「甘かった。」プロメテウス でるひなすさんの映画レビュー(感想・評価)
甘かった。
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前宣伝などで『エイリアン』の前史的な話だということは予想していたつもりだった。
だが、甘かったとしか言いようがない。
冒頭、原始の惑星を去る超巨大宇宙船に、『エイリアン』を踏み台にどんな壮大な物語が語られるのかと期待に胸を膨らませたものだったが。
そんな期待感は話が進むに連れ行き場をなくして途方に暮れる。
いや、まんま『エイリアン』ですぜ、これ。
確かにエイリアンの起源やスペース・ジョッキーの正体にも一歩踏み込んではいる。
だがそれは過去の『エイリアン』それぞれに施された『味付け』の域を出るものとは言い難い。
なんせ、話の作りや展開が過去のシリーズそのまんまだ。
極論すれば、リドリー・スコット監督の第1作のセルフリメイクと考えてしまう事も出来るかも知れない。
CGをふんだんに使った映像は確かに一見すると目を惹く。
しかし考えてみるとそこにはさほどの目新しさはない。
登場人物達にも魅力が希薄だ。
そもそも、初めにシチュエーション有りきでそこから逆算して人物を動かしている為、その行動の動機付けや整合性がどうにもしっくり来ない。
活きたキャラクターとは言い難く、魅力の感じようがある筈もない。
ぶっちゃけると自分はノオミ・ラパスに魅力を感じないのであるが、これはそれ以前の問題である。
唯一、アンドロイド・デヴィッドは実に勿体無かった様に思う。
もう少し使いようはあったろうにと。
してみると、この作品は1作で完結することを端から念頭に置いていないのかも知れない。
そういう『甘え』があればこそ、こういった作品に収まってしまった事を許容出来るというものだろうか。
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