「ホーキング?」顔のないスパイ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ホーキング?
「ホーキング博士がカシウスだ!」・・・何だか理解できない証明だったが面白い。
ポールがカシウスだったという真実は前半にわかるので興味も薄れてゆく。やはりリチャード・ギアが冷酷な暗殺者には見えないせいだろうか。
ポールはFBIの若手エリートのベン・ギアリー(グレイス)とコンビを組まされる。CIAとFBIがタッグを組むこと自体が異例に思えるが、ハーバード出でカシウスについての修士論文を書いたほど執心だったベン。念願かなったり!といった雰囲気だったが、頭でっかちで実戦経験のない若造をポールは冷たくあしらう。そこへ、ブルータス(モイヤー)=暗号名カシウス7という男がまだ生きている教えられたポールは彼を殺してしまうのだ。情報収集が目的だったが、自分の正体を見破られないようにしたためか。
カシウスを追っていたCIAのハイランドだったが、メキシコからの不法入国者の映像をチェックしてみると、ポールがそこに殺し屋ボズロスキー(テイマー・ハッサン)の姿を発見する。こいつが上院議員を殺したカシウスに違いないと捜査陣も納得し、ポールは単独でボズロスキーを追い詰めるが、実はポールは家族を彼に殺された復讐を果たそうとしていただけだった。
奇妙な師弟関係、連帯感が養われてきたコンビだったが、ベンはポールこそが伝説のカシウスじゃないかと感づくようになる。そしてクライマックスでは三すくみの対立。ポールはベンが新たな二重スパイであることに気づき、ベンこそが上院議員を殺した張本人だったと白状する。スパイ天国でもあるアメリカにロシアからの新たな入国者を守るため、カシウスを消せとの命令が下ったせいだ。
あっさりとポールとボズロスキーが相討ちとなり、ベンだけが生き残ったのだが、カシウスの凶器でもある時計から伸びるワイヤー。その時計をボズロスキーの腕にはめかえておいて、捜査陣にはボズロスキーこそがカシウスだったと告げるベン。このラストがなかなかのもの。常に尊敬していたカシウスという存在と、家族を愛していた男を簡単に始末するわけにはいかなかったのだ。そして、また彼もカシウスと同じ運命を辿るんじゃないかと思わせる哀しいエンディングがいい。
引退した暗殺者というキャラなので、渋さも緊張感もなかったのだが、ボズロスキーの映像を発見したときのギアはよかったよ。