「めちゃくちゃ手足に力が入る」綱引いちゃった! マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
めちゃくちゃ手足に力が入る
なかなかに思い切ったオープニングである。TVドラマ「キッズ・ウォー」の茜がそのまま大きくなったような精悍な井上真央が見られる。
給食センターの廃止に抗議する女性職員にたじたじの市長がセンター存続の条件に出したのが、綱引きチームを結成し全国大会に出場して大分市をアッピールすること。こんな短絡的な話とベタな構図を映画として面白く作り上げるから、水田伸生監督は好きな監督の一人だ。人生の機微を入れるのも上手い。
さらに岩下太郎の勇壮でしかもどことなくコミカルな音楽が、作品に上品さをプラスしている。
主人公の母親を演じる松坂慶子は、最近どの作品を観ても楽しい。この人と岸部一徳が出ると、作品が華やいで見えるうえに底が一段上がる存在感がある。それでいて決して主役を喰わない。市長が岸部一徳でもよかった。
いよいよ初めて参加する大会。これはもう手足に力が入る、入る。(笑)
そしてエンディングがスマート。多くを語らない切り際が最高。ホントに巧い。
エンドロールは作品の締めくくりだということがおろそかな作品が目立つ昨今、 DREAMS COME TRUEによるEDも作品のイメージにピッタリだ。
余談だが、本作のようにエンドロールで監督の名前がそのままスルーする監督の方がスタッフ全員と一体感があるように見えて好きだ。これみよがしに名前をストップさせる監督は嫌いだ。
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