劇場公開日 2012年5月19日

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「人生の主人公」サニー 永遠の仲間たち xtc4241さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5人生の主人公

2015年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

笑える

知的

「人生の主人公を取り戻した気がする」
ふたたび仲間を集めようとしている時のナミの言葉だ。

20数年まえの学生時代。
あの時は、青春を謳歌していたな!
それに比べて今は!
そんな感覚を持っていないだろうか?

学生時代の自分は“ハレ”だった。
なつかしいあの感覚、自分が輝いている世界。
確かに制約も少なく、自由奔放で、ある意味野放図だった。
そんな場面には共有する仲間がいた。
それに比べて、今の自分は“ケ”である。
子供のため、夫のため、お金のため、生きていくため、
自分を制約し、周りに気を使い、日常に埋没している。
いまはなんとなく孤立しているような感じである。

でも、それは人間が生きていくなかでの宿命でもあるのだ。
なにかを選び、なにかを諦めていくのが人間だから。

原節子さんが亡くなったとき、その演技を通して語った映画評論家の言葉
「ひとは様々な喪失感を経験しながらも、慎ましい生活のなかに幸福を見いだす。にも関わらず未来への不安を内面では抱えて持っていて、それでも何かを期待している生き物だ」

懐かしい音楽とユーモアにまぶしながら、その「喪失感」をたどり、「いま」を見つめ直し、待ち受ける「未来」をも予感させてくれる映画であったと言えるだろう。

xtc4241