「難解でしたが、凄い映画です!〜こう解釈してみた…。」009 RE:CYBORG yuki_hさんの映画レビュー(感想・評価)
難解でしたが、凄い映画です!〜こう解釈してみた…。
まずは、観ての印象を、ザックリいきますね。
観終わって、すぐ後は、見応えてがあって、スゴく引き込まれたのに、
いろいろ『?』のまま、未解決のまま、放り出されたみたいな後味の悪さが 残りました。
結局、観た人に『考えろ…』と提示している映画なんだと感じて、
でもその提示の仕方が、不親切で、すごく残念な 気になりました。
が、しかし、難解でしたが、後で、じわじわと…起草されて、
ああいう事だったのか?と、噛めば、ほぐれて味の出てくるスルメみたいに
味わいが 美味しく感じられて来て、後になって感動が こみあげて来ました。
で、1度、見終わっての『解釈の面』ですが、
ここからは、完全ネタばれ いきますので、
やっぱり、自分で、観て考えてからにするよ…という場合は、
このレビューを閉じて、後日にでも、またどうぞ。
『難解』という… 観た人の話が 多いので、
ひとつの参考にしたい…という方は、是非、どうぞ。
受け止め方は、十人十色だと思うので、
ひとつの意見、一説として眼を通してもらえれば…と思います。
まずは、フランソワーズとジョーのSEXシーンの衝撃度…辺りから参りましょうか。
他の方のレビューや、ツイッターなど、かいつまんでみても
そこ、かなり話題になってる様ですね。
喜んだ人と、ショックだった人とが ある様ですね。
原作を全部読んだという方の中に、
否定的なご意見もあったので、アレ?って思いました。
マンガ少年に、石ノ森章太郎先生として、
アダルト志向で、描き下ろしされた版が 連載された中に、
009と、003が、サイボーグである面で、苦悩しながらも、人間の部分で、
ベッドインに踏み きったというエピソードのストーリーが、掲載され、
当時の批評で、『子供の夢を壊すのか?!』と、
石ノ森先生自体が、たたかれてしまった…事もあったという経緯があった
のを覚えています。私は、当時の雑誌の連載を読んでいた止まりで、
コミックまでは、買ってなかったのですが、
もしかして、当時、出版社の都合で、コミックが出た時に、
そのストーリー原稿は、編集から外されてしまっていたとか?
その辺りは、確認できていないので、なんとも言えませんが、もしかすると、
当時の連載を読んでいた人の内では、009と003は、そういう仲なので、
今度の映画の あの濃厚なシーンは、当然の成り行きと、
すんなり受け入れて観る事が、できた。
連載時のベッドイン辺りのエピソードは、知らなかった人の眼には、
イメージを壊されたみたいで、ショックだった…のかもしれません。
3年間も 観ているだけ…のおあずけ状態だったわけですもの。
女性の私の眼からみても、フランソワーズ自身、かなりの飢餓状態だった…
と思います。
監視という役で、見守っていたわけですが、
愛してる人が、ちょっと さびしそう〜な表情とか仕草をみせると、
たまらなくなって、抱きしめたくなっても、見てるだけ。
彼女自身、むしょ〜に、抱きしめてもらいたくなる時だってあったでしょうに。
でもただ、遠くから観てるだけ…。切ないですよ。
その内、視ているのも すごく辛くなって来ていたり…したのではないでしょうか。
ギルモア博士から、「なぜ監視を怠った?!」って言われて、何も言えないでいる彼女の様子が、
みごとにその辺りの心情を 描き出していると感じました。
当のジョー自身は、長らく記憶を消されていたので、しばらくボォ〜となっていたとして、
のばせば、すぐ手の届く距離ですもん、そりゃ、お互い むしゃぶりつきたくなりますって。
激しく求め合うふたりの姿を もののみごとに描き出していると思います。
私には、すごく美しいシーンに感じられました。
神山監督に『 GOOD JOB!』コールを送りたいです。
しかも、ジョーは、記憶をリセットして消されている間、
その影響か否か? どうやら架空の彼女の幻影でも作り出して、
監視してたら、時々、独り言を しゃべっている様な様子?
「 まぁ、クラスメートの女の子ですって? 一体どんな女の子を想像してるのよ。」
って、彼女の心の声が聞えてきそうです…(汗)
そりゃ、『むちゃくちゃに』したくなりますよ(笑)
ジョーも、精神的に、かなりやばい状態に陥ってたんじゃないでしょうか。
私の方は、『彼の声』を単純に集合意識の核(コア)的な存在であり、
魂の根源的な存在(つまりは、神の息吹の声〜人によっては、天使の声に聞こえ、
人によっては、悪魔のささやきに聞える。)だと解釈し、
おそらく世の中の腐敗ぶりを嘆いた、人間のおのおの、個人個人の中で、
今のこの腐った世の中、ぶっ壊してやり直さないと、何も良くならないよ…
みたいな思考パターンが、共通の連鎖で、
かつての『バビロンの塔』の根源の情報ソースを呼び起こし、
一種のシンパシーとなって、テロ行為に駆り立て始めたのでは?
記憶を消していた間のジョーは、もしかすると、その不安定な状態で、今、世の中を
観ていたら、そんな気持ちを抱いてしまっていた…が 為なのでは? とか思いました。
天使の 化石…については、
コレ、もしかして 天野さんの『天使のたまご』も やりたかったのでは?
とか、思ったりしました。
『天使のたまご』自体、すごく メタファー的な描写で 難解な作品でしたが、
その作品は、キリスト教の奥義的な世界観を 抽象的に盛り込んでの
幻想作品として金字塔となっています。
そういう部分をうまく組み込んで、絡め…。
で、あの金色に輝く少女と、ジョーに寄り添う 幻の女子高生は、
『彼の声』の対極にありカツ、同じもモノの側面。
『悪魔』という表現をあえて、使っていないのは、
使うと『天使vs悪魔』の図式になってしまうので、
むしろ天使が、狂って堕天した姿のが、あの咆哮している『彼の声』なのではないか?
潜在的な人間の内の神性が、我欲に狂わされて行くみたいな…のを表現したかったのだろうか?
『 009 RE:CYBORG 』の ラストシーン
の ジェットや、ギルモア博士のセリフから、
この地球こそが、まさに奇跡の様な美しい天国の様な世界。
それを 009達は、命を懸けて守った。今度は、君たちの番だ。
君たちが、『天使のたまご』なんだよ…。と、聴衆に語りかけているのかな?…
とかいう、かなりヒネッた見方をしてしまいました…。
『天使のたまご』を観ていなければ、そんなのわからないよ…というオチ解釈だと
思うんですが、無きしも在らず…?
たぶん…『天使のたまご』を観ていた人は、アレ?…どっかで 観たぞ…って、
なるんじゃないでしょうか…。
あのラストの締めは…符号的な、メタファー的な イメージ起草の為せる業?
あるいは、たまたまの偶然の一致でしょうか?
※ メタファーというのは、『 暗 喩 』。
『 比 喩 』と すぐには、わからない様に、
オシャレに潜ませた『 隠 喩 』の事だったりします。
予算に余裕があれば、もう1度、劇場に脚を運びたい所ですが、
2度目は、DVDで、じっくり繰り返し観てみたいです。
続編が 出るなら期待したい所ですが、興行的に難しそうな印象が、残念…。