デビルズ・ダブル ある影武者の物語 : 特集
イラクの独裁者・故フセイン大統領の長男、“狂気のプリンス”ウダイの影武者にさせられた男の驚きの自伝が、ついに映画化。ベールに包まれていたイラクの実態が影武者の視点から描かれる、リー・タマホリ監督作「デビルズ・ダブル ある影武者の物語」(1月13日公開)のショッキングな内容に迫る!
狂気と暴力、そして絢爛──
“悪魔に人生を奪われた男”が体験した“想像を絶する真実の物語”
■狂気のプリンス=ウダイ・フセインの影武者が明かした衝撃的すぎる実話!
世界を驚かせたノンフィクションが、ついに映画化された。ラティフ・ヤヒアによって92年に記されたのは、彼の自伝「デビルズ・ダブル」。だが、それは単なる自伝ではなかった。そこには、1987年から91年の4年間に渡り、イラクの独裁者だった故サダム・フセイン大統領の長男で“狂気のプリンス”と恐れられたウダイ・フセインの“影武者”の人生を強要された、ヤヒアの恐るべき体験が綴られていたのだ。
学生時代にクラスメイトとしてウダイと面識があり、「顔が似ている」という理由から、当時所属していた軍隊から強制的に呼び戻されたヤヒアは、影武者として生きることを要請される。当初は拒否するヤヒアだったが、1週間もの間、窓がなく座る隙間さえない赤い部屋に閉じ込められ、さらには愛する家族の生命を盾にされて、彼は悪魔に人生を売り渡すことを受け入れてしまうのだ。
その様子は、映画「デビルズ・ダブル ある影武者の物語」でありのままに描かれる。「自分の経験したことをそのまま世に知らしめたい」という原作者ヤヒアの熱望から、20数社におよぶ映画化のオファーが断れ続けられていた衝撃的すぎる実話が、映像として、我々の前に明らかになる。
莫大な資産と強大なフセイン家の権力を背景に、思うがままのすべてを実現させていた男=ウダイ・フセイン。狂気と暴力、そしてきらびやかな女たちに彩られたウダイの真実、そして、悪魔に取り込まれた男=ラティフ・ヤヒアを待ち受ける運命から、目が離せない!
■すべてが現実!? “悪魔”の影武者となった男が体験する悪夢の数々!
これが、ウダイの影武者となった主人公ラティフが経験する、悪夢のような現実の数々だ!
●“悪魔”へと変わるための整形手術!
元々似ていたラティフとウダイだったが、影武者となることが決まると、さらに似せるための整形手術が待っていた。医師による診断の後、整形外科医のメスが顔に入る。さらには、ウダイと身長を合わせるための靴や歯並びを合わせた義歯も作られ、ラティフはよりウダイとなるための“改造”を受ける。
●所作の訓練、そして待ち受ける拷問!
よりウダイ本人に近づくために、立ち居振る舞いの訓練もし烈を極める。側近ムネムの指揮のもと、ラティフはウダイの経歴や個人的なデータを暗記し、特徴的な話し方や身振りを練習していく。監視の目を盗んで脱走を図っても逃げられるはずはなく、ムチ打ちの拷問が待ち受ける。自己中心的で、人を人とも思わぬ態度、まるでウダイが乗り移ったかのような変貌を遂げるラティフ。
●極悪非道なレイプ!
ウダイの“異常”ぶりがもっとも伝わるエピソードが、数々の女性たちに行うすさまじい仕打ち。オープンカーで街に繰り出しては、下校途中の女子学生を物色し、気に入った“獲物”を見つけると、有無を言わさず強制的に拉致。相手が未成年であろうが、ドラッグを与えたあとは強引にレイプする。さらにその魔の手は、結婚式当日の花嫁にまでおよぶのだ。
●パーティ会場での惨殺!
88年にニュースで伝えられた実際の殺人事件も、劇中で登場する。華やかなパーティ会場で起こる、ウダイによるサダム・フセイン腹心の部下カーミル・ハンナの惨殺。激昂すると誰にも抑えることができない狂気と残忍性は、もはやサダムでさえも手を焼くありさま。「生まれたときに殺すべきだった」と吐き捨てるほどだ。
●対立勢力による待ち伏せ!
湾岸戦争が勃発し、士気高揚のため“ウダイ”として戦地に赴くラティフ。完璧な演技でスピーチを披露し、兵士から熱烈な歓迎を受けるが、バグダッドへの帰路に対立勢力の襲撃を受ける。車は大破し、身辺警護の者が命を失っていくなかでラティフも重傷を負うが、命はなんとか取りとめる。
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果たして、ラティフを待ち受ける運命の結末は!?
■まさに“怪演”! 鬼気迫る一人二役を成し遂げたドミニク・クーパーほか、
実力派スタッフ&キャストが結集!
正義感と家族を愛する思いやりにあふれた青年・ラティフと、彼の人生を奪い取り、ショッキングな“悪魔の所業”を見せつけるウダイ・フセイン。同じ顔を持つ2人を一人二役で演じたのが、「マンマ・ミーア!」で注目を集めたイギリス出身の若手俳優、ドミニク・クーパーだ。入念な役作りによって生み出された対照的な2つの演技は、画面に映ったクーパーが一目でウダイなのかラティフなのかが分かるほど。その見事な演技は、サンダンスやベルリンなど、各国の映画祭で話題を集めた。
そんなウダイ/ラティフのキャラクター像をクーパーと模索し、狂気と暴力、さらにはセックスの圧倒的なリアリティで本作を作り上げたのは、「007 ダイ・アナザー・デイ」のリー・タマホリ監督。「ワンス・ウォリアーズ」の徹底的な暴力描写が評価されての監督起用だけに、ウダイのバイオレンス描写も注目だ。
そして、ウダイの愛人でラティフとの禁じられた恋に身を投じるサラブ役には、「スイミング・プール」のリュディビーヌ・サニエ。これまでのイメージを一新する、妖艶でセクシー、ミステリアスな雰囲気を持つヒロインに体当たりでチャレンジし、濃厚な濡れ場までを披露する。
「デビルズ・ダブル ある影武者の物語」は、実力派キャストとスタッフが結集した、“衝撃の実話”待望の映画化といえるだろう。