劇場公開日 2013年4月26日

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アイアンマン3 : 映画評論・批評

2013年4月23日更新

2013年4月26日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

合衆国という強力なスーツの中で悩むアメリカ

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3D、2Dでの公開となるのだが、お薦めは3D。3D的な見せ場というより空間設計が素晴らしく、2D的な距離感を失わせる。といってもそれがリアルさに繋がる訳ではない。直接何かに触れるリアル感ではなく、何かを通して、しかし確実に何かに触れているというねじれたリアル感。まさに、あのアイアンマンのスーツを装着して事件の現場に行ってしまったとでも言いたくなるような事態を体験することになる。

そしてそれこそがこの映画の最大のポイント。自分を守ってくれるスーツと自分の関係をどうとらえるかということで、アイアンマンが悩み続けるのである。自分を守るスーツは、一方で自分がその中に引き蘢る逃げ場所ともなる。この映画ではそれをより物質的に示す。鉄の硬いスーツ。しかもいくつものパーツに分かれ、ひとつに合体し、それ自体が強力な武器となる。その感触の確かさ。

例えばそのスーツを、「合衆国」と呼んでみたい。合衆国という強力なスーツの中で悩むアメリカ。なんてことを考えると、この映画の物語のバカバカしさや激しさや唐突さに、すべて納得が行くはずだ。そしてそれ以上に、現実のUSAで起こっている出来事にも、自分なりの道筋が見えてくるはずだ。CNNのニュースとともにこの映画を観ること。そしてもう1本、公開中の「リンカーン」とともにこの映画を観ること。これで準備完了。あなたも立派なアイアンマンになれるだろう。

樋口泰人

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