苦役列車のレビュー・感想・評価
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原作者は不満?でも観客は幸せ!
まず、役者がいい。
主演の森山未來はもちろん、それ以外の役者が個性的。画面に映り込んでくる登場人物が皆味わい深い。
なかでも、マキタスポーツはよかったなあ。
あと、あっちゃんの出演シーンはとてもいいシーンなのでAKBファンは安心して観に行くといいと思います。
美術・衣装も完璧。
ちゃんと80年代になってた。つっこむところなかったです。
キャラクターごとに気配りされた衣装はそれだけで登場人物の設定を物語っています。NCAAの缶ジュースとか細かすぎ。
シンコの音楽は、特にラスト近くはシンコの音楽でよかったなと思った。シンコじゃなかったら違う印象の映画になってしまってたかも。
原作者は不満だったようだけど、原作者が気に入ってるけど面白くない映画より、原作者は不満だが心底面白い映画のほうが観客は幸せなんじゃないかな?
原作にとらわれない脚色をした脚本のいまおかさんもほめないと。
しかし、このくっさい映画をなんでここまで愛おしい作品にできるんだろうか。
この監督の作品は何本か観てきましたが、全くはずさないです。
やっぱりすごい才能なんだと思います。
全体に流れるユーモア感覚は天才の証です。
巨匠と呼ばれる監督の映画はどうしても後追いになってしまう僕ら世代ですが、リアルタイムでこの監督の作品を観れるのはもの凄くラッキーで誇らしいことなんじゃないかと思うのです。
青春のやるせなさ
山本未来さんが気持ち悪い男を熱演していて、本当に変な顔や姿勢やしゃべり方を徹底していた。また舞台が80年代の後半という人類が史上最もダサかった時代で、『タイムマシンはドラム式』のように美化することが一切なく、徹底してダサくシャツをスリムジーンズにインしていて見事だった。
原作の西村賢太さんはこの映画をとても気にいらなかったそうなのだが、どこが嫌なのか気にして見ていた。とはいえ、オレは原作を読んでいないのでなんともいえないけど、すごくいい映画だった。青春のやるせなさや儚い友情が描かれていてとても胸にしみました。原作も読んでみたくなりました。
また、ヤリマンの女とその彼氏と動物ごっこする場面はスクリーン全体が発狂していて爆笑した。
マキタスポーツさんの人足役も素晴らしかった。高良健吾さんのメンズノンノの出ていそうな古いタイプのイケメンぶりもすごかった。前田敦子ちゃんもとてもかわいらしく自然で、映画に溶け込んでいた。
ただ、かっこいい山本未来さんや前田敦子ちゃんを目当てに見に行くお客さんは相当がっかりするんじゃないでしょうか。そんな意味でも攻めています。
贅沢を言えば80年代の景色の引いた絵が見たかったし、山本さんも素晴らしいけど本物の不細工役者、例えば『おんなの河童』の梅沢くんなどが主演したものも見てみたい。
僕も30年前に戻りたい…傑作の青春映画
芥川賞作家・西村賢太の同名受賞作「私小説」を映画化。
西村賢ちゃんの単行本になった作品はすべて読んでいるオイラにとっては、かなり不満の残る作品だろう…、と見る前に想像した。
主演の森山未來は、原作者の賢ちゃんのイメージから遙かに遠いし、原作の主人公のように、コンプレックスの塊の青年を演じる演技力なんてないだろう…とも思っていた。
そういう予想はすべて裏切られた。
西村賢ちゃんは、オイラより5歳年下だが、映画では彼の青春期(オイラのでもある)1980年代半ばの空気を大変よく再現した。
小道具なんかも、当時の酒や清涼飲料水の容器も再現したのか、持ってきたのかは知らんが、同時代を生きた人間には、「わかる、わかる」と思える映像だ。
監督は30代半ばというのに、あの時代に青春期を送ったかのようにうまく描いている。
森山も、しっかり役作りをしてその演出に応えている。
映画は原作とは別物で、うまく「青春映画」として、西村賢ちゃんの世界を租借し、映像の形で昇華した。
青春映画特有のやるせなさが過不足なく描かれているし、ユーモアと苦み、ほんの少し見える将来の明るさもちりばめて、見るものを納得させてくれた。
見て損はしない作品だ。
前田敦子も下着姿を披露して、期待度大だよ!
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