「【”イラク北部で発掘された彫像と銀の装飾品が惹き起こした事”物語構成の妙と、後半の二人の神父の壮絶な悪魔祓いシーンの凄さ。オカルト映画の雄である。】」エクソシスト NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”イラク北部で発掘された彫像と銀の装飾品が惹き起こした事”物語構成の妙と、後半の二人の神父の壮絶な悪魔祓いシーンの凄さ。オカルト映画の雄である。】
ー 序盤、舞台はイラク北部の何かを発掘しているシーンから始まる。
地元民が、高齢のアメリカ人に発掘した彫像の頭と、銀の丸い装飾品を見せるシーンと、そのアメリカ人が荒涼とした土地で、不気味な形をした彫像と対峙するシーン。
この冒頭のシーンが、最後半に効いてくる。ー
<Caution 内容に触れています。>
□舞台は、アメリカのジョージタウンに移る。
・デミアン・カラス神父は、高齢の母を見舞い足をもんであげるが、(描かれないが)母は、孤独死を遂げる。
ー 悪魔は、人の心の弱みに付け込むと言われるが、デミアンは母の死を悔やむ。彼が夢想する、地下鉄の入口で何かをデミアンに叫ぶ母。鎖から落ちる銀の丸い装飾品。
そして、ほんの一瞬だけ映るイラクの彫像。ー
・女優クリスの娘リーガンに異常現象が起こり始める。激しく揺れるベッドの上で苦しむリーガン。徐々にリーガンは何者かに身体を支配されていく。
ー 後年、リーガンのモデルになった少年は”抗NMDA受容体脳炎”ではなかったかと言われるようになった。そして、それを題材にして、クロエ・グレース・モレッツ主演の「彼女が目覚めるその日まで」と、土屋太鳳主演の「8年越しの花嫁」が1週間違いで公開された。
2作とも、闘病映画としては秀逸であった。が、今作では時代的にあの現象が病理学的に説明できていなかった背景もあり、壮絶なオカルト映画として描かれている。ー
・クリスの家で行われたパーティで、別の男をナチと罵倒していた映画監督バークは、リーガンの部屋から謎の転落死をする。
ー ここも、シーンとしては描かれないが、バークの愚かしき人間性に悪魔が付け込んだのであろう。そして、ラストシーンをも暗示している・・。ー
・悪魔がリーガンの身体を支配し始める。縄でベッドに繋がれながらも、悪態をつき、緑色の液体を吐き、十字架でリーガンの股間を傷つける。180度回転する首。
部屋の中には、あの銀の丸い装飾品が・・。
ー 部屋の中は、悪霊が支配すると温度が下がると言われているように、寒そうで、皆の吐息は白い。そんな中、リーガンの腹部に浮かび上がった言葉”Help me"ー
・デミアン神父が所属する教会では、友人ダイアン神父を始め、悪魔祓いを決める。そこで呼ばれたのが、冒頭に登場した老齢の男、メリン神父である。
ー 悪魔の言葉を逆回転させるシーンで聞こえるメリンという声。冒頭のシーンと併せ、メリン神父が悪魔と長年関わってきたことが想像できる。ー
<二人の神父と悪魔との壮絶な悪魔祓いのシーン。メリン神父の心臓は止まり、心に母に対する悔いを持つデミアン神父は”私の体内に入れ!”と叫び、悪魔と共にバークと同じように窓から飛び降り、階段を転げ落ち、息絶える。
駆け付けたダイアン神父が、唱える言葉。
そして、ダイアン神父は、長い階段を見下ろし、悪魔が体内から去ったリーガンは何も覚えておらず、母とともに、家を後にする。
矢張り、今作は、オカルト映画の雄であろう。>