「意外と薄い…」ザ・レッジ 12時の死刑台 Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
意外と薄い…
「12時きっかりに飛び降りないと人が死ぬ」と言い、ビルの端に立つ男性を、刑事が説得をしながら進むサスペンス。
説得中に何故こうなったのかを振り返っていく形で描かれていく。12時に死にます宣言をした男を「パシフィック・リム」のチャーリー・ハナムが演じ、パトリック・ウィルソン、リヴ・タイラーなど豪華俳優陣が揃った本作、同時期に公開された「崖っぷちの男」と並ぶ役者が揃っているではないか。上記作品は一級品サスペンスとしての見応えがあったが、本作はサスペンスと呼ぶには薄い物語だった。このキャストで濃厚なヒューマンサスペンスを期待していたが、結局は不倫が原因という何ともな結果だった訳である。
おまえが12時に死なないと彼女が死ぬぞという究極の選択を突きつけられた男の話だ。
何故ここまで逆鱗に触れたのかについてだが、パトリック・ウィルソン演じる夫は熱心なキリスト信者であり、隣部屋に住む後に自分の妻と不貞関係を結ぶ主人公が無神論者なのも気に食わない様子。それでいて不倫というキリストの教えにあまりにも反する行為をした2人を裁く目的でこの凶行に至った訳だ。故に熱心な信者というだけで、悪人でも何でもない、ごく普通の男であった。
担当刑事にも家族の一大事が発覚しており、そんな中で説得を試みた所で上手くいく筈もなく、説得中に妻からの電話に出る始末。冷静な刑事が説得をしつつ原因を詳しく聞いていれば解決した事件の様に思えるが、その様なサスペンスフルな展開、衝撃の事実等のビビッと来るものが無いままエンドロールとなった。それがサスペンスとしての魅力を下げまくっている要因なのは間違いない。
ラストシーンにて刑事の家族が食卓を囲むシーンで、食前のお祈りを刑事が制止する様が描かれるが、本作の言いたい事はそれなのだろうか。何でも深入りしすぎるなと。昨今報道されている旧統一教会の件とどうも当てはまってしまう、今観るべき作品なのだろうか。
2022.9.17 追記