「腐った銀行の内幕を暴く、企業ドラマの傑作だ。」マージン・コール 瀬戸口仁さんの映画レビュー(感想・評価)
腐った銀行の内幕を暴く、企業ドラマの傑作だ。
金融危機の初期段階だった2008年を舞台に、巨額の不良債権を売りぬくことで、市場と顧客の信頼を失い、従業員の大量解雇が変わらずとも、会社を存続させようとする、投資銀行の内幕を描いた企業ドラマ。
投資銀行やレバレッジって何?とか、不動産サブプライムローンやMBS(不動産担保証券)など、劇中で説明は無いので、鑑賞前に基礎知識は知っておいたほうが良いかも。
経営陣や幹部行員の自己保身や責任のなすりあいを通じて、非倫理的で腐った権力構造を、実にリアルな描写で冷静に描いている。俳優陣の素晴らしいアンサンブル演技も、本作を引き締まったものにしている。
本作は、近年のどの映画よりも、ウォール街のシビアな現実を描いた作品ともいえる。非常にスリリングで最後まで見ごたえのある、たとえて言うならオフィス・スリラーとでもいえるような、企業ドラマの傑作だ。
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