「医療で殺人で愛で狂気」終の信託 しまさんの映画レビュー(感想・評価)
医療で殺人で愛で狂気
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試写会で観てきました。
前半は若干長く感じますが、次第に話に引き込まれていきます。
まさに「医療か?殺人か?愛か?狂気か?」というコピーそのもので、全てに頷けるから後味が悪いというかずっしりくるというかべっこり凹むというか…。
草刈民代演じる医師の折井の行為は、ただ只管に江木への愛情に因るものだったかもしれないけれど、彼女が江木の望みである「死に方」に異様にとらわれていたのは事実だと思います。
江木が折井にだけ、延命治療は望まず楽に死にたいと伝えていたこと、故郷を思い散歩をする心情を零していたこと。
江木が確かに、折井に対して深い信頼を寄せていたこと。
折井が江木の妻に延命治療を続けるか否かを告げるシーンは、深い悲しみと、強迫観念にも似た使命感と、それから何か優越感のようなものすら感じました。
前半の失恋に因る自殺未遂で、彼女が恋愛に対して、純粋で、脆く、狂信的な性質であることを見せているから、江木の最期のシーンが余計怖かったです。
塚原検事の尋問が嫌な気持ちになったけれど、頑なに「殺した」と言わせようとしながらも、折井と話し酷く葛藤しているのだろう複雑な様子がとても印象的でした。
塚原、そして折井から目を逸らす杉田は、映画を観ている私なのかもしれません。
あと、ポスターなど、草刈、役所、浅野、大沢の四人が写っていますが、浅野忠信演じる高井はそこにいるべきなの!?細田よしひこでいいんじゃないの、と思ったりして。
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