劇場公開日 2012年8月24日

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「プロローグだけで完結してしまった感がある」プロメテウス マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5プロローグだけで完結してしまった感がある

2012年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

興奮

遙か昔、太古の地球で後に探査チームが“エンジニア”と呼ぶことになる宇宙人が地上に降り立ち、なにやら黒い液体を飲んで濁流にのまれ自らのDNAを拡散させるプロローグは、色彩、音響、音楽ともに重厚感があり誘い込まれる。とてもオープニング・クレジットに目をやる気になどなれず映像に見入ってしまう。
人類の起源が遠い宇宙の知的生命体に関係があるという発想の作品で、その点はこのプロローグだけで描き切ったといってもいい。

「エイリアン」では未知の生命体に対する恐怖を、そして「ブレードランナー」では人類自ら製造したレプリカントに慄(おのの)く姿を描いてみせたリドリー・スコット監督。
本作のエリザベスをはじめとした探査チームは、未だ見ぬ惑星に対してはもちろん知的生命体を“エンジニア”と称して恐怖の対象とは考えていない。むしろ自分たち人類を創造してくれた母星であり父としての生命体として敬っている。
それだけに、真実が解かったとき、そうした考えが都合のいい甘いものであったことを思い知らされる。望むと望まざるにかかわらず、この広い宇宙で生命体が生きていくため、その種族を存続するため、そして進化していくために弱肉強食の争いが繰り広げられている。その事実が突きつけられる。

本作が「エイリアン」の前日譚といわれるように、フェイスハガー、チェストバスター、成体のインナーマウスといった特徴的な形態を垣間見せる。後にリプリーが遭遇するエイリアンは更に進化したもののようだ。
また、エイリアンを兵器化しようとした〈ウェイランド・ユタニ社〉の前身と思われる巨大企業が宇宙船プロメテウス号の所有者だ。

エイリアン誕生の秘密に迫る内容は興味が尽きないが、「エイリアン」で描いてみせた密室に於ける絶体絶命の恐怖感がこの作品からは得られない。
女性が自立し始めた時代に、男性の攻撃的な部分を象徴した悪の権化のようなエイリアンを独りでやっつけるということがセンセーショナルだった70年代と違い、強いヒロインが当たり前になってしまった現代では、同じプロットでヒロインを追い込んでも以前のような戦慄が走らないのも当然だ。
プロローグの壮大さに比べて本篇が淡々としていて惰性的に見えるのはそのためだ。要は物足りない。

体力的にはシガニー・ウィーバーのリプリーに比ぶべくもないノオミ・ラパスのエリザベスだが、その好奇心と生命力は頼もしく、寄生されたらエイリアン・クイーンになり得る怖さはある。

3Dについては、人により3Dの好き嫌いがあり、見え方にも個人差があるようだが、個人的に3Dはアトラクション的で好きなので、作者が3Dを望んだ以上、3Dで観ることを基本としている。
この「プロメテウス」もそうだが、最近の3D作品はだいぶ落ち着いた映像になってきて、妙に浮き出た違和感が少なくなってきた。未知の惑星LV-223の地表に並ぶピラミッドは視覚的に現実味がある。

マスター@だんだん