劇場公開日 2011年12月23日

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「メッセージ性がないことがメッセージ?」ルルドの泉で k.moriさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5メッセージ性がないことがメッセージ?

2012年12月16日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

幸せ

ある全身麻痺で苦しむ一人の女性が、ルルドの泉で治療目的の巡礼に訪れ、奇跡的な治癒が起こる話。

通常この手の作品の場合、何らかのメッセージ、あるいは、何か宗教的な意味合いを持たせるものだが、この作品は、ただ、一人の女性の奇跡を客観的に筋書きしているだけなのである。

なぜ、彼女に奇跡が起こったのか。そういうことを表現したり、あるいは、製作者の見解的なことを現さない。そういう意味では実に薄味な作品であると感じられるかもしれない。

しかし、誰が、どういう理由で奇跡が生じるのか、という本当の理由は誰にも分からない。信仰の深さ、正直さ、真面目さ、心の清らかさとかそういう目に見えるありきたりな理由によって、起こるものではない。人間には理解できない理由によって起こるものだ。この作品の製作者は、逆にそのことを表現したかったのかもしれない。

唯一、何かメッセージがあるとすれば、主人公の女性が聖母マリアから奇跡を授かる夢を見たという一人のシスター(?のような人)が、主人公の女性に奇跡が起こる当日か前日かに、作業中に倒れ、そのまま意識が戻らないことが起こるが、それが何か理由づけを持っているのかもしれない。

また、主人公の女性と宿泊で同室の老女が、その必要はないのに、なぜかずっと彼女のお世話のようなことをし、彼女につきまとうのだが、その老女は、もしかすると聖母マリアの意思のようなものに動かされているのかもしれない。

ストーリーは、ただたんたんと進み、終わる。

k.mori