「芸のないスパイ。」顔のないスパイ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
芸のないスパイ。
この邦題、原題のままだとあまりにバレバレだから^^;
苦肉の策でこうしたのかなぁと思うけど、なんだか変。
そして内容は、、
これ多分、小説とかで読めば面白いのかもしれないけど
人気脚本家が監督に乗り出して、演出で失敗してる感じ。
タイトルもそうだし(まぁこれが策略だとしても)、
スパイの正体が明かされるというドキドキ感がまるでない。
こう…話の運びでどうだ?巧いだろ?感を強調し、最後に
明かされる意外な正体で観客の唸りを期待していながら、
この場面も全然こちら側に効いてないという…
なんだかそこまでの、あの長い道のりはなんだったんだ?
的な捜査がいちいち思い出され、それが普通なら観客に
してやられた!感を醸すのに、本作にはそれがないのだ。
サラサラ~っと流して感動に繋ぐ…え、なんか違うよね^^;
ふとキャストに目を遣れば、あ~これがギア様の役どころ
(真骨頂)だもんね、と納得はいくけど、そしたらこの先、
彼が何をやってもこのオチかい?ってことになりかねない。
顔のない、というより芸のないスパイ、みたいじゃん。
カシウスのワイヤー殺し(必殺!)や、暗闇行脚みたいな
おどろおどろしさをもう少し継続させて、観客の興味を
繋げばよかったのにねー。ロシアのスパイ?ってだけで、
かなりのファンがいるというのに、もったいない話だ。
ギア様と組んで捜査を続ける新人捜査官、T・グレイスも
なかなかの熱演、だけど最後がどうにも尻すぼみだったな。
彼のギョロギョロした瞳を見てると、イイ人にも悪い人にも
見えるという(だから役柄多彩)ひょっとしたら、ギア様より
演技の幅が広がるかもしれない若手くん、という気さえする。
ぜひ、芸のある役者として頑張ってください。
監督が別口で用意されていたら、違ったかもしれない作品。
脚本が握る部分は確かに大きいけど、それを作品にすると
いうのは、簡単じゃないんですね。監督って凄い仕事ですね。
(ギア様はスタイルも変わりませんなぁ。相変らずニヒルだ)