「今更ながら」桐島、部活やめるってよ Movieアパートさんの映画レビュー(感想・評価)
今更ながら
前見たのは学生だったが社会人になって久々に見直して見て色々と感じるものがあった
何かを好きになったり、探したり、向き合ったりする事に一生懸命になれる時間って人生で凄く短いし、それが世に言う青春だと思うけど この映画における青春っていうのは 何かをやり残す事 だった気がする
この映画を見た時に感じる、心が捻られるような感覚っていうのはきっとこの喪失感を作り手が念頭に置いて作ってるからなんだろう
そしてそれを決して悲しい事とせず、その美しさを切り取ってみせる手腕にはただただ脱帽
特に、何かをやり残す事になっても何かに向き合う覚悟がなかった事に宏樹が8ミリカメラを通して気付くシーンは大人になった今見ると凄くズシンとくるものがあった
何かが欠けてるという思いを抱えて生きていく事から逃げてはいけないし、それは実は物凄く幸せな事かもしれない
プロットは地味といえば地味 だけど何も起こらない何てことはない というかこんなの複雑な年齢の生き物が一箇所に集まって生活してて何も起こらないわけがない 今振り返れば全てが特別だった気すらしてくるぐらい青春とやらの濃厚さは凄まじい
ただこの映画の恐ろしいのはこの 今振り返れば という注釈を外してしまうというところだと思う
もはや思い出せない 思い出そうともしないような瞬間に宿る 二度と戻ってこない、自分の一生を左右してしまう時間としての青春を切り取ってみせたこの映画は 世に言う青春映画とは一線を画す 青春映画の傑作だと思う
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