「ベン・アフレックさん!今まで、ごめんなさい!」アルゴ まじさんさんの映画レビュー(感想・評価)
ベン・アフレックさん!今まで、ごめんなさい!
ベン・アフレックさん!ごめんなさい!
もう、あなたの事は、大根役者だとか、エロいスッチーがいるプライベートジェットに乗ってたとか、お騒がせセレブでラジー賞も取ったとか、昔はいろいろバカにしましたが、もうしません!『アルゴ』は素晴らしい映画でした!今後は、偉大な監督として称えます!!
実話に基づく映画と言う話だが、ある程度の脚色はしているだろう。事実とは違う部分もあるだろう。だが、彼がこの映画で描きたかった事は明白だ。
CIAが映画の撮影だと称して、人質を救出するという、奇想天外な実話を基に、映画が人の命を救ったと言う事に焦点を合わせている。徹底したリサーチで当時を再現し、緊張感を高めた演出は、映画としての質を高めている。バレたら殺される。コレは映画の大切な要素、演技だ。常に、映画では、俳優は命をかけて演技しているのである。かくして、彼らの大芝居が始まった。
映画クライマックスで、一番乗り気じゃなかった大使館員が、映画の説明をし出すのがいい。緊張感が増すシーンだ。ストーリーボードを見た兵士たちが、まだ見ぬ映画に想いを馳せて、ふざけ合ってるシーンでひと時、心が和む。映画によって敵も味方もなく、心を通わせた瞬間である。彼が描きたかった事は、政治的な思想などではなく、映画によって平和的な解決を生む可能性についてを、訴えたかったのだ。
そして、今回、アカデミー作品賞を受賞した。彼のひたむきな映画愛が評価されたのだ。だが、発表の仕方が悪かった。ホワイトハウスからの生中継で、大統領夫人が読み上げた。コレが政治的意図と解釈され、イランの反感を買った。
イランの主張は、事実と異なる事を指摘している。イラン政府は、この映画『アルゴ』に対抗して、正しい史実を描いた映画の製作を発表した。映画での報復。イスラム教の教えの一つである目には目を、歯には歯を、映画には映画をと言う、基本理念に忠実だ。こう言う戦争なら歓迎である。ベンは、映画が平和的な問題解決になる事を説き、解決にはまだ遠いが、図らずも、平和的な報復を受ける事になった。だがそれは、彼にとって、とても素敵な出来事だと思う。