劇場公開日 2017年7月1日

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パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊 : 映画評論・批評

2017年6月20日更新

2017年7月1日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

これはもう楽しんだ者勝ち!ノンストップの全部盛り大サービス

ああ、やっと、また会えた。このシリーズのファンならば、ジョニー・デップ扮するキャプテン・ジャック・スパロウと再会できた喜びを素直に享受できるだろう。前4作を見ていない観客にもさほどストレスを感じさせはしないが、シリーズを知っていれば「これこれ、これぞパイレーツ!」と思わせる(それでいて驚きもちゃんとある)展開に、歓喜せずにはいられないからだ。

呪いを解く力のある伝説の秘宝“ポセイドンの槍”をめぐって、さまざまなキャラクターと思惑が混在。幽霊船に囚われたウィルのためにこれを求める息子のヘンリーと、まだ見ぬ父への思いからやはり“槍”の謎に挑む女天文学者カリーナが、3作目までのウィル&エリザベスのポジションを担って華を添える。そして“槍”のおかげで魔の三角地帯から解き放たれてしまったのが、ジャックとは浅からぬ因縁があるスペインの亡霊艦長、サラザールだ。かつて自分をハメたジャックへの復讐に執念を燃やす彼がことの成り行きを語る回想シーンは、間違いなく本作のハイライトと言える。初めて海賊としての才覚を発揮する若ジャックの瑞々しさ(これならプリクエルができそう)! そこにはまた、そんなジャックの姿にサラザールが心奪われる瞬間までもがしっかりと映し出されているのだ。

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ジャック・スパロウはといえば、今回も他力本願と超がつく強運によってヘラヘラと危機から脱出。キャプテンっぽいカッコよさこそ回想以外ではなかなか見せてくれないが、「カリーナに惚れてるな?」とヘンリーを突くなど、ガキっぽさが相変わらずでかなり笑える。それに今回はバルボッサも意外な一面を見せてくれて、非常においしい。

コン・ティキ」を撮ったノルウェーの監督コンビは、本作でもゾンビ鮫のアクションなど全編でサービス精神を発揮、同時に持ち味である暢気さ・大らかさも生かして楽しませてくれた。あり得ないほど派手でスピーディなアクションと笑えるジャック、強烈な個性で萌えを呼ぶ悪役に懐かしキャラクター、そしてフレッシュな新キャラたちの冒険とロマンス、泣かせる“出生の秘密”ドラマにあのスターのおじさん役カメオ出演まで、ノンストップの全部盛り大サービス。ブロックバスターが嫌いなアメリカの批評家にはあまり受けなくても、観客の評判は上々なのでご安心を。これはもう楽しんだ者勝ち! エンドロール後のエピローグを見れば、続く第6作が待ち遠しくてたまらなくなるはずだ。

若林ゆり

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