ボクシング・ジムのレビュー・感想・評価
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アメリカのドキュメンタリー映画監督フレデリック・ワイズマン 編集、...
アメリカのドキュメンタリー映画監督フレデリック・ワイズマン 編集、製作、監督の2010年公開のドキュメンタリー。タイトル通りボクシングジムの中の人々を写す。年齢、性別、練習内容は様々でチビっ子までいる。
ナレーション、インタビューが無い形式のドキュメンタリーで 代わりに観客をボクサーのルーティーンに近づける映像が映される。
1930年生まれで今までに50本近くのドキュメンタリーを撮るワイズマンだが、2024年の94歳でも『至福のレストラン/三つ星トロワグロ』を公開。
本当にただのボクシングジム
フレデリック・ワイズマン監督作品。
【ストーリー】
リチャード・ロードは元プロボクサー。
彼が引退後にひらいた"ローズジム"で、トレーナーたちとともに毎日練習生をトレーニングする。
テキサス州オースティン。
郊外にあるジムの、のどかな風景。
リズミカルなサンドバッグ打ちの音がひびくジム内には、デラホーヤ対ルエラやハグラー対デュラン、バーンズ対レナードといった「黄金の80年代」からメイウェザー対ヘスス・チャベスのわりとどうでもいいチラシや、『レイジング・ブル』『ロッキー』なんかの映画ポスター、練習生や家族のスナップ、新聞記事の切り抜きやメーカーの広告なんかが雑多に貼ってある、年季のはいった壁。
時間をきざむエバーラストのタイマー。
使ってる器具もボロボロですが、練習はみんな熱心。
ドレッドヘアの親子、赤子づれの母、アマやプロの選手をトレーナーたちがじっくり指導しています。
ちっちゃい子たちも多くて、スリッパでシャドーをしている女の子なんか、未熟なのに見入ってしまいます。
必要なら、試合に向けたトレーニングもしますけど、試合のシーンがあるわけじゃない。
撮影はほぼほぼジムの中で完結しています。
性別も人種も仕事も体格も年齢もバラバラな彼らが、せまいジムで一つの空気を作っている一体感。
興味がない人には完全に退屈な撮影フィルムの無造作な連続なんですけど、その中に彼らの生活や人生がかいま見える一瞬を、ついつい探してしまいます。
監督のフレデリック・ワイズマン、ドキュメンタリーの巨匠とのことなんですが、これが初視聴。
ナレーションもないし、注意して見ないと本当にただのたれ流しに思えちゃうスタイルなんですけど、ボクシングの本場の空気を味わえて、なんか幸せでした。
現場からは以上です。
市井の人々。
アメリカ南部の小さなボクシング・ジム。年齢・性別・肌の色、背負っているものは様々。ジムで過ごした年月も、その求めているものも異なる。それでも、場所や時間を共有し、同じ土俵に立ち、人生の一部を共にする。
それぞれに、それぞれの人生。
有名無名を越えた一人一人の輝き。
続けることで見えてくるものや、仲間を得る、共通言語のある喜びが伝わる。
そして、ジムは決して世間から隔絶された場所ではなく、現世と不可分のモノとして描かれている。
己の人生を生きようと思いました。
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