「映像は○、話運び、キャラ造形は、正直……。」進撃の巨人 ATTACK ON TITAN hartzaさんの映画レビュー(感想・評価)
映像は○、話運び、キャラ造形は、正直……。
原作漫画は、1巻から、その当時の最新刊である10巻か11巻までを話題作というのと貸してあげるという人がいて、一度読みました。
けどその後貸してくれた人が買うのやめて、面白かったけどだれか貸してくれたらでいいかなと思って、結局その先は読んでません。アニメは全く未見。
超大型巨人の迫力、普通の?巨人の気持ち悪さ、不気味さや、グロテスクかつ無慈悲な補食、流血シーンは圧倒され、対峙した時の絶望感が伝わってきました。
立体機動を使っての戦闘シーンは、引き込まれました。
期待していた以上のものが見れて、興奮。
が、正直演出と話運び、登場人物たちの言動やキャラクターが良くなかった。原作とは別物として見ても脚本が酷い。以下否定的意見です。
消耗戦でマトモな兵士が残ってなくて、金で売られたような能力や志の低い奴らの寄せ集めなのはわかるけど、
国家管轄の武装している組織なのに、命令指揮系統が皆無だし、まともな見張りも立ててない。
高校の修学旅行とか遠足でももうちょっと統制とれてる。
2年間未満かもしれないけど、なんらかの訓練してたんじゃないの?
立体機動装置って、訓練なしの、簡単なレクチャーだけで使えるものに見えないけど、武器の扱いだけ教えて、作戦実行時の行動や規律は教えないの?
子供の声が聞こえる~ってフラフラ~って、自由に皆から離れて、結果襲われて、部隊にも被害甚大、
喋る位なら舌噛めって言ってるのに、再会した幼なじみに冷たくされて他の男との親密さを示唆されたからなのか、
2年で戦士になったミカサと比較して、燻ってた自分を情けなく思ったのか知らんけど、大絶叫。
(これ多分後者なんだろうけど、前者にしか見えない。)
教えたのは、心臓を捧げよ‼と唱和して胸に拳のポーズだけ?
緩すぎて、任務中で危険地帯にいるのに、バカップルに、未亡人、さかりつくのも我慢できない?
戦時下で食糧難、文明も大幅に後退していて、娯楽ないだろうし、楽しいことってセックスと恋愛くらいで、
不安紛らわせるためやら、生命の危機を感じて子孫を残す生殖本能が疼くってのもわからなくないから、
性描写自体は別にあってもいいけど、シキシマとミカサのいちゃつきいれたら、あの作戦に参加している奴らのうち、3組も近場でって…。
人類の命運を左右する作戦の真っ最中、まだ壁の中から出発してそんな時間たってませんよー。
そもそもあんないつ巨人が襲ってくるか分かんない場所で、よくやる気になるな。
壁の中の安寧とその中の家畜=戦後の日本と平和ボケした日本人の隠喩と皮肉ですか?
(あんなにデカイ巨人が近づいても全く気づかないのも、変。身体能力が高くて、でかくてもスピードあったとしても。全く足音なく、人の背後や建物の窓の外まで近寄れるの?人間がそっと近づいて、その場で巨人化するなら、人間の声に反応するって設定がよくわからない。動物やたんなる物音との区別にはなるだろうけど、車の音の方が大きくて分かりやすいのでは。後編で何らかの説明が?)
巨人に襲来された時、なんでさっさと立体機動を使わないんだよと感じずにはいられませんでした。
判明している巨人の弱点が首の後ろで、巨人の攻撃に対抗する唯一武器が立体機動って扱いのはずなのに、なんでいつまでも弓とか斧とか使ってるの。
(けど、斧で足首攻撃して倒れさせてからの首攻撃がありなら、立体機動じゃなくても…。)
エレンが立体機動使いだしたら、あいつすげぇ、立体機動使ったよ、扱えてるよみたいな雰囲気。
物資の乏しい世界で、使いこなせない武器持たせて移動させてたの?
立体機動を使えたこと自体に感心してるみたいに見えました。
脚本の町山さんいわく、エレン達のグループは壁の修復作業員(再建団?)であって、
調査兵団ではないとのことですが、(それが映画の中で分かるような描写ありました?)
じゃあなんで立体機動のレクチャーして、装備させているのか?疑問がループしました。
人員が不足してて、作業員の護衛に兵を配せないから、自分の身を守らせるためかもしれませんが、まともに使えないんなら、持たせても無意味というか、邪魔では。
自衛するだけなら、立体機動みたいな相手にバレバレ状況で、超接近して使う武器、リスク高すぎる。
だから、弓?小銃、映画冒頭でそんなの意味ないって否定されてるし、何本か射って目に刺さっても痛てて、みたいな反応で効いてないけど。過去の兵団の積み重ねは?消耗戦で、優秀な奴等は先に巨人に挑んで、破れてるわけでしょ。
エレンが立体機動装備してないと、見せ場に持ち込めないから、皆に持たせてただけ?誰かから奪ったら、それこそ、初見で扱えちゃったってなるし。
(何かで立体機動での戦闘アクションは、後の方にまで見せないと決めていたというようなことを読みました。
その演出方針が見てる者に違和感与えたら、マイナスにしか作用してないと思います。)
後編で、大人の事情で最初から成功させる気なんかありませんでしたーっ、大きな目的の下で、多少の犠牲(結構死んでるけど。)はやむを得ないのだよってやるんですかね。
何よりも嫌だったのは、最強の戦士、残された微かな希望であるシキシマの、厨二病的芝居がかった振る舞い、決め台詞満載のもってまわった話し方。
ものすごく漫画的、アニメ的な人物。
人類未曾有の危機を実写で、緊迫した深刻なトーンで描いてるのに、あれはキツい。
アダムとイヴとサタンの暗喩?ヴは日本人の役者がやるにはおかしいって役名変えたのに、そこは旧約聖書からで、親和させられてなくて、シキシマのキャラと合わせて【サムい】【ダサい】ギャグに見える。
わりと好評な石原さとみのハンジも自分は単なる馬鹿に見えたし、
大食いの女の子も、大食いにストーリー的な意味あるのかないのか、間抜けなノロマ役。
変わり者のピエロ役は一人でいれば充分だと思うし、 この二人の言動も二次元的。
キャラやストーリーの原作からの変更や省略は、前後編足しても4時間~5時間である映画化には必要。
原作と違う!!と怒るのはナンセンスだと思うけど、
より二次元的リアリティラインの方に修正や追加って、なんなんでしょうか。
いくつか原作の名台詞なんだろうなーと思われる台詞もバッサリ切っちゃったっ方が良かったのでは。
あのバカップル、緊迫状態でのあのイチャコラした態度やら、
男が死んでからの女強えー、守られる必要なしーとか、
(武田さんを配役してる時点でアクションの見せ場あるんだろうなってことはわかっちゃったけど。)
ホラー映画で最初に殺される、キャンプ場や森で野外セックスしようとしてる奴ら文法というか、
笑わせ要員の部分あったと思うんですが、必要でしたかね?ただでさえ、結構人の数が多いのに。
別に頭おかしくなって、火薬泥棒から、車かっさらって巨人に激突するの、あの人じゃなくてもいいし。
(ていうか、火薬も首の後ろ吹っ飛ばすのに使わなきゃ無意味だけど。)
原作のギャグ要素も、映画の時間の枠に入れると世界に没入できないというか、
映画の世界観と尺とギャグのバランスが悪い。
戦時下なんだからずっと下見て、暗い顔しとけなんていいませんけど、笑えない冗談が鑑賞者だけに向けられたもので、登場人物はそれを楽しんでる訳じゃない。
戦時下にも若者の日常生活や青春があるって原作の良さはカットして、尺喰うだけのサムいコントを入れる必要はなかったのでは?
原作ファンだって、映画化に際し、原作に忠実にできないのは分かるし、前情報で改変は承知の上でしょう。
改変されたことに怒ってるんじゃなくて、変えたり削除して出来上がった映画が良くないから、批判されてる(方が多い)んだと思います。
こんななら、元のままで行ってくれれば良かったのにって思われても仕方ない出来。
原作知らないので(わりと)楽しめました、というプラス評価も多いですが、立体機動がガス欠で使えなくなるとか、知らずに見てたら、唐突に感じる不親切な作りじゃないかなと思いましたが。
裏設定もオマージュも隠喩も、映画がおもしろくてこそ。
それに、こんな意味こめたい、こんな場面いれたいが優先されて、切り貼りしてるみたいになって、違和感というか邪魔になってる。
大ヒット漫画の実写化娯楽大作映画でやるなら、エンターテイメントか、人間ドラマとして成り立たせて、かつメッセージをのせて欲しい。
後編に人間ドラマをもってくるのでしょうか。謎の部分の種明かしと、どう決着つけるのかは確かに気になるけど、
後編、劇場で見るのが躊躇われる前編でした。
折角危惧していたビジュアル、映像、アクションは、よかったのに、他の部分がダメで勿体無かった。
こんなこと言いたくないけど、『進撃の巨人 映画 ネタバレ』で検索すれば、謎の部分と結末は誰かしらブログやらまとめにあげてるのが引っ掛かってわかっちゃう時代です。前編は初日に見ましたけど、後編は自腹で見た人の感想待ちの様子見ですね。
あと本編とは関係ありませんが、製作陣のネット、メディアでの醜態さ。辟易しました。
原作者が公認してるっていう言葉、一本の映画として面白くないことを、帳消しにできる印籠にはなりません。
追記
脇の登場人物に見てる側が思い入れとか共感できるような場面がなくて、
バカップルとか、子持ちの未亡人って上っ面のレッテル設定だけの空っぽの駒みたいだなと思ってたんですが、
dtvでスピンオフで脇キャラのドラマをしてるみたいですね。
dtvドラマ見てないし、以下は妄想ですが、
人間的な掘り下げをdtvにとられちゃった(=スポンサーの都合に合わせた、意向を呑んだ)結果、
肝心の映画が空洞化してしまったのでしょうか。
もし仮にそうだとしたら、余計残念です。