劇場公開日 2014年5月1日

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「何度となく使われてきたような話なんだけど、でも好きだな~この映画」とらわれて夏 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5何度となく使われてきたような話なんだけど、でも好きだな~この映画

2017年12月8日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

興奮

幸せ

話としてはホント直球のメロドラマでしたが、正直現実的にはありえない、いかにも映画映画したメロドラマで、展開も分かり易く、何度かこんな話を見たような気もするので新鮮味もなかったのですが、でも・・・いい!単純に好きです、こう言う話、分かっていてもドキドキするし、ハラハラするし、最後は思わずグッと来てしまいましたよ。
直球な話だけに、作り手次第ではただクサいだけの話になった可能性もあったと思うのですが、そこはさすがジェイソン・ライトマン監督、人間の描き方が分かっている、三者三様どの人物の描き方も素晴らしかったし、どの視点で見ても感情移入できる見応え十分な作品に仕上げましたね。
それぞれの想いが集約したラストは本当に素晴らしかった、これ以上ない落としどころに素直に感動させられました、大人が見て楽しめる愛の物語でしたね。

物語の主たる視点が思春期の少年だったのも、物語によりよい味わいを与えていた印象でした、ちょうど大人の階段を上る時期、その危うい時期だからこそ、ある種スリリングに物語が推移した感じで、何かとドキドキさせられました。
ちょうど女に、エロいことに興味を持ち始める年齢ですもんね、その辺の描き方が本当にリアルに描かれていたと思いましたよ。
それと同時に、精神的に不安定な母親を僕が守ると言う、自覚が芽生えてきた時期だったのも、様々な感情に揺れ動かされるのが手に取るように伝わってきて、見る側も思わずもどかしい思いに駆られてしまいました。
母親を取られるかもしれないと言う不安感と、今まで得ることができなかった心地良い父性の温もりの中で揺れる少年の心が、とても印象的な作品でしたね。

そんな少年の視点に彩を与えたのが、ケイト・ウィンスレットが演じた精神的に不安定な母親とジョシュ・ブローリンが演じた脱獄犯のフランクでしたが、さすがは演技派の2人です、2人の演技には最初から最後までずっと惹き込まれっぱなしでした。
何とも言えないエロティシズム、脱がなくても、ラブシーンが無くてもエロい、演出も見事でしたが演技もホント見事だったなぁ、その間に息子がいるってとこがまたねぇ~、ピーチパイ作りが官能的でまたエロかった、ピーチパイがこの作品の象徴とも言えるキーになってましたね。
まさかのトビー・マグワイアも素敵なサプライズ、温かくて官能的でホントいい映画を見た余韻に浸れました。

勿論突っ込みどころも多々ありましたけどね、でもまあベタでも見つかるか見つからないかのスリルも味わいつつ、官能的な愛や少年の成長物語も見れた訳で、そこは個人的には大目に見たいかなと。
母子と心優しい脱獄犯の人物背景がしっかりと描かれていたので、彼らが打ち解けていくまでのプロセスにもあまり違和感は感じず見れましたし、それぞれが欲していたものを埋め合う夏の5日間は、映像の色褪せた感じも相まってその世界観にずっと惹き込まれっぱなしでした。
しかしケイトはこう言う役が本当に嵌まる女優さんだなぁ、逆にジョシュのこう言う役は初めて見た気がしました、本来は普通に凶悪犯だもんなぁ、あの顔だと。

スペランカー