫を飼っていることがわかるシーンが好きです。
「これがハッピーエンドかどうかは君が決めること」。
トラは永久に去ったのに、猫を飼うことにしたんですね。
自分には少し物悲しい話に感じられましたが、恐らくこれも、感じ方は人それぞれ違うのでしょう。
その人の必要な時に必要なことに気付き、その人の人生によって、同じテーマなのに違う受け止め方になるように作られている。
監督の力不足で「受け取り方は観客に任せますよ」とぶん投げてきたと感じさせる終わりではなく、良い意味で、どんな風にも取れる映画だと思います。
次は大画面で、Blu-rayや4Kなど美しい画質で観たいものです。
映像のインパクト
基本的にはファンタジーです。
冒頭出てくるパイの叔父さんのコミカルさ、
少年時代のパイの逸話の数々。
歴史的背景はあるとはいえ、
船に動物乗せていくとか、ノアの箱舟か、
と思ったら、途中で箱舟の台詞もあるし。
登場する動物は虎以外にもたくさんいて、
それらのリアルさはかなりキテル。
ただ弱肉強食の残酷描写とかも、
出来るだけ見せないように撮っているし、
魚さばくのも見せないから、
なんか全体的に、お子様向けか?とも。
虎も、何かを襲うのは迫力あるが、
それ以外のシーンは猫科の徹底さ。
若干かわいい。
だからファンタジーと映像美、
これが楽しめればこの映画はありでしょう。
登場動物全て美しい。海も空も太陽も星も美しい。
遭難とか嵐のシーンは、
どーやって撮ったのか不思議だし迫力満点。
芸術性が高く、押し付けがましくない悟りの映画
何かの哲学を語りたくてしょうがなくて失敗してる映画。映像きれいだけ...
【”パイ”という風変わりな名前の男が語る青年時代の227日に及ぶ太平洋漂流生活(ベンガルドラ付き!)の面白さに魅入られた作品。】
ー 物語の見せ方が上手い。ー
・いきなり漂流の状況から入るのではなく、今やインドを代表するイルファン・カーンが成人になったパイ・パテルとして登場し、気乗りしない感じで、カナダ人ライターに若き日の漂流物語を語り始めるところから、物語は始まる。
◆ここからが圧巻。
・数々の試練(乗っていた貨物船が沈没した後、パイとともに救命ボートに避難したシマウマ、ハイエナ、オランウータンが相次いで命を落とす中、ベンガルドラとパイが何とか生き残る・・)を潜り抜けて、一人の少年とトラの長い長い太平洋横断漂流が始まる。
・サバイバル・アドベンチャーの大作。
<漂流途中にパイが遭遇する、幻想的な美しい海洋神秘シーンも忘れ難い作品である。>
<2013年1月26日 劇場にて鑑賞>
Ang Lee
脚本と監督の表現したいことが100%マッチした極上の作品。
リリースされた時期となんか有名すぎて見る機会を失った映画作品で、1本や2本ありませんか?私に取ってはこの作品がそうでした。当時は最先端のVFXを使った美しい映像ということで、ニュースで大きく取り上げられていたことを覚えています。でもなぜか観るのが後回し後回しになって、あんまり、絶賛の声も聞かなかったので、今の今まで観ていませんでした。しかし、蓋を開けてみる、めちゃくちゃ良質で大好きな作品でした。
まず、一番最初に話したいのは、VFX。この当時は、Avatarなどが公開された時期でもあり、空前のVFXブームでした。(今もそのブームはどこが残っていますが。)この作品の8割を占める戦場でのシーンは、ほとんどのVFXショット、トラなんかも全てVFX.ここで話したいのは、そのVFXの質が高いということはもちろん、数段レベルの上がっている現在2019年に観たとしても、その違和感を感じないVFXの使い方。一言に言ってしまえば、パイの夢の中のような話なのですが、その話は後にしておいて、その夢の中のようなファンタジー世界という一枚の壁を取り払い、現実と夢の世界が区別できなくなるような世界を作り上げた上で、VFXでさらにその幅を増幅させている。まるで、美術館に行ったような感覚。我々なんかでは、到底理解できないような芸術の歴史は置いといて、世界の芸術作品に囲まれている空間というのが、自分がとても小さく感じるぐらい、広い広い世界がその作品にはあって、その奥行きさえも感じてしまう。大きくいえば宇宙を感じる時間。それをこの映画では感じることができました。
その夢の中という話ですが、主人公のパイはインドで3つの宗教を信仰しながら、円周率πの桁を無数に覚えるという変わり者。宗教と科学。これが1つのテーマ。昔から大きな対立を生んできた両極とも言える分野。そしてもう1つのテーマが大人と子供。その中でも子供の好奇心、可能性、未来を中心に描いています。パイは好奇心から、3つの宗教を信仰しながら、聖水を飲む禁忌を犯してしまう。いじめられながらも円周率をめちゃくちゃ覚えて学校のスターに。まさにテーマにぴったりのキャラクター。そのパイが漂流して、トラのリチャードパーカーと船上で生きのびるストーリーなのですが、その世界はまさにファンタジー。とても美しい空や海。波と共に訪れる多くの生き物たち。流れ着いた島での木々やミーアキャットの大群。どれも現実とは信じがたいものばかり。最後に救助された時に日本人ジャーナリストは彼のストーリーなんてまったく信じない。ぁれらがも止めているのは、読者が信じられる真実っぽいこと。しかし、子供というのは実際に現実とは信じがたい経験をしています。初めてのことは常に冒険で、毎日が自分が主人公の物語の1ページなんです。それが好奇心を触発し、夢を作り、芸術の礎を築き、成長していきます。その無限大の可能性を秘めた時期の唯一無二の感覚が、VFXを使って太平洋の上のポツンと浮かぶ一隻の船の上で描かれます。
その美しい光景には理由なんて必要ない。感じたことが正解なんだから。映画を観ているときもまったく同じ感覚。視界を埋め尽くす超現実的な映像と、耳に届く音を吸収し感じるだけで十分。その考えるスペースを自分の世界との架け橋として使い、超現実と現実とを溶け込ませる時間。この時間が映画体験。1800円の価値以上のものがあるところです。そして最後にトラのリチャードパーカーがとった行動はとても悲しい。いつかは好奇心よりも社会性、人間性が勝ってしまうときがくるのだと。
完璧。アンリー最高。
ん~~。
虎と人の絆だけでなく、漂流記という所に感銘を受けるべきだったのだろうが語り手の胡散臭さが拭えきれず、インタビューしている役者の表情と言葉の違和感がすごかった。そこに何か意味があったのかもしれないが。。。
ファンタジーの世界のトラではないのね
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