「居心地の悪さがクセになる」ライク・サムワン・イン・ラブ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
居心地の悪さがクセになる
老大学教授タカシは、高級デートクラブを通じて、亡き妻似の女子大生・明子を自宅に招く。
高級デートクラブでバイトする女子大生・明子は、駅で待つ祖母を気にしつつ、仕事を優先する。
明子の恋人・ノリアキは、明子となかなか連絡が取れない事に苛立ち、タカシを祖父と勘違いする。
恋慕や嘘、嫉妬、勘違い…3人の運命が絡み合う。
ドラマチックな出来事は起こらない。
ある夜から翌朝までの3人が辿る一コマを切り取り、淡々と見つめたような展開。
どう伝えたらいいか分からないが…、見ていて、居心地の悪さを感じる映画である。
タカシの年甲斐も無い恋慕は何だか哀しい。
明子の優柔不断な振る舞い。
DVチックなノリアキの性格。
設定や状況説明もほとんど皆無。
極めつけは呆然必至のあのラスト。
途中で退屈しそうだな…と思っていたが、しかし思いの外作品世界に引き込まれた。
こそばゆいような居心地の悪さがクセになる、不思議な映画。
好き嫌いは確実に分かれる。
84歳で映画初主演の奥野匡が枯れた味わい。
ちょっと小悪魔的な高梨臨が可愛い。戸田恵梨香に似ている。
加瀬亮はさすがに巧い。
監督はイランの名匠アッバス・キアロスタミ。
外国人による違和感ある日本描写は全く無く、日本のインディーズ監督が撮ったような名演出。
才ある人は違う。
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