劇場公開日 2013年4月26日

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「せっかくのお膳立てが・・・」アイアンマン3 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0せっかくのお膳立てが・・・

2013年5月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

“アベンジャーズ”での戦いで精神的に深い傷を負ったトニーの内面が描かれ、人間トニー・スタークを前面に押し出そうとしている。憑かれたように新型スーツの開発に没頭する日々に愛想をつかされ、パートナーのペッパー・ポッツとの関係にも危機が訪れる。
そんなトニーを叩きのめすように現れるのがキリアン。バイオテクノロジーでトニー・スタークの頭脳に挑戦してくるキリアンはシリーズ最強の悪役といっていい。謎のテロリストの首領マンダリンも絡む。

お膳立ては揃った。

ところが前2作と何かが違う。トニー・スターク=アイアンマンとしての面白さが滲み出ていない。単にトニーが自信を喪失して、あの陽気さが無くなったからではない。

キューピーのように脇で指を広げて離着陸する愛嬌たっぷりの仕草はなくなったが、VFXも遜色ないデキだ。

なのに、せっかくの強い悪役など、ずらり揃えたお膳立てが活きてこない。

今思えばパワードスーツであるはずのアイマンスーツが、遠隔操作されるただのロボットになってしまったからかもしれない。
無人機となったスーツは、現実の米軍による無人機爆撃を連想させ、つねに人間の存在を感じさせてきた前2作とは毛色が異なる。
何体も現れるスーツもよろしくない。「エイリアン」も3が数で勝負してただのモンスター映画にしてしまったが、まさか「アイアンマン」までこう来るとは芸がない。ごちゃごちゃした絵柄はどことなくマイケル・ベイの「トランスフォーマー」を連想する。むろん褒めているのではない。

ラストも、金に物言わせたようで味気ない。少年の未来のためにしてあげること、もっとあるだろう。

終わってみればテロ組織テン・リングス団の首領マンダリン役のベン・キングズレーがいちばん活き活きとしている。けっきょく、彼がいちばん人間臭かったということだ。

マスター@だんだん