「意識がなくなっても、子守唄を歌って欲しいんです」終の信託 shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
意識がなくなっても、子守唄を歌って欲しいんです
クリックして本文を読む
映画「終の信託」(周防正行監督)から。
役所広司さんが演じる「重度の喘息患者の江木」さんが、
近づいた死に対して、草刈民代さん演じる担当医師の折井先生に
切実にお願いするシーンがある。
「人間が死ぬ時、まずダメになるのは、視覚だそうだそうです。
ものが言えなくなっても、見えなくなっても、
声だけは聞こえているとか・・。僕の意識が完全になくなるまで、
先生、言葉を掛けていただけないでしょうか。
できたら、意識がなくなっても、子守唄を歌って欲しいんです」
何気ない場面なのだが、とても印象に残った。
映画鑑賞や読書など「視覚」を中心とした生活を送っているからか、
「聴覚」に意識を向けたことは少なかった気がする。
しかし、この作品通じて「聴覚」を意識することが増えた。
目をつぶっていても、聞こえてくる音や会話は、
どんな微かな音も聞き逃さないように働いてくれている耳があるから。
そして本人の意識がなくなっても、聴覚だけは働き続け、
外からの音(声)を、体の中の細胞に伝えているようだ。
これからは、もっと意識して「耳」を大切にしたいなと思う。
コメントする