終の信託のレビュー・感想・評価

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終の信託

劇場公開日 2012年10月27日
22件中、1~20件目を表示 映画レビューを書く

しばらく見る気しない

ストーリーが重い分、映像も重苦しく疲れて寝てしまった。すいません。

にゃんた
にゃんたさん / 2016年5月10日 / フィーチャーフォンから投稿
  • 評価: 2.0
  • 印象:  知的 寝られる
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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原作未読 ネタバレ

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法律上の理屈では、現実の課題は何ら解決されないという事がよくわかる映画。
死を受け入れるには、遺される者が納得できる物語を必要とする。前半から中盤にかけて、役所広司の患者のひととなりや何を考えているかを丁寧に伝えている。終盤に物語のキーとなる日記も、実務処理に長けていて、深い考えを持った人物として描くためのアイテムとして効いている。
それらを共有した観客は、主人公の医師の判断をおそらく支持するだろう。本来なら、役所広司の患者は、家族にきちんと自分の意思を伝えるべきなのだろうが、それも期待できないこともきちんと描いている(家族にコミュニケーションは成り立っていない)。
行きたかった旅行も果たし、家族に負担をかけることに堪えられない彼にはもう人生に希望はないのだ。
その一方で、本当に彼が回復不能だったのかは、疑問が残るようにも描かれている。確かに医師が集えば、生命の尊重に傾くものなんだろうが、本来はあらゆる観点から議論しつくした上での結論を導くべきなのだろう。主人公は、患者の私生活に思い入れが過ぎたのかもしれない。それに至るには理由があるから、その哀切が心を打つ。
そういったまとめきらない前提を持った「事件」を処理するために訴訟がある。問題を解決するためには、訴訟で明らかになった事実を現実にコネクトしなければならないと想う。良い映画です。

おかずはるさめ
おかずはるさめさん / 2016年4月4日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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なんで映画?

映画館の大画面で映画館まで行って見てたらおこるかも。
なぜ映画?なぜテレビドラマじゃない?
テレビで録画で見ていても「なぜ映画にする必要があったんだろう?」と最後まで思った。
問題提起とエピソードが2個。
それだけを2時間ちょっとにのばしただけ。
気がつかなかったけどいつのまにか問題意識が自分の中に芽生えてた…そんな技を、映画だったら見せてほしい。
お金も人もそんなにかけない映画ならなおさら本で。
映像はきらいじゃないし、そんなに退屈でしかたなかったわけじゃないけど、ちょっと不満。

はげまる
はげまるさん / 2015年7月14日 / PCから投稿
  • 評価: 2.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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永遠の課題…

医療の 現場の 課題だと 思います、

自分ならと 置き換えたら、
楽に 死なせて 欲しいです、
周りに 迷惑は かけたくないので、

深い作品だと 思いますけど、
大沢たかお 怖ー(笑)

may be…
may be…さん / 2014年9月30日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  泣ける 悲しい 難しい
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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意識がなくなっても、子守唄を歌って欲しいんです ネタバレ

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映画「終の信託」(周防正行監督)から。
役所広司さんが演じる「重度の喘息患者の江木」さんが、
近づいた死に対して、草刈民代さん演じる担当医師の折井先生に
切実にお願いするシーンがある。
「人間が死ぬ時、まずダメになるのは、視覚だそうだそうです。
ものが言えなくなっても、見えなくなっても、
声だけは聞こえているとか・・。僕の意識が完全になくなるまで、
先生、言葉を掛けていただけないでしょうか。
できたら、意識がなくなっても、子守唄を歌って欲しいんです」
何気ない場面なのだが、とても印象に残った。
映画鑑賞や読書など「視覚」を中心とした生活を送っているからか、
「聴覚」に意識を向けたことは少なかった気がする。
しかし、この作品通じて「聴覚」を意識することが増えた。
目をつぶっていても、聞こえてくる音や会話は、
どんな微かな音も聞き逃さないように働いてくれている耳があるから。
そして本人の意識がなくなっても、聴覚だけは働き続け、
外からの音(声)を、体の中の細胞に伝えているようだ。
これからは、もっと意識して「耳」を大切にしたいなと思う。

shimo
shimoさん / 2014年3月8日 / PCから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  知的 難しい
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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無駄な部分多すぎ ネタバレ

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人間の尊厳死に関する作品。
「死にたい」と思っている重病患者を死なせた女医が告発される話。ありがちだけど、とても興味深い題材。
しかしこの映画、ものすご~く無駄な部分が多い。序盤、自らの過去をゆっくりと語る患者。ただそれが戦時中の話とか貧しかった子供時代とか、病気には全然関係ないエピソード。
さらには女医も不倫してたりして、なんか構成が散漫なんだな。
病気そのものも「ぜんそく」で、ちょっとわかりづらい。どうせ作り話なんだから素直にガンにすればよかったのに、その辺映画として演出が下手だなぁと思う。
終盤、検察官と女医との尋問は見ごたえたっぷり。ただ盛り上がるのはほんの30分くらいで、ラストもなんか中途半端。『それでもボクはやってない』みたいに取調べと裁判中心ならよかったのに。
全体的に暗すぎる内容。役所さんの苦しむ姿は苦手な人だとトラウマになるぞ(笑)

テツコ
テツコさん / 2013年5月2日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  知的
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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難しいテーマ ネタバレ

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周防夫妻のトークショー付きの試写会に参加しました。難しいテーマを深く描いていました。個人的には大沢たかおさんの演技が印象的でした。

2356ゆな
2356ゆなさん / 2012年12月30日 / フィーチャーフォンから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  難しい
  • 鑑賞方法:試写会
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家族への信託。 ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

周防監督またお得意のジャンル?と思わせるような作品。
法と秩序の不条理と人間の心理を巧みに縫い合わせて観せる。
観やすい作品ではないが(今回はまた一段と暗い)
例えば自分の最期、家族の最期、を看とる時期にある人は
色々と考えさせられることが多い作品なのではないか。
私的に最近、親世代の入退院や葬儀が相次いだ。そんな歳だ。
子供の頃はまだまだ先だと(親なんて一生元気なものなんだと)
能天気に思っていた私も、そんなお気楽に済まされない時期に
差し掛かってきた。そこで最近思うのが、自分の最期である。
今作は各々の立場で観ることができる作品だと思う。

折井医師。
まぁ誠実で真っ直ぐな女性だな、ということがすぐに分かる。
その分恋愛にも懸命で…今風に言うとイタイ?女なんだろうか。
患者には信頼を寄せられる医師だったようだが、とりわけ今回の
江木という重度の喘息患者との心通を重ねていく。
アナタは人生を正直に生きている。と江木に言われる折井医師。
それは確かに褒め言葉ではあるが、言い換えればアナタならば、
私の終の信託を受け容れてくれるだろう?と言っているのと同じ。
妻や家族に言ってもムダ(というより言えないから)アナタならば。
そんな重い選択を幾ら信頼を寄せている医師だからって、任せて
いいものなんだろうか。そこまで思うのならば、それを口頭でなく
しっかりと文書で遺しとけよ!と江木に対しては強く思った。
遺族の心配をすると同時に折井医師のその後の留意も必要だった。
まぁ確かに折井医師もこの江木に対して心が傾倒していなければ、
もっと冷静に医療判断を下せたのかもしれないが。

患者江木。
巧みに生きてきた人なんだろうが(何しろ奥さんが大人しすぎる)
全てを自分で背負い決めてしまうところが非常に頑固。
自分の人生は自分で決めるのはもちろんだが、結婚した時点で
アナタには家族に対する責任があったはず。命が朽ち果てるまで、
その意思選択を、どうして家族の誰にも言ってはくれないんだろう。
妻であったり、子供であったら、これほど切ないことはない。
一体今まで誰が彼の面倒をみて、看病をして、長い長い闘病生活に
付き合ってきたと思っているのか。いや、それだからこそ言えない。
という遠慮こそ傲慢に映る。彼の死を迎え納めるのは家族なんだぞ。
今作では折井医師とのラブストーリーが絡めてある(らしい)から
致し方ない選択とはいえ、あまりにもあまりにも…不条理であった。
ただ、私が江木の立場ならやはり(家族に意思は伝えるけれど)
早く家族を楽にしてやりたいと思う。生きる家族には未来を与えたい。
出来ようが出来まいが、家族をまず一番に考えるだろうとは思う。

塚原検事。
今回の大沢たかおの演技は、多分キャストの中で群を抜いている。
脱いだ折井よりも(ゴメンね)、苦しみ抜いた江木よりも(悪いね)、
彼の一挙一言がグサグサと心根に突き刺さってくる。巧い。怖い。
この後半のくだりがいちばんの見せ場で、前作のラストにも通じる。
だって法律は、曲げられないんだもん。そんなの当たり前だろ。と
正攻法でズバッとそこまでのナヨナヨとした倫理を打ち破ってしまう。
あぁ…何だか本当の取り調べ風景を観ているようだった。怖かった。
カツ丼なんて出るワケないか(タバコもね)、刑事ドラマとワケが違う。
自白の強要。。とは最近ニュースを賑わせていたが、
やった。やらない。で逮捕・起訴まで持ちこむことの重要性を見せて、
検事の「作戦」を勉強したような気分になった。非常に観応えがあった。
ドラマ上、最後に出てくるこの検事が最も酷い悪人に見えるが、
彼は彼の仕事をやっただけの事である。医師の仕事と同じなのだ。

うわぁ…またこのまま後味悪く終わるんだな。と思ったら今回、
裁判の結末までを字幕解説してくれる。ふーん…なるほど…そうか。
おそらく折井医師も(内心分かっていたと思う)納得できたんじゃないか。
私が最後その字幕に感動したのは、彼女の判決の鍵となったノート、
それが家族側から提出されたことだった。長い長い夫の看病に疲れて
それが終わったと思ったら医師が逮捕され、自らも尋問され、しかし
最後には夫の意思をしっかり告げて折井医師を救ったともいえる江木の
妻とその家族、その行動こそが何よりの誇りでしょう、天国の江木さん。
そう思わずにはいられなかった。

(今後の信託について、色々と勉強になりました。オペラの詞の解説も)

ハチコ
ハチコさん / 2012年11月10日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  悲しい 怖い 難しい
  • 鑑賞方法:映画館
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泣きました。

終末医療のお話で、折井が患者の江木さんの意向で尊厳死を望んだ時、色々な事情で家族には託せない事を理解し、折井は医者としてでなく管を抜いたと思います。それは許される事では無かったがそうせざるを得なかった。特に死が近づけば表現出来ないけれど、ちゃんと聞いている、判ると江木が話すのを聞き、私ごとながら義父が亡くなるとき、運悪く主人が腸閉塞で入院していて、わりと名の知られた人でしたので、私では葬儀は出来ないと思い外国に出張している義弟が帰るまで生きていてねと頼みました。もちろん返事できる状態で無かったのですが、義弟が面会した日の夕方に亡くなりました。だから泣けてきて感謝しました。家族を亡くした人には判る映画だと思いました。

未散
未散さん / 2012年11月8日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  泣ける 知的 難しい
  • 鑑賞方法:映画館
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有罪です

女医の第一印象、髪なが。医者も肉体労働だから髪長いとじゃまっけだろうに。髪を切らなければならない理由があるから仕方ないけど。監督は「それボク」、本作と映画的表現からズレている。そうやって冤罪が作られるんだとか、そうやって自白させられるんだとかは分かるけど、そんな勉強したくて映画観に行くんじゃないから。「ファンシイダンス」「シコふん」への路線回帰はないのかな。ないだろな。

ace
aceさん / 2012年11月4日 / PCから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  悲しい
  • 鑑賞方法:映画館
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終末医療に於ける問題提起と曖昧な意思表示に警鐘

自分の命が間もなく消えようとするとき、その終わりの在り方を信じる人に託したいという願望は誰にでもあるだろう。
通常ならば託す相手は家族ということになる。だが本作の末期患者・江木秦三 (役所広司)が選んだ相手は主治医の折井綾乃(草刈民代)だった。綾乃は秦三の希望を尊重して延命処置を絶つのだが、数年あとになって訴えられる。

綾乃は検察庁に呼ばれ検察官の塚原(大沢たかお)から尋問を受けるのだが、ここでの検察官は非情な人間として描かれている。検察官による厳しい追求と、告訴に都合のいい言い回しの聴取書に、同席した検察官の助手が綾乃に同情的な表情を見せるから、余計に検察官が悪者のような印象を与える。
だが、人の生死に自然ではない人為的な行為が絡んだ場合、その是非を問われるのは法の場だ。
裁判に必要な判断材料は“事実”の積み重ねであって感情論ではない。検察官のとった行為は間違っていない。生命維持装置の取り外しについても、家族への説明が充分だったとは言えないように見える。綾乃がとった行為は、自分だけが選ばれた人間だとでもいうような振る舞いで、感情で医師としての職権を乱用したと言われても仕方がない。医療に携わる者として綾乃の行為は許されるものではない。許したら、それこそ患者を生かすも殺すも医者次第ということになってしまう。

亡くなった秦三にも責任がある。本気で綾乃に終を託すのなら文書にしておくべきだ。家族にもその旨を伝えておく義務がある。結果的に第三者が見て、もっともな行為だったと納得させるものの用意が必要だ。

秦三の家族にも問題がある。秦三と真の意味で信頼関係があったとは言いがたく、そもそもの発端はそこにある。
けれども裁判になったら、問われるのは綾乃がとった医療行為の是非だけだ。

この作品は終末医療がどうあるべきか、その難しさを問題提起するとともに、迂闊な終の信託が殺人事件に発展する危険性に警鐘を鳴らす。

秦三の妻・洋子は、自分以外の女性に夫が最期を託したことに嫉妬を覚えなかったのだろうか? 半端な“書き残し”は遺恨を残すことも考えねばなるまい。

マスター@だんだん
マスター@だんだんさん / 2012年11月4日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  難しい
  • 鑑賞方法:映画館
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重いテーマを、ひときわドラマ性の強い、見応えある映画になったと思います。

 周防監督の性格が伺える超生真面目な作品です。笑いをとる場面が一つも無く、重病のぜんそく患者の病状経過と死亡時の尊厳死にの是非について愚直に追求していきます。作品のテーマは、終末医療と司法のかかわり、安楽死などを中心に据え、死について観客に問いかけてきます。ただ、そこは周防監督。重く硬質なテーマを大上段から振りかざすことはしません。毎作品ごと特殊な舞台に見いだし、優れた娯楽作に仕上げてきた周防監督作品。今回は、ひときわドラマ性の強い、見応えある映画になったと思います。
 息が詰まるような2時間24分の長尺でしたが、細かいカット割りと、時間軸が巧みに前後していくシークエンスの組み立て方で、全編最後まで画面に釘付けとなって見終えることができました。

 見どころは、息詰まる医師と検事の対決。方や法律の番人として杓子定規に主人公の医師折井を殺人者に仕立て上げようとし、検事のあまりの決めつけ方に反発した折井が、それでもあなたは人間なのかと言わんばかりに、物言えぬ患者の苦痛を代弁して、殺人ではなく人道的な処置であったと反論します。
 このラストに行き着くまでの、重症のぜんそく患者江木と担当医の折井との交情の過程はいささか冗長過ぎるきらいもあります。けれども、折井がなぜ尊厳死を選択肢か、その決断に至るまでの心理を観客に伝えるためには、周到な伏線が必要だったのかもしれません。

 本作を着想したきっかけは、前作の痴漢裁判を題材にした『それでもボクはやってない』のシナリオ執筆のための取材中に本作の原案となる公判と遭遇したところから。
 二つの作品共に、密室での取り調べがいかに危険か。結論ありきで自白を強要する捜査手法を批判的に描かれている点で共通しています。しかし塚原検事の捜査手法のそれは、尋問対象の折井に対して冷徹で尊大。観客の反感を一手に行き受けてしまうような悪の権化として描かれながらも、論理はしっかりと構築されており、その完膚なき論理性と理詰めで白か黒か選択させる、一切の情状の説明を拒絶したディベートのシャープさに、折井に感情移入している小地蔵のこころもは何度も、揺すぶられてしまいました。
 優れた映画というのは、主人公に敵対する人物が強烈な説得力を持っているものです。それゆえ、観客は感情ではなく理性で判断させることで、作り手の主張をこころに刻むようになれるのです。もちろん、狡猾な尋問テクニックを屈指する塚原検事の捜査手法には、問題が多いとは思います。けれども冷徹な塚原の論理が、折井の行動の是非を観客に投げかける周防監督の観点は、見事なまでに公平であるといえるでしょう。

 毎回、新たな題材にアプローチするときの周防監督のこだわりは、凄まじさを感じます。医療のプロでなくても、治療の現場は、所作といい、専門用語の使いこなしといい、まるで研修医の教材となる臨床ビデオ見ているくらいの精巧さで、情報量の多さが目立ちました。また検事の取り調べシーンも、かなりの取材を重ねて、実際の取り調べてとほぼ同じ捜査手法や逮捕・起訴に向けた手続きを再現しているものと思われます。

 さて。物語は折井に検察から呼び出し状が送られて、塚原検事に面会にくるところから描かれます。しかし約束の時間よりも40分も早く到着したことから、そのまま待たせっぱなしにするでした。これも塚原検事のテクニックのひとつ。なんと約束の時間を超えて、2時間も待たせて、やっと面談に及びます。
 待ち続ける折井は自然と、身の上に起こった出来事に思い馳せるのでした。以前折井は、呼吸器内科の医師で、重度のぜんそくを患う江木を担当していました。病院の中では、同僚の医師・高井と長く不倫関係にありました。ここで問題のベッドシーンが挿入されます。長年バレーで鍛えられた肢体を、草刈民代は惜しげ無く披露し、乳房を浅野忠信にもまれるのです。その肉体美は凄いのですが、だからといって、自分の愛妻の絡みをファインダー越しに、冷静に演出していく周防監督の神経がどうなっているのか、理解しがたいです。
 不倫関係というのは、いつか報いがあるもの。高井が若い女性と旅立ったこと知った折井は、失意のあまり睡眠薬による自殺未遂騒動を引き起こしてしまいます。蘇生処置として、鼻に管を通して水を流し込む胃洗浄のきついこと。わが身にも経験があるだけに、折井の辛さがよく伝わってきました。このとき味わった、治療に対する苦しみが伝えられないもどかしさが、やがて逆の立場に立たされたときの、尊厳死の決断に繋がっていきます。
 江木の病状は進行し、入退院を繰り返します。織り込まれる自動車交通の多さや、工場地帯の映像が、さりげなく印象的。江木に転地療養を勧めるものの、あくまで折井の治療が受けられることを望みます。
やがてふたりは、医者と患者の立場を超え、2人は人間として向き合うようになっていくのでした。

 とうとう江木に死期が迫ってきます。かつて死を自覚した折井には、ほっとけない連帯感が芽生えてきます。それは恋愛感情というより、生死を分かつ同志としての信頼感のようなものだったのでしょうか。
 江木は綾乃に、終戦直後、満州で妹を亡くした悲痛な体験を語り、延命措置について、彼女に判断を託します。終の信託を受けることになったのは家族でなく、折井というところがポイント。家族には、無用な負担をかけさせたくないという江木の優しさが、後日塚原検事に追及する論拠を与えてしまうことになるとは、夢にも思わなかったでしょう。
 それと、江木が語る「臨死のときも最後まで残るのが聴覚」という言葉が、印象に残りました。自分の母親の最後の時も、ずっと話しかけたことを思い出しました。だから、江木は妹に子守歌を聴かせ、その子守歌を終の信託として自分にも歌って欲しいと折井に託すのです。子守歌の切ない響きが心に残りました。
 余談ですが、臓器移植の時も、脳死だけではまだ神経感覚は残っているという臨床結果が明らかにされています。生きたまま麻酔もかけずに内臓をえぐられるのは相当な恐怖を感じるのでしょうね。

 本作は、最後に下した折井の判断の是非を問うているのではありません。やはり尊厳死へ至る、折井と江木のエモーショナルな推移を描くことがメインであったと感じます。それとラストの45分にわたる、塚原検事と折井の激しい応酬の末に下される、法の判断の是非。周防監督は法の正義か、人間性の重視か、その違いを簡潔に映像としてみせるばかりで、主張はしようとしません。しかし、ただ1点、発行された逮捕状を書記官が折井に渡すとき、一瞬罪悪感を浮かべる書記官の表情にこの長い物語の結論が描かれているような気がしました。

 演技面では、役所のぜんそくシーンは見ている方が息苦しくなるほどリアルだし、臨終シーンののたうち回るところは、鳥肌が立つ思いの凄さでした。草刈は、バレリーナから転身した頃と比べて、女優として進化をとげ、演技力に磨きがかかっていると思えました。何といってもヒロインを容赦なく追い込む、大沢が素晴らしいと思います。この役で芸幅が拡がったことでしょう。そんな実力を引き出したのも、周防監督の力なんだろうと思います。

流山の小地蔵
流山の小地蔵さん / 2012年11月2日 / PCから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:映画館
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良かったです。 ネタバレ

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2時間半もあったのか、と思えるくらいに魅せる映画でした。
ラストの医師折井と、検察官塚原のやり取りは緊張感半端ないです。
真実と事実が戦った時、法のもとでは事実が勝ち、出てきた真実は考慮される。

見た人の大勢は、折井側の味方になりそうな印象を持ちました。
塚原の言ってる事は正しいけれど、折井の言葉を受け付けず、言葉の隙を狙い、誘導していく感じは狡猾な印象があります。

延命治療を中止した江木さんの苦しむシーンも力が入りました。あのシーンを見てしまうと、果たしてこれは正しいのかどうかと思えます。ただの肉の塊として生きたくはなかった江木さんの希望を叶えた結果なのですが。人命って、難しいと思いました。

たかしろ
たかしろさん / 2012年11月2日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  悲しい 知的 難しい
  • 鑑賞方法:映画館
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肉体を動かしてこそ出会いも輝く

頭の中の話だけで人生を分かった気になってしまう今

とつとつと語る現実の体験談が どれだけ深いニュアンスで入ってくるかの心理センサーに問いかける。

信じる気持ちの濃さを 怪我をした心に染み入る漢方薬としての強靭な出会い。

肉体は瞬時で忘れられる。魂は永遠。

はっきりした重みのある逢瀬の深みは 実際に苦しみながら甘みを掴んだ結果でないと見えない。

ばかたれ
ばかたれさん / 2012年11月1日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  知的 寝られる 萌える
  • 鑑賞方法:映画館
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ほんとうに、こわいもの

濡れた馬のような、、って比喩が昔あったけれど、

そんな、(よい意味も含めて)暗く、静かな作品でした。

時間の流れが一方通行なので、

やや 作品に奥行きが出ない感は残りました。

それにしても 俳優さん 皆さま眩しいです!☆=

死とは、悲しみなのか、安らぎなのか。

パラシュートを投げたときに、

落下するのは丸をつけた目的地ではなく、

個人の情念という風に吹かれたその先なのだという昔から続く現実。

そのことに、黙ることしかできないのか??

楽しい というのとは違うけれど、いろいろと考えさせられる作品です。m--m

まごちゃん
まごちゃんさん / 2012年10月30日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  知的
  • 鑑賞方法:映画館
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144分があっという間でした! ネタバレ

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実は周防監督の作品を見るのは初めて。
さすがにどの作品も評価が高いだけはありますね。
尊厳死のすごい重い話題を飽きさせることなくこの長い上映時間でタップリ見せつけます。
それに綺麗事にお話を終わらせていないところもすごい。
いろいろ人生に疲れた草刈演じる女医さんが患者の役所に癒しを見出し、結局延命を臨まない役所の延命措置を終わらせ殺人罪を追求されていく。
出てくる人間それぞれの主張に正当性があり、それぞれにその正当性を通すための理不尽さがあると思う。
けど、女医さんが‘意識がなくなり、本人が苦しんでいるのが分かっていても生かせなくてはいけないんですか?’と言うセリフが胸につきました。
けど、周りの人間は少しでも生きてもらうことが最高の治療と思いますもんね。
前半は役所が亡くなるまでの治療の日々、後半40分は草刈と検事の大沢たかおとの息ずまる攻防戦が描かれます。
命はどれだけ大切で、それは誰のものなかということを考えさせられるお話でした。

peanuts
peanutsさん / 2012年10月28日 / PCから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  悲しい 知的
  • 鑑賞方法:映画館
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重いテーマです

2007年の『それでもボクはやってない』に続く、周防監督の社会派作品。あわせて、1996年に大ヒットしてハリウッドでもリチャード・ギア主演でリメイク作品まで作られた『Shall we ダンス?』以来の周防正行・草刈民代・役所広司が揃った作品としても話題になっている。

でも、やっぱり『Shall we ダンス?』よりも、『それでもボクはやってない』と比較しちゃいますね。『Shall we ダンス?』はコメディでしたが、『それでもボクはやってない』は社会啓蒙、民衆啓発の社会は作品。そして今回の『終の信託』も社会派作品ですからね。

『それでもボクはやってない』の時は、痴漢冤罪が社会問題化しつつあるタイミングでの映画界でしたが、この『終の信託』は、“終活”などという言葉も出来るほど、人間の一章の終わりに注目が集まりつつ有る時期の作品。そういう意味では、非常に良いタイミングでの映画化です。

いやぁ、作品終盤の折井が塚原に取り調べを受けるシーンですが、「あぁ、こうやって犯罪者は“作られていく”んだ」と思いました。まぁ、“事実”のみをつなぎ合わせると、塚原の言う感じになるのかもしれませんが、それでは背景が全く示されておらず、かなり一方的な主張に思いました。でも、『それでもボクはやってない』も思いましたが、あれが現実なんですかね。

ツッコミを一つ。江木が救急搬送されてきたシーン。あまりにも緊張感に欠けていないか?もうちょっと何とか出来たのではないかと思いました。

勝手な評論家
勝手な評論家さん / 2012年10月27日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:映画館
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静かな昭和映画 ネタバレ

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とても静かな映画だった。
静かだったのは序盤だけで、
終盤の検事のやりとりは全然静かではないけれども、
印象としては静かな
どこか懐かしい作りの映画だった。

たぶん10年後にみても色褪せない映画だ。

尊厳死、終末医療のあり方をテーマにしているので
重たい感じになるが、淡々と進んでいく。

役所広司は言うまでもなく良い感じだったが、
大沢たかおがとても良い役だったな。
終盤のやりとりは迫力もあり見ごたえもあった。

Helguera
Helgueraさん / 2012年10月27日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  難しい
  • 鑑賞方法:映画館
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シナリオはいいんですが。

シナリオはいんですが、残念ながら、草刈民代さんは、医師に見えませんでした。重いテーマに正面から取り組む周防監督には、敬意を表しますが、キャストがしっくりきていないというのが率直な印象でした。
ただ、大沢たかおさんは、はまり役だったと思います。
周防監督、草刈さん、役所さんと、文字通り「役者」が揃っているのですから、もっと、エンターテイメント性の強い作品を、ファンとして期待しています。
寡作な周防監督ですが、次回作では、笑わせて下さい。

小林壱岐守則定
小林壱岐守則定さん / 2012年10月27日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  知的
  • 鑑賞方法:映画館
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看過できない二つの欠点。

終末医療に関する一考察です。それ相応に重たい内容です。気分が滅入っているときには、ご覧にならない方がよいかと思います。本編は大まかに言って、二つの部分に分かれます。前半は臨床的見地からの終末医療を描いています。患者に扮した役所広司と医師の草刈民代の生々しい医療現場を描き出していきますが、気分が悪くなってしまうような描写も少々あります。後半は法医学的見地からの終末医療を描いています。ここに登場する大沢たかおがまさに独善的な検事を演じているのですが、この検事の人物造型に問題があるのです。(ここで星が一つ減る)まず、結論ありきで訊問していくこの検事はあまりに類型的に過ぎ、その人物造型の浅薄さに私は唖然としてしました。人間的な逡巡や躊躇など皆無なのです。まさに絵にかいたような極悪検事です。私は幸い、検察庁で取り調べを受けたことはないのですが、もし、このような取り調べが日常茶飯事であるなら背筋が寒くなる思いがします。そして、信じられなかったのが最後に字幕のみで語られる後日談です。この映画は虚構であります。事実を基に製作された映画ではありません。その虚構である本編に更に虚構である後日談を付け加えて、一体、どうしたかったのでしょう。後日談が輝きを増すのは本編で語られた内容が事実である場合にのみ限られます。(ここで星が一つ半減る)この後日談は完全な蛇足です。逆説的ですが、この後日談が付け加えられることによって、映画全体が画竜点睛を欠いているように思えます。緻密な映画作りで知られる周防監督ですが、今回はなんとも勿体ないことをしました。

bashiba
bashibaさん / 2012年10月27日 / PCから投稿
  • 評価: 2.5
  • 印象:  怖い 知的 難しい
  • 鑑賞方法:映画館
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