「問題提起で終わっている」桐島、部活やめるってよ tokyonightkeepersさんの映画レビュー(感想・評価)
問題提起で終わっている
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「戦おう、この世界で。俺たちはこの世界で生きていかなければならないのだから」と観客に言うのは結構だが、それは問題提起でしかない。
作者が観客に伝えなければならないのは「具体的にどうすれば『この世界』をいい方向に変えることができるか」ということを物語を通じて示唆したりすることであって、この作品で描かれることは学生にとって当たり前のことだろう。
「ハリウッドよ、これが日本の映画だ」などと宣伝してたらしいが、ハリウッドの脚本なら開始10分で提示しなければならない前提(物語のテーマ)を10倍の時間をかけて提示しただけだ。
ハリウッドの脚本家ならこう言うだろう。
「それで、いつになったら彼らが抱える問題は解決されるんだい?」
あるいは、私が学生だったらこう言うだろう。
「こんなの当たり前の現実じゃん。そんで、具体的に俺らにどうしろって言いたいわけ?」
作者は「自分で考えろ」と言いたいのかもしれないが、だったら「あなたが物語ることの意味は何なのか」と問いたい。問題提起をするだけなら「原発は問題だ」「増税って大変ね」と口で言っているだけで、具体的な解決策を考えたり行動に移したりしない人と変わらないのだから。
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