「イチかバチかの大勝負に出る男のラストの決断がクールで見応え抜群!」アルゴ Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
イチかバチかの大勝負に出る男のラストの決断がクールで見応え抜群!
ベン・アフレックに脱帽だ!
映画館で、こんなに手に汗握りながら、映画にのめり込む事が出来た作品も最近では本当に珍しい!!
学生の頃に、テヘランの過激派によるアメリカ大使館占拠事件が発生した事は、おぼろげながら記憶の隅に有るものの、人質となった人達の中で、自力でエスケープした6人の人達が、カナダ大使私邸に逃げ隠れていて、その6人の人命救助の為に、実際にこんなに大掛かりなフェイク映画の制作劇をでっちあげての救出作戦が行われた事実に驚嘆する。
例え、あのイーサン・ハントでもこんな作戦には挑戦出来なかっただろうと思ってしまう!
そのまさかの大事件!大救出劇を。いち早く映画化する事に成功したベン・アフレックのプロデューサーとしての目の付けどころと、その行動力に感動を憶えるのだ!
ベンは『グッドウィルハンティング』の時から、人の度肝を抜くようなサスペンス性とミステリーアスな人間の内面にある底力のパワーの不可思議さを映像に表現する事が巧いので、非常にドラマとして面白い作品が作れる映像作家だと思う
前半のトニー・メンデスがこの救出作戦を想い付き現地入りする迄の準備を整える間に起こる官僚達とのやり取りの緊迫感と、後半の正に現地における、人質の救出迄の秒読みの作戦遂行の過程の再現が何よりも観る者達に緊張感、そして臨場感を運んでくれるのだ。
事前に実話と言う事を知りながら、観客はこの物語を観る事で、現実の持っている本当のドラマチックな人生の展開に観客が、固唾を飲んで見入る為に、より史実に出来る限り忠実に当時の様子を再現させながら映像を見せられている事で得られる緊張感が、よりリアルな恐さと緊張感を濃密なものにしてくれる!
この映画の美術監督及び、セット制作のメンバー達は、さぞや苦労して当時の再現を完成させた事だろう!
そして音楽もまた良いし、映画の画面の作り方の雰囲気も、70年代に制作された映画を観ていると錯覚する程の、ノスタルジー感を覗わせている本作を、私は今年後半の下期ベストワン映画として選びたい!
ベン・アフレックの演じるトニー・メンデスが何故妻と別居する事になったのか?などの私生活が深く描かれていない点も逆に、リアリティーを持たせていて、素晴らしい!
私には、米兵と結婚した友人がいるのだが、夫からは任務に付いては全く知らされる事が無いと言う。例え半年家を離れていても、今日どこで、どんな作戦に関わっているかは、国家機密に成る為に、家族にも他言される事は皆無だと言う。それ故、総てを包み隠さず打ち明けて生きる事が出来ずに、何時も作戦遂行の為に誰かに成りすまして生きなければならない男の孤独な表情がポイント的に描き出されているのも良い。空港からのハガキとラストの再会のシーンはトニーの誠実さの現れる素晴らしいシーンで感動的だった!