顔のないスパイのレビュー・感想・評価
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前半じっくり描きながら、後半バタつく
素材はおもしろい。
20年前に死んだとされるソビエトのスパイ“カシウス”と同じ手口による要人暗殺。
そのカシウスを追い続けながらも引退した元CIA捜査官。そして、カシウスを調査していた若手FBI捜査官がタッグを組む。
ほんとうにカシウスは生きているのか?
生きているとしたら、その正体は?
その犯人の目的は?
呼び出された元CIAポールと、若きFBI捜査官ベンは生き残れるのか?
ミステリー&サスペンションとして、そそられる設定だ。
前半は、CIA長官のマーティン・シーンが渋く脇を固め、それなりに見応えはある。
だが、二転三転する肝心な終盤を、うまく見せられない。
演出が要領を得ずバタバタしてしまった。
原題「The Double」からおおよそ結末の予測がつく上に、ある人物の正体を早くから明かしてしまい、ほかの人間がそのことにいつ気づくのか、それしか興味を持てなくしてしまった段取りにも疑問が残る。
良くも悪くも、『はーちぃ』と犬に呼び掛けていたリチャード・ギアが極悪人であろうはずもなく、と勝手にキャラを連想してしまうキャスティングも足枷になって面白みを半減した。
せめて、ベン(若手FBI捜査官)が車を降りずに走り去ったなら、もう少し印象の違った作品になっただろうに。
リチャード・ギアの別の面を見た気がします。
ワシントンでロシアと密接な関係にあると言われている上院議員が殺害される。その殺害犯は、伝説の暗殺者“カシアス”なのか・・・。
冷戦終了後のアメリカ。そのアメリカには、冷戦時代の10倍ものロシアのスパイが潜んでいると言う“設定”になっています。“設定”と記したのは、本当かどうか、私が知らないから。もしかしたら本当かもしれませんね。
物語冒頭、メキシコからの違法移民のシーンがあります。これが物語にどう関係しているのかと思ったら、(当然ですが)バッチリと関係していました。
それにしても、リチャード・ギア。こう言うリチャード・ギアもあるんですね。彼の温和なイメージとは一味も二味も違う、演技にビックリです。普段温和な雰囲気なので、こういう時にバッチリと決まるのかもしれません。
原題の『The Double』は、二重スパイという意味があります。ですが、(ネタバレになるので記しませんが)物語の結末を見ると、もうひとつの意味もあるような気がします。いやぁ、そうきますか・・・。中々、味のあるエスピオナージュだと思います。
逆に、日本のタイトルの『顔のないスパイ』は、確かにそう言えばそうだけど、何かイマイチ。下のままのタイトルの方が良かった気がします。
これ以上書くとネタバレになるので、書けるのはこの位? 面白かったです。
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