「それぞれの等身大の青春」桐島、部活やめるってよ 肉ネ~ムさんの映画レビュー(感想・評価)
それぞれの等身大の青春
原作未読。
タイトルやキャストからイメージしていたのとはまったく異なる繊細かつエッジの効いた作品。
まさか桐島が出〇〇とは...
ともあれ話は桐島中心に進んでいく。生徒たちの何気ない会話や校内の空気感が妙に等身大でヒリヒリする。
閉じた関係性において、絶対的な主人公がおらず、それぞれあまり接点のない登場人物たちが何気ないエピソードを積み重ねていく描写は「ツイン・ピークス」を思わせる。さておき...
映画にありがちな極端な人物や劇的な展開はここにはない。
そして、それぞれが奏でる不器用な音色が絡み合い折り重なり合いながら屋上での指揮者のいない合奏へと収斂していく。
よくあるきらきらした、汗や涙で彩られた青春映画を求めたら裏切られるだろう。
屋上のシーンで冗長とも感じられる前半のリピートの意味がわかった気がする。
思いを寄せる、かわいくて周囲も自分も見えてて気も使えて部活に打ち込んでて、なおかつ趣味も合うと思っていた子の等身大の秘密。そして等身大に残酷な終焉。
もどかしくて意地悪で見失って悔しくて背伸びして空気読んでみっともなくてイライラして蔑んで嫉妬して...そんな等身大が凝縮された映画。
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